ドール変身作戦:注意事項 [Ver 4.0]
「人形変身作戦:すべきこと、すべきでないこと」
今回のテーマは「パペットを使いやすいパペットに変える方法」です。
CLIP STUDIO PAINT Ver.4.0 のアップデートで、従来の[自由変形]、[メッシュ変形]、[ゆがみ]に加え、新機能の[パペットワープ]を使ってイラストを描きながら調整できるようになりました!
しかし、他の変形機能に比べると操作が分かりにくく、注意が必要なため、初心者が使っても満足のいく変形効果が得られないという問題があります。
そこでこの記事では、以下の内容をご紹介します。
1️⃣第1部 - パペット変形機能の概要と使用上の注意点
2️⃣第2部 - パペットの変形ロジックの分析
3️⃣第3部 - パペット変形で自然な画像を作るコツ
4️⃣第4弾 - パペット変形を使って、髪の毛を自然に浮かせるための簡単なテクニックを、実際の例を使って解説します。
このパートを通して、初心者の方でもパペット変形をより自然に操作できるようになることを願っています!
さあ、始めましょう✨
1️⃣【ドール変身の使い方紹介】
このセクションでは、[パペット変形]の使い方と注意点について簡単に説明します。
▶[パペット変形]機能の使い方:
レイヤーを選択(複数のレイヤーまたはフォルダーを選択できます。ドットマトリックスレイヤーのみ選択できます)→
[範囲選択]ツールまたは[投げ縄選択]ツールを使用して、変形する画像を選択(任意)→
[編集]→[変形]→[パペットを変形]
ベクターレイヤー、テキストレイヤー、またはオブジェクトレイヤーの場合は、パペットワープ機能を適用する前に [ラスターレイヤー] を使用する必要があります。
▶[パペット変形] 実行範囲:
実行範囲は、画像が連続しているかどうかによって異なります。
上:画像の外縁は連続パターンで、中央の空白部分にもグリッドが生成されます。
下:画像の外縁は不連続パターンで、中央の空白部分はパペットの変形の影響を受けません。
必要に応じて、破線画の下に新規レイヤーを追加し、仮のベースカラーで塗りつぶします。不透明度は0に設定できます。両方のレイヤーを同時にチェックすることで、グリッド生成の範囲を制御できます。
範囲内に完全に異なる 2 つの画像がある場合、ワーピング中にそれらの画像は個別に処理されます。つまり、下の図に示すように、A をねじっても B には影響しません。
選択したレイヤーに「非表示だが存在する」エンティティが含まれている場合でも、メッシュは生成されます。
下の例では、紫色の影がハート型の線画によって切り取られていますが、パペット変形機能を使用すると認識されます。正しいメッシュを生成するには、レイヤーをさらに結合する必要があります。
選択した画像が大きく複雑な形状の場合、グリッドが端まで届かず、画像が切り取られる場合がありますのでご注意ください。
このような場合は、処理範囲を拡張して補正を行い、画像全体をカバーするように値を修正する必要があります。
パペット変形機能のその他の詳細な設定、例えば①グリッド量の制御、②グリッドの非表示、③プッシュピンの削除、プッシュピン方式の確認、画像変形の前後関係の調整などについては、記事の長さとこれらのオプションの理解のしやすさのため、ここではこれらのパラメータと機能のみを使用または調整するために提案することをお詫び申し上げます。
機能のより詳細な説明については、こちらの公式説明を参照してください。
2️⃣【人形変形のロジック】
[パペット変形]とは、簡単に言うと、対象画像に三角形のグリッドを生成する機能です。ユーザーは「ピン」を自由に配置でき、ピンを移動または回転させることによって変形効果を得ることができます。**
「影絵」って聞いたことありますか?
人形の変形機能の可動性は、人形操作の可動位置と似ています。初心者で「人形変形」に馴染みのない方は、まずは影絵の操作をイメージすることで、変形効果を予測してみましょう。
しかし、手足に影響を与えず関節部分のみを動かす影絵とは異なり、[人形変形]機能は画鋲の位置に応じて「全体像」をより滑らかに変形させます。そのため、影絵のように個々の紙が動くというよりは、人形が連続した膜を引っ張るような変形をします。
さらに、不適切または過度な操作により、画像が奇妙な形に歪んでしまう可能性があり、その結果、姿勢を調整するのにさらに時間がかかります。
そうです!パペット変形は便利なツールですが、便利さがすべてではないということを覚えておいてください!
