描きたい背景に合わせた3D素材の選び方-トーン編-

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はじめに

描きたい背景に合わせた3D素材選びはかなり大事だと感じるのでその辺りの事について書き記しておきます。

長いですが、頭の隅にあると役立つかなと思いますのでもしよろしければ読んでみてください。

3D素材作りもしていますのでその視点も入れつつ書きます。

 

↓3D素材等、主にモノクロ原稿に役立ちそうなものをいろいろ出品しております。

 

多分初心者向けではないと思います。

基本的な操作についてなどはあまり細かな説明は入れておりません。

操作などにつきましてはユーザーガイドなどをご覧いただけたらと思います。

内容はあくまで私の個人的な考えです。

また、今回はB4モノクロ原稿用(600dpi)についてとなっております。

カラー原稿用とは異なるかと思います。

 

こんな背景にしたい場合にはこんな素材がおすすめという私の個人の感想であり、こういう素材はだめという事では決してありませんので…!

同じ素材でも求めるものによっておすすめになったり、避けた方がよくなったりは変わります。

おすすめなどと偉そうにいろいろ書きますが、そもそも素材はみんな有り難すぎる存在です。

 

ニッチな素材は探しても見つからない事はよくある事です。

1つだけでも見つかった時は感謝の舞を踊りながらダウンロードしましょう。

 

例えば登場人物の家や職場、学校などの素材はたくさんあるかと思いますのでそういった選択肢がたくさんある素材の場合の選び方の提案になります。

 

 

大きくは

 

・曲面のなめらかさ(線画に影響)

 

・マテリアル(トーンに影響)

 

についてを意識しながら探すといいかと思います。

 

このTIPSではトーンに関わる部分について解説していきます。

線画についてのTIPSも作成しています。

本TIPSをご覧になるという事は3D素材をLT変換し、トーンも活用したいかと思います。

その場合、3D素材をアタリにして背景を描き起こすというやり方ではないと思います。

もし線をなめらかに修正してもトーンがカクカクしているとその修正が必要になり手間が増えてしまうので極端にカクカクした3D素材は避けた方がいいかと思います。

 

 

どんな背景にしたいか

大きくは2つに分けられるかと思います。

 

1. 青年漫画系のリアル寄りで情報量多めな背景

2. 少年漫画や少女漫画系のシンプルめな背景

 

作風も昨今多様なのであんまりジャンルで分けられるものではないと思いますが便宜上、青年漫画、少年漫画、少女漫画っぽい背景と分けて説明させていただきます。

 

3D素材をLT変換し、背景に活用する場合に自分の描きたい背景の路線と相性のいいマテリアルの3D素材の用意が大事かと思います。

 

1は多色のテクスチャが入っているものがおすすめです。

 

2はベタ塗りでの着色階調化されたテクスチャが入ったもの、もしくは着色もテクスチャもない陰影だけの状態になるものがおすすめです。

 

細かく説明していきます。

 

 

目指す背景に合う3D素材かの判断材料

色やテクスチャの管理方法について

線画編のTIPSでも少し触れましたが、マテリアルについては色やテクスチャをつける場合にCLIP STUDIO MODELERではこんな感じで管理します。

 

着色タイプ

指定した色で着色します。

下図の拡散光の数値で色が決まります。

テクスチャタイプ

テクスチャ画像を貼り付けています。

カラーかグレースケールか白黒かでもトーン化した際の感じは変わってくると思います。

テクスチャの画像サイズによっても3D素材のファイルサイズも変わってきます。

あんまりにも画像が小さいとLT変換した時にジャギーが発生してトーンがボソボソしてしまうかと思います。

テクスチャを活かしてトーンを使いたい場合には画質にも注意しましょう。

しかし、画像が綺麗すぎてもファイルサイズが大きくなってしまいますので重たくなってしまう場合もあります。

その辺りも程良いかは気にしておくといいと思います。

ですが、極端に画質が悪かったり、良過ぎたりという事はあまりないように感じます。

 

