ウェブトゥーンの効率的な彩色のための下準備
はじめに
私は現役ウェブトゥーンアシスタントです。
レイヤー分け・着彩・仕上げ作業・3D背景作業の経験があります。
ウェブトゥーンは1話あたり50〜70コマほどあり、
効率化しなければあまりに作業量が膨大です。
レイヤー分けの作業ですら急いでも5時間程度はかかります。
今回はウェブトゥーンの彩色を効率的にするための下準備について解説します。
動画もご用意しましたので、日本語がわかる方はこちらもご覧ください。
資料管理
ウェブトゥーンには沢山のキャラクターが登場します。
ロマンスファンタジー作品であれば夜会のドレスや部屋着、
外出用の軽装など様々な衣装が出てきます。
そのため依頼元から大量の設定資料画像を渡されることになります。
設定資料にすぐアクセスできるよう、PureRefで見やすく管理します。
PureRefとは、無料で使えるリファレンス画像のビューアーアプリです。
コピーペーストやドラッグアンドドロップで画像を放り込み、
感覚的に画像を整理することができます。
Ctrl+Shift+Aで常に最前面に固定することができ、
資料画像を見ながら作業することが可能です。
クリスタの「画像の色を取得」で資料から色を取得することもできます。
他よく使うショートカットキー一覧
右クリックしながらドラッグ:ウィンドウの移動
Z+ドラッグ:キャンバスのズーム
Alt+ドラッグ:キャンバス内を移動
ドラッグ:ドラッグした範囲内の画像を選択
CTRL+P:選択中の画像を整列
Ctrl+M:ウィンドウ最小化
Ctrl+Shift+R:選択した画像に合わせてウィンドウをリサイズ
テンプレート作成
パーツごとに描画色を変更するのは時間がかかります。
何度も登場するキャラクターにはべた塗りレイヤーで
テンプレートを作成しておくと効率的です。
べた塗りレイヤーとは、単色で塗りつぶすためのレイヤーです。
べた塗りレイヤーを使用すると、あとから色を変更したり、レイヤーマスクを使用して塗りつぶす範囲を調整したりできます。
引用:CLIP STUDIO PAINT リファレンスガイド
[レイヤー]メニュー→[新規レイヤー]→[べた塗り]を選択すると
[色の設定]ダイアログが表示されるので、
塗りたい色を選択してOKボタンをクリック。
すると選択した色で塗りつぶされたべた塗りレイヤーができました。
一度消去して好きな範囲を塗りましょう。
これがどう便利なのかと言うと、
一度作成しておけば毎回色を選ぶ必要がなくなる点です。
動画では描画色を変えていないのに赤や青で塗れていますね。
べた塗りレイヤーの使い方についてはこちらの記事もご覧ください。
この記事内では一度作成しておけば色を選ぶ必要がなくなるレイヤー
程度の認識があれば大丈夫です。
資料を元に[画像の色を取得]を使い、べた塗りレイヤーを作成していきます。
レイヤー名も付けておくと後で作業しやすいでしょう。
ウェブトゥーンは複数人で作業しますので、
後の工程の方のためにもレイヤー管理は丁寧にしましょう。
私はクイックアクセスに[新規べた塗りレイヤー]を登録し、
ワンクリックで作れるようにしています。
またテクスチャなどもこの時に設定しておけば、
毎回素材パレットから設定する必要もありません。
サブビューパレットを活用しよう
サブビューパレットとは、
キャンバスとは別に好きな画像を表示しておけるパレットです。
[ウィンドウ]→[サブビュー]でパレットを開くことができます。
通常のキャンバスとは違う機能が付いており、
ここに資料やパレット用の画像を開いておくと大変便利です。
空のサブビューパレットが表示されたら、
右下にある[読み込み]ボタンをクリックすると
任意の画像ファイルを選ぶダイアログが表示されます。
基本的にCLIP STUDIO PAINTが対応しているファイルは全て開けます。
複数の画像を開いておくことができ、下部にある<>のアイコンで画像を切り替えることができます。
またスポイトのボタンをクリックすると、[自動でスポイトに切り替え]がオンになります。
サブビューにカーソルが乗った時だけ自動でスポイトに切り替わり、
色選びの際便利です。
私はモブキャラクター用の髪・服色パレット画像を作成し、
そこから色を選んでいます。
複数回登場するキャラクターでない場合、
べた塗りレイヤーを作成するより普通に色を選択した方が最終的に早く塗れます。
レイヤー分け
テンプレートや資料の準備が終わったら、次はレイヤー分けです。
レイヤー分けの作業前にもいくつか準備をしておきましょう。
まず、現在のレイヤー表示状態を保存しておきます。
クリスタVer.3の新機能レイヤーカンプを使用し、
レイヤーの表示状態を保存します。
作業中は非表示にしていたが、納品時には表示されていないと困る
レイヤーを再表示し忘れるミスを防止できます。
レイヤーカンプ保存時に存在しなかったレイヤーは非表示になってしまう
点には注意してください。
次に、顔の中身のレイヤーを非表示にします。
線画担当の方が分けるタイプであればやるとよいでしょう。
顔の中身は線が多く、表示したままだとレイヤー分けの時間がかかります。
そのため一度全キャラクターの顔の中身を非表示にし、手早くレイヤー分けが終わるようにしています。
表示非表示の手間を差し引いても
こちらの方が作業が早くなることがほとんどでした。
白目や瞳は後から塗った方が早いことが多いです。
ここまで準備できたら、あとはレイヤー分けの作業を始めるだけです。
人物のシルエットを作り、パーツを1つ1つ削り取っていく方法が
早いのでおすすめです。
ex.装飾
私は装飾付けの担当もしています。
こちらもまた時間のかかる作業であり、
レイヤー分けと同じかそれ以上の時間がかかることも多いです。
まず設定資料が来たら使う素材をCLIP STUDIO ASSETSからダウンロードし、
ツールパレットに登録します。
この時どのキャラクターのどの衣装の装飾か、わかりやすいように登録しましょう。
私は適宜サブツールのグループを分けて整理しています。
準備作業だけでも時間がかかります。
必要に応じて素材の色を変更しなければならないことも多いですが、
メインカラー・サブカラーを毎回変える作業もなかなか時間がかかります。
手作業が増えれば色を間違えて塗ってしまうミスも増えます。
あらかじめレイヤーカラーを設定した装飾用レイヤーテンプレートを用意することで
色変更の手間とヒューマンエラーを減らすことができます。
動画の設定だと、このレイヤーに描画すれば
描画色のサブカラーが白のままでもレイヤー自体の設定により金で描画されます。
また装飾はベクターレイヤーに描くと
オブジェクトツールで再編集が容易なのでおすすめです。
彩色
ここまでの作業でレイヤー分けが完了し、
キャラクターごとに下塗りのレイヤーフォルダがある状態になっていると思います。
彩色を時短するコツ、それはレイヤーを増やしすぎないことです。
このレイヤーフォルダに影やハイライトのレイヤーをクリッピングしてまとめて塗ると時短になります。
またレイヤーモードを適宜使い分け塗りましょう。
例えば影は通常レイヤーで影の色をパーツごとに変えるより、
乗算レイヤーでまとめて塗る方が早いです。
寒色の影によく使う色
暖色の影によく使う色
ハイライトやエアブラシで光を入れる時によく使う色
終わりに
以上が「効率的な彩色のための下準備」になります。
ぜひご自身に合わせてアレンジし、効率化してください。
今までアシスタントとして他の作家さんのデータをたくさん見てきましたが、
レイヤー構成や作業のやり方は人それぞれです。
自分に合う形で取り入れていただければと思います。
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