冒頭でも述べたように、CLIP STUDIO PAINTには豊富な変形機能が搭載されています。適切な変形機能を適切なタイミングで使い分けることで、制作スピードを大幅に向上させることができます。
では、パペット変形機能をどのような場面でどのように活用できるかを解説していきます。
3️⃣【人形変形の使い方のコツ】
名前の通り「人形」のような変身なので、 はキャラクターの を調整するのに最適です。次に、キャラクターの例を使って詳しく説明します。
💡 ❌ 一度にすべてのジョイントにピンを追加しないでください
画鋲の追加は特に重要ですが、最初から全ての場所に画鋲を追加するのは正しくありません。
下のデモをご覧ください。例えば、下の図では、キャラクターの姿勢に変化を加えるために、「腰を少し傾けて、手を少し上げる」ように調整したいと考えています。
最初に腰、手、足に画鋲を追加した場合:
腰のピンだけを動かす - 不合格
頭と腰のピンを確認して動かす - 不合格
頭、腰、手のピンを確認して動かす - 不合格
腰のピンだけを回転させる - 不合格
どの方法を使っても、結果はかなり奇妙になります!
正しいやり方は、まず腰と足に画鋲を刺し、次に腰の画鋲だけを回転させます。
腰の回転が完了したら、手のピンを刺して持ち上げる姿勢を作ります。
ピンを追加する順番に迷ったら、一度に1つの動作だけを行う という点を覚えておいてください。
「曲げる」と「手を上げる」は2つの動作なので、変形を2回に分けて実行するとコントロールしやすくなります。
💡 ❌ 回転させる必要があるピンの位置の最後に別のピンを追加しないでください
例えば、下の画像では、キャラクターの右膝を回転させて、より可愛らしいポーズにしたいと思っています。
そのため、右足首に画鋲を刺してはいけません。そうしないと、右ふくらはぎが不自然にねじれてしまいます。
膝の回転ピン(足首)の先端に画鋲を刺した場合:
足首にピンを追加しないでください。
成功!
💡✔️必要に応じてピンを追加して場所を固定します
例えば、下の図では「手首を回す」動作をしたいのですが、実際には前腕が無理にねじれてしまいました。
このような場合、手首に画鋲をもう1本追加することで、前腕を比較的正常な状態に保つことができます。
また、手首で画鋲を動かす際は、前腕を誤って短くしないように注意してください。短くなってしまうと、前腕が無理にねじれてしまいます。
例えば、手首の位置に画鋲が1本だけある場合:
手首の位置にピンを 2 つ追加します。
もちろん、ピンを追加してもまだ適切な手足が得られない場合は、[Liquify]などの他の機能を使用して後で調整することを検討できます。
💡✔️選択機能をうまく活用して局所的な変形を行う
個人的な観察ですが、画像範囲が広いほどグリッドサイズも大きくなります。つまり、1つのグリッドでカバーする画像領域が広いほど、ワープ時の画像の歪みも大きくなります!
そのため、画像が大きく、特定の部分(例えば足など)だけを調整する必要がある場合は、パペット変形機能を使用する前に、まず足または腰を選択してください。そうすることで、グリッドの分布がより集中的になります。
ボックス選択の場合、端に十分な数の押しピンを追加してください。そうしないと、変形時に画像が壊れて見えます。
画像がそれほど大きくない場合、さらに選択範囲を広げると、端に押しピンを追加しても画像が途切れてしまうことにご注意ください。そのため、具体的な状況に応じて判断し、予期せぬ隙間がないか必ず確認してください。
途切れが生じた場合は、元の画像のコピーを画像の下に重ねて、レイヤーを結合することも検討してください。
💡✔️自然な姿勢を保つ
日常生活で、日差しを遮るために手を上げると、肩も少し上がることに気づいたことはありませんか?片足で立つ必要がある時、自然と体が片側に傾きますよね?
そうです!自然な体の動きは、決して一つの関節だけで決まるものではありません!
そのため、パペット変形機能を使ってアクションを修正する際には、どの部分を同期させて調整する必要があるかに注意する必要があります。手首を上げるだけで十分だと思わず、肩も少し上げることを忘れないでください。
幸いなことに、パペット変形機能では、ピンを回転させたり移動させたりすることで、周囲のパーツもある程度補正されます。(これもパペット変形のメリットの一つです!)
しかし、この機能はピンの位置にも影響を受けます。そのため、変形を使用する際は、受動的な位置が適切かどうかを意識的に確認する必要があります。**
次の例では、首のピンを回転させると、肩と手も調整されます。
肩にピンを追加すると、肩と手の変形が大幅に制限されます。
したがって