 

~タイプというのは便宜上そう呼称しているだけで正式な名称ではないです。

 

 

陰影について

MODELERでは光源に対してどんな反応をするかも調整できます。

さきほどの図の青枠で囲った部分で調整します。

どう設定するのが扱いやすいかは私もいまだに正解が出せていないのですが…。

 

CLIP STUDIO MODELERに読み込めるよう3D制作ソフトからファイルを書き出す際に同一の3D素材でも拡張子や設定の違いなどでMODELERに読み込ませると異なった数値になりました。

これがデフォルトという数値はないようです。

 

ですが、クリスタの公式素材の設定を見てみると環境光だけ0.25であとは0になっているのでそれ基準に考えておくといいのかなと思います。

私の現在の作業環境ではMODELERへ読み込むと環境光だけ0.2の状態になって結構近しいので今は基本的には読み込んだ時のままにしています。

昔に作成した3D素材はちょっと違っているのでいつか設定は合わせるように修正したいなあと思ったりしています⋯。

 

ファイルの書き出し方による違いに加え、MODELERへの読み込み後に数値の調整もできるので光源に対する反応がどうなるかは設定によるのでダウンロードした素材次第です。

 

 

陰影が極端ではないか確認する

いろいろな3D素材を組み合わせる場合、陰影の出方が素材によって違ってくる事もあります。

他の素材から浮いてしまうほどに陰影が極端に暗くなったり、明るくなるものがないかの注意はした方がいいかなと思います。

↓光源をオフにするとみんな同じく白です。

陰影の出方の設定を1脚だけ変えています。

陰影ができにくいので他の椅子には影ができている部分に影がないです。

光源オンでこれをLT変換すると1脚だけトーンの様子が違います。

これは同じ形状の3D素材なので違いが顕著ですが、複数の3D素材を組み合わせて使用する時に極端に陰影の設定が違うと上図ほどではなくとも少々違和感が出る事がありえますのでそこは注意が必要です。

 

 

この時、環境光をオフにして平行光1だけ表示すると陰影の出方が同じになる事があります。

お試しください。

 

 

光で色を飛ばす

下図のように光源オフの時の色に影ができて陰影が表現されるというのを通常イメージするかと思います。

 

 

その反対になると思うのですが、光源オフの時の色に光が当たって陰影が表現されるものもあります。

下図のようになり、割と見かけるタイプです。

ちなみに元の色が上図のグレーの時に影ができて陰影が表現される場合は下図のようになります。

光が当たって陰影を表現する素材だった場合、光源をオフにすると白い壁かと思ったらグレーの壁だったというような事があります。

光源オフにしたら想定していたより暗い印象になる事があったりします。

 

例えば光源オフにして陰影はなしで着色やテクスチャをトーンで活用したいとします。

完成形を上図のようにイメージしていたとして下図の3D素材を

実際に光源をオフにしてみると光で色を飛ばすタイプで下図のようになる事があります。

LT変換のトーンの設定でなんとかする事が必要かなと思います。

ですが、複数の素材と組み合わせている場合はLT変換のトーンの設定では対処しきれず、LT変換後に修正が必要な場合もあるかと思うのでちょっと大変そうかと思います。

 

別に色は何色でもいいやという場合はいいのですが、例えば登場人物の部屋のインテリアなのでこだわりたいというような場面では別の素材を探した方が手っ取り早そうかなと思います。

 

光源のオンオフでの変化は注意が必要です。

 

 

陰影の出方が統一されていない事がある

例えば陰影がオフの時に真っ白の素材でも光源をオンにした時に陰影だけの状態にならない素材もあります。

陰影だけのシンプルなトーンを求める場合には注意して確認が必要です。

 

これはどういう事かと言いますと色の設定はテクスチャや色ごとに変更できるので別々の3D素材を組み合わせている訳でもない1つの3D素材内であっても同じ光源に対して影が薄く出るか濃く出るか調整ができます。

下図は光源がオフ状態です。

光源をオンにすると下図のようになります。

光源をオフにしていると壁と窓枠は同じ色ですが、光源をオンにすると陰影の出方が違うので窓枠を認識しやすいです。

 

陰影の出方に差異が出るように設定されている場合にこういった視認しやすくするためとかが理由になるのかなと思います。

 

確かに見やすさなどは便利ですが、例えば上図では窓枠に色はつけたくないという場合には毎度トーンの修正が必要になりちょっと手間です。

その上光源をオフにした時には全面白なので色域選択を活用して修正という事もできずちょっと面倒です。

 

この状況でLT変換をすると単に陰影だけのトーンは作成できません。

ですが、陰影の設定のされ方によっては「環境光」をオフにすると下図のようになり、陰影の濃淡の差がなくなる場合があるので試してみてください。

この時、平行光2もオフになっていないとうまくいかない事があります。

LT変換の際に陰影のトーンだけ欲しい時のオートアクション素材の用意があるのですが、↓こちらの素材をご活用いただく場合にも「環境光」オフで対処できない素材は対応できません。

陰影の設定で「環境光」のオフでも対処できない設定は特殊なパターンかと思いますのでなかなかないとは思うのですが…。

 

上述のオートアクションは基本的には下図のような感じに着色やテクスチャがある3D素材でも陰影だけのトーンが作成されて便利なのでご興味ありましたらご活用ください。

陰影だけほしいという時には陰影の設定が対処不能な特殊な素材は避けた方がいいのでこういうパターンも稀にあり得ると注意しておくといいかなと思います。

 

上記のパターンでは色をつける代わりという事になるのかなと思うのですが、例えば光源をオフにすると同じ色になってしまうので陰影なしで単に窓枠をトーンでべた塗りしたいと思った時に光源をオフにしてもオンにしても下図の状態にはできません。

求めるトーンの状態によってはLT変換で作成されるトーンをそのまま活用はできないので素直に拡散光で色をつけて陰影の数値は統一になっている素材の方が扱いやすくはあります。

常に光源をオンにして使用するしトーンを陰影だけにしたい訳ではないという場合には問題なく活用できると思います。

 

 

同じ設定でも着色タイプとテクスチャタイプで陰影に差が出る事がある

同じ色、数値にしていても着色タイプとテクスチャタイプとでは光源をオンにした場合に上図のように陰影の出方が違う事がありました。

 

光源をオフにすると下図のように同じ色です。

数値も一緒です。

先程と同じく「環境光」のオフで陰影の出方が同じになりました。

 

設定によっては「環境光」のオフでも対応できない事もあると思います。

MODELERに読み込むためのファイルの書き出し方によっても変わるのかもしれません。

 

「環境光」オフで対処できますし大きな色の差ではないのでそんなに気にしなくていいかと思いますが、着色タイプとテクスチャタイプが混在している時に陰影に差が出る場合があるので一応注意しておくといいかと思います。

 

 

陰影がガタガタしている

数値の設定ではない部分での陰影の問題になります。

線画編でも少し書きましたが、法線の設定が低い素材は曲面部分の陰影がガタガタします。

LT変換でトーン化してからも陰影はガタガタします。

 

これはだいぶ不自然なので修正は不可避と思います。

どのくらい曲面があるかによりますが、修正はまあまあ面倒です。

光源をオンにして使用したい場合には修正も覚悟の上で使う必要があります。

光源はオフにして使用する場合は大丈夫かと思います。

 

 

陰影がカクカクしていても曲面が円柱のような形状の場合には修正は不要です。

 

 

ただ、法線が低く、形状的にもカクカクしている場合には線画をスムーズ等でなめらかに整えると上図のように線とトーンの間でずれが生じます。

その部分の修正は発生します。

 

 

陰影については以上です。

とりあえず思いついたものを書いてみましたが、他にも癖があってちょっと困る陰影の出方があるかもしれません。

 

光源のオンオフで思っていたのと違った!という事が起きたりするので望んだ状態にできるかの確認や陰影の出方のばらつきに対して「環境光」オフで対処できるか試したり、修正で対処できそうか検討してみたりしてください。

案外なんとかなる事もあります。

 

複数の3D素材を組み合わせる場合に設定の差が極端にならないかは気にしておくといいかと思います。

 

 

マテリアルの分類

マテリアルは大きく4つに分けられると思います。

こういう背景に向いてそうといったことも書かせていただきますがただの主観ですので参考程度にお考えください。

 

 

例として下記の3D素材を使用していますが、説明用の画像はマテリアルの分類に合わせるため一部調整したりしているので実際の3D素材と異なる時があります。

1. 着色もテクスチャもなし

↓光源オン

↓光源オフ

光源をオフにした時に真っ白状態になる素材です。

一番スタンダードかなと思います。

LT変換で陰影だけのトーンを作成できます。

扱いやすく応用もしやすいと思います。

ディティールを入れたい時にトーンを塗ったり、木目などの質感の描き込みが必要になります。

少年漫画や少女漫画向き。

青年漫画では情報量を上げるための加筆が多めに必要になるかと思います。

個人的には真っ白なマテリアルのプリセットが入っていると嬉しいなといます。

汎用性が高いです。

 

さきほど出てきた全体をグレーに着色して光で色を飛ばして白くし、陰影を表現するタイプのものはグレーに着色はされていますが一応ここに分類されるかな…?と思います。

 

 

2. 着色のみ

↓光源オン

↓光源オフ

着色タイプのみで色付けされているので単色で塗られた部分がある素材です。

ソファに毎度トーン貼りをする、みたいな作業がなくなるので便利です。

テクスチャがないので木目などの質感は加筆が必要になります。

 

少年漫画や少女漫画向き。

青年漫画では情報量を上げるための加筆が多めに必要になるかと思います。

 

 

3. 階調化テクスチャ

↓光源オン

↓光源オフ

もっといい名称がありそうと思うのですが⋯テクスチャが例えば黒い線だけで描かれているとかグレー50%だけで描画されているとか階調化されている状態と言いますか…。

文章で説明しにくいなあと思いますので百聞は一見にしかずという事で例の画像をご覧ください。

モノクロにしたりトーン化した時にグラデーションっぽい所がなく、パキッと色が分かれたテクスチャというイメージです。

こういったテクスチャが使用された素材です。

それに加えて着色タイプで色がついた箇所がある場合もあるかと思います。

 

完全にモノクロ原稿用で仕上げもした状態のテクスチャを入れている素材も時々見かけます。

自分の絵柄に合いそうな場合にはそういった素材を活用してみるのも時短できていいかと思います。

 

少年漫画向き。

少女漫画の場合、ふわっとした画面作りをしたい時はテクスチャがうるさく感じるかもしれません。

その時はレンダリング設定から「テクスチャを使用する」をオフにするとテクスチャが消え、着色タイプだけにできます。

 

 

テクスチャでうまく情報量を増やせていたら青年漫画でも使いやすいかもしれません。

 

個人的にはモノクロ漫画用としてはいろんな路線に合わせやすく、LT変換やその後の作業のしやすさ、時短の面でも強いと思うのでこのタイプのマテリアルで3D素材を作るようにしています。

 

 

4. 多色テクスチャ

↓光源オン

↓光源オフ

これももっといい名称がありそうですが⋯階調化テクスチャと違っていろんな色で普通に描かれたテクスチャです。

テクスチャのある3D素材はほとんどはこちらのタイプかと思います。

一番情報量が多いです。

リアル系な背景にしやすいです。

 

例として統一感を出すために上図の素材を使用しましたが、机や床などテクスチャが使われている部分が限られていてちょっとわかりにくいです…。

すみません…。

 

全面テクスチャという事が多く、壁にも質感あるテクスチャが貼られていたりする場合もあり情報量が多い素材です。

木目のテクスチャをみると階調化テクスチャと違っていろんな色が入っています。

これをそのままトーン化するとちょっとモノクロ漫画っぽい雰囲気ではないように思います。

上図と比較すると下図の階調化テクスチャはテクスチャが黒い線なのでモノクロ原稿には馴染みそうな感じがするかなと思います。

階調化テクスチャとの違いはそんな所かなと思います。

 

 

多色テクスチャのもっとわかりやすいものとして全面テクスチャのクリスタの公式素材の画像も載せておきます。

単にそのままトーン化するとやっぱりモノクロ漫画っぽくはありません。

LT変換時にトーンを作成すると実質階調化した状態になり、そのままトーン化したよりモノクロ漫画っぽくなります。

着色タイプや階調化テクスチャを使用した素材から作成されるトーンと比べて質感が描かれた箇所やグラデーションになっている部分などはニュアンスが出やすいかと思うので情報量が多めにできるかと思います。

 

 

絵の他にも写真を元にしたテクスチャを貼り付けている素材もあります。

写真をLT変換して背景に活用している場合にはテイストを合わせやすいのではと思います。

 

自分の作風に合ったものを探してください。

 

 

例えば下図はクリスタの公式素材ですが、LT変換してみると床がテクスチャの影響で柄が入っています。

こういった事が情報量が上がって良いという場合とすっきりさせたいので不要という場合と作風によって変わってくるかと思います。

すっきりさせたい派の方は多色テクスチャをそのまま使うのは少し厳しいかもしれません。

 

 

その他にはライティング済みというような記載がされているテクスチャを使用している素材は光源はオフにして使用した方が陰影がごちゃつかずいいかもしれません。

 

青年漫画向き

少年漫画や少女漫画ではリアルな感じが出過ぎるとあまり合わないかと思います。

特に少女漫画ではふんわりしたかわいい画面作りをしたい場合に背景が重ためでリアルっぽい感じになると合いにくいかもしれません。

 

カラーの素材である事がほとんどですので本来的にはカラーイラスト向けの素材かと思います。

モノクロ原稿として使用をする場合には一手間必要かと思います。

 

↓こちらのTIPSのようにテクスチャを調整したりするといい感じになりやすいです。

テクスチャの状態によっては上記URL先のTIPSのように調整してもうまくいかない場合もありますのでテクスチャの画像が粗くないかやトーンがいい感じに出るかなどチェックしつつ選ぶといいと思います。

 

 

ですが、多色テクスチャタイプは少年漫画や少女漫画に合わせやすい状態にもできます。

 

 

テクスチャタイプのマテリアルをシンプルな状態にする

レンダリング設定の「テクスチャを使用する」をオフにするとテクスチャ部分がなくなり、テクスチャがない状態になります。

下図のようにテクスチャが表示されなくなります。

 

先ほどのクリスタ公式素材です。

すっきりとした陰影だけの状態になります。

↓「テクスチャを使用する」をオフ

↓LT変換後

広告の部分もなくなり情報量としては寂しくはありますが、トーンも1色だけにすると3D素材っぽさも軽減されるのでモノクロ漫画の背景っぽさはテクスチャがない方が強いかと個人的には思います。

 

 

ですが、素材によっては上図のような単純に陰影だけの状態にならないです。

 

例に挙げていた教室の3D素材を「テクスチャを使用する」をオフにしてみます。

テクスチャが消えますが、着色タイプが混在している場合は着色されている部分は変化がないので色がついたままです。

また、テクスチャがあった部分はグレーになっており、さらに床や机でそれぞれグレーの色が異なっています。

クリスタの公式素材ではオフにした時、色が統一されており、全面グレーになります。

3D素材によってはこういった違いもあります。

 

しかし、情報量を減らした状態にできるのでシンプルな背景を描きたい時に合わせやすくなると思います。

 

なので多色テクスチャは応用が利きやすい素材です。

 

 

ただ「テクスチャを使用する」をオフにした時の変化は素材によって異なります。

ダウンロード前にはわからないので運次第です。

テクスチャ部分の変化については次の項目で詳しく説明します。

 

他に注意するべき点としましてはテクスチャが入った状態でのLT変換を見越した素材で線画を綺麗に出す事はあまり重視していないと思われる素材も時にあります。

その場合には「テクスチャを使用する」をオフにすると本領発揮ができず半端な線画になってしまうので注意が必要です。

 

 

ノーマルマップもオフになってしまいます。

下図はクリスタ公式素材のノーマルマップありのソファの例です。

 

↓そのまま

↓「テクスチャを使用する」をオフ

ノーマルマップもオフになって陰影がつるっとしてしまいます。

 

 

そういったデメリットも見つつ必要に応じて「テクスチャを使用する」をオフにしてください。

 

 

ちなみに前述のLT変換のオートアクション素材を使用すると

上図のようにノーマルマップが反映された陰影だけを取り出せます。

便利なのでご興味ある方はご活用ください。

 

 

「テクスチャを使用する」のオンオフの影響

改めましての説明ですが、レンダリング設定にて「テクスチャを使用する」をオフにできます。

これは文字通りテクスチャが表示されなくなります。

そのため、オンオフに着色タイプは影響がありません。

 

テクスチャが貼ってあった箇所がどうなるかは3D素材の設定によりけりで影響の出方が異なります。

下記の事はテクスチャのないすっきりめな背景にしたい場合になんとなく把握しておくと便利かと思います。

 

 

まず、「テクスチャを使用する」をオフにした時にテクスチャ部分は拡散光の色に置き換わります。

 

MODELERにてクリスタの公式素材の設定を確認するとテクスチャの拡散光の数値はRGBすべて0.75になっていました。

数値がすべて1だと白、0だと黒になります。

なのでテクスチャだった部分はグレー25%で塗られます。

公式素材は全面テクスチャタイプなので全面グレー25%になります。

 

公式素材では「テクスチャを使用する」がオンの時は下図のようになります。

「テクスチャを使用する」をオフにすると下図のように陰影だけの状態になります。

さらに光源をオフにすると拡散光の0.75が反映されたグレー25%で塗りつぶされた状態になります。

MODELERへ読み込む際のファイルの書き出し方によってはテクスチャタイプの拡散光の数値が固定されるパターンがあるのだと思います。

 

その他にテクスチャの画像に影響されて拡散光の数値が各々違うパターンがあります。

 

 

濃い色合いのレンガは拡散光の数値がすべて0.49なのでつまりグレー51%、薄い色合いのボーダーは拡散光の数値がすべて0.95つまりグレー5%です。

 

おそらくテクスチャ画像に使われている色の平均値とかなのではと思います。

それが拡散光に適用されるので「テクスチャを使用する」がオフになるとバラバラの色になります。

「テクスチャを使用する」がオンの時は下図のようになります。

「テクスチャを使用する」をオフにすると下図のように各々違う色になります。

なので陰影だけの状態にはなりません。

さらに光源をオフにすると各々の拡散光の0.49と0.95が反映されたグレー51%とグレー5%で塗りつぶされた状態になります。

とりあえず上記の2パターンになるかなと思うのですが、他にも何かあるかもしれません。

 

 

テクスチャタイプの拡散光の数値は薄い色で表示され、編集ができません。

読み込んで以降、ここの制御は素材作成者でもできません。

 

ファイルの書き出し方次第なのだと思います。

 

拡散光の数値が固定か変動かは実際に「テクスチャを使用する」をオフにしてみないとわからないかと思います。

 

そんな訳で固定と変動があるのですが、それぞれ利点があります。

 

 

固定の場合

全面テクスチャ、もしくは着色タイプの拡散光の数値がテクスチャタイプと共通の時は「テクスチャを使用する」をオフにすると陰影だけの状態になります。

 

陰影だけのトーンが欲しい時に便利です。

 

 

その他にも着色タイプも混ざっていると陰影だけの状態にはなりませんが、テクスチャはなしにして着色タイプだけ活用したシンプルな状態にしたい時に便利です。

「テクスチャを使用する」も光源もオフでトーンベタ塗りだけのシンプルな感じになります。

ただ、上図のように光源をオフにしたら思ったより暗い色合いになる場合があるのでその時はトーンの調整が必要です。

 

 

変動の場合

陰影だけのトーンが欲しい時にはちょっと向きません。

ですが、このそれぞれ異なった色になるのでテクスチャ部分を調整したいと思った時に色域選択で選択範囲を作成しやすくなります。

マテリアルに色域選択に使える選択肢がない時に助かります。

 

色域選択を行う場合は光源をオフにします。

選択範囲が作成できます。

 

 

ただし、テクスチャに使われている画像ついては下記のようなパターンが考えられます。

 

例としてサイコロで考えます。

使用するテクスチャは2パターンあるかと思います。

↓展開図で1つの画像ファイルにまとまったもの。

↓1面ずつの画像で個別の6つの画像ファイルが用意されているもの。

私はクリスタ用に素材を作る時は床の模様を入れたりと簡素なので後者のやり方をしていますが、複雑な造形や全面テクスチャでライティングされたような凝ったテクスチャの素材では前者のパターンになるかなと思います。

「テクスチャを使用する」をオフにした場合にテクスチャ部分の拡散光の数値が固定なら全面同じ色ですが、各々で変動するタイプなら結果の出方に影響があるので一応下記の事を把握していた方がいいかなと思います。

 

 

↓「テクスチャを使用する」をオフ

展開図で1つの画像にまとまったものはテクスチャの元となる画像が共通なのでサイコロはどの面も同じ色になります。

 

1面ずつの画像で6つの画像ファイルを使用しているものは6面すべて色が違います。

 

右端はちょっとややこしいですが、1(赤)の面の画像ファイル1つを6面すべてにテクスチャとして貼り付けたものをMODELERに読み込ませてから2〜6の画像に差し替えをしたものになります。

拡散光はMODELERに読み込ませた時点のテクスチャ画像の色の影響を受け、その後違う画像に差し替えたとしても拡散光の数値は変化しません。

 

なので「テクスチャを使用する」をオフした時にはどの面も1(赤)の画像での設定となり、全面同じ赤色になっています。

↓画像を差し替えても変化がありません。

そのため、「テクスチャを使用する」がオンの時に予想していたようにならず、色域選択が思ったようにできない場合があります。

 

上記の事をふんわり把握しておくとオンオフを切り替えた時に起こり得る事とこういう風にテクスチャが貼られているからこの結果なのかなとわかるのでいいかなと思います。

 

長々と書いておりますが、要はマテリアルに色域選択に使える選択肢がない場合に「テクスチャを使用する」をオフにするのは試す価値ありですという事です。

 

 

着色タイプかテクスチャタイプかはあとから変更できない

また、着色タイプを後からテクスチャタイプに変える事はできません。

テクスチャタイプを着色タイプに変える事もできませんが、塗りたい色でベタ塗りした画像と差し替えれば見た目には着色タイプのようにできます。

 

そのため、レンダリング設定で「テクスチャを使用する」をオフにした時に着色タイプかと思った箇所がテクスチャタイプだったので色がなくなるという事も起こり得ます。

 

 

目指す背景にするために

以上のような事をなんとなく把握しておくと自分の求める状態にできるかの判断がしやすくなるかと思います。

 

・光源のオンオフや陰影の出方

・マテリアルの種類

・「テクスチャを使用する」のオンオフ

 

総合して選ぶといいと思います。

 

 

路線に合わせたおすすめマテリアル

どんな背景を描きたいかの話に戻りたいと思います。

 

1. 青年漫画系のリアル寄りで情報量多めな背景

2. 少年漫画や少女漫画系のシンプルめな背景

 

大まかにリアル寄りとシンプルめに分けます。

 

 

1. 青年漫画系のリアル寄りで情報量多めな背景

1につきましては描き込みや手の込んだ情報量の多さが背景に必要かと思います。

おすすめは多色テクスチャタイプです。

上図も下図の多色テクスチャの素材を活用して作成しました。

多色テクスチャであればテクスチャを調整する事でいい感じになります。

実写っぽいテクスチャであるほど情報量は上がるかと思います。

 

 

実写っぽいテクスチャは基本的には写真そのままのような状態だと浮くと思います。

作風にもよると思いますが…。

 

実写っぽいテクスチャを技量的に私が作成できないので代用で公式素材の写真をお借りします。

まずは単にトーン化してみます。

そのままだとモノクロ漫画の背景としてはちょっと馴染みにくいかなと思います。

 

漫画らしくなるように調整の一手間が大事かと思います。

LT変換を活用してトーン化してみるだけでもモノクロ漫画っぽさは出ると思います。

3D素材でも同じ事が言えます。

多色テクスチャで情報量をあげつつ、一手間調整をしてモノクロ漫画に馴染むようにするのがいいかと思います。

 

着色もテクスチャもなしの素材だと一から情報量を増やしていく作業を進めていく必要があるのでちょっと大変そうかと思います。

なので可能なら多色テクスチャの素材がおすすめです。

 

 

2. 少年漫画や少女漫画系のシンプルめな背景

2につきましては1に比べて描き込みや情報量を絞った素材が背景に必要かと思います。

 

下記は少年漫画をイメージした背景です。

下図は線画とペンタッチと黒ベタのみのシンプルなものです。

下図はもう少しトーンを足したり、線トーンを入れたりしたものです。

テクスチャ(木目など)はトーンで表現するより黒い線で描画している印象があります。

なのでおすすめはそういったテクスチャが入っている階調化テクスチャタイプです。

上図2つも下図の階調化テクスチャの素材を活用して作成しました。

 

多色テクスチャの場合は情報量が多くなりすぎてしまいそうなのでそれを削ぐ事が必要になるかなと思われ、着色もテクスチャもなしや着色のみでは逆にテクスチャの質感などをを足していく事が必要になるかと思います。

なのでLT変換後になるべく加筆修正を減らしたい場合には階調化テクスチャがおすすめです。

最近はトーンが手描き線というのも結構見かけます。

下図も上図の階調化テクスチャの素材を活用して作成しました。

手描き線トーンに合わせて線もラフなものに変更しています。

同じ素材でも仕上げ方で雰囲気は変わります。

 

 

少女漫画はさらにシンプルかなと思います。

 

登場人物の華やかさを引き立てるために控えめでシンプルな背景が選ばれるのかなと思います。

少女漫画は線画と陰影のトーンのみやそこに少しトーンが足されたりしたようなものが多いかなと思います。

 

下図は陰影なしで黒板など一部にトーンが入っているだけでシンプルめです。

木目のテクスチャも軽く入っています。

おすすめのマテリアルは少女漫画の場合、作風によると思います。

 

テクスチャを入れたい場合には階調化テクスチャがいいと思います。

 

テクスチャが入っていると画面がうるさくなってしまう事もあるのでその場合は着色のみがいいかと思います。

多色テクスチャや階調化テクスチャの「テクスチャを使用する」をオフにした時にうまく使えそうならばそちらもおすすめです。

 

 

シンプルに線画と陰影のトーンがあればいいという場合には着色もテクスチャもなしか「テクスチャを使用する」をオフで陰影だけの状態にできる素材がいいかと思います。

ざっくりとそんな感じです。

 

 

おわり

描きたい背景の路線を意識しつつ3D素材を選んでみると加筆修正の時間が減るのでおすすめです。

 

長々しく書いてきましたが、気にしすぎても選びにくくなってしまうかもしれないのでふんわり意識するくらいでいいかなと思います。

素材選びのお役に立つと嬉しいです。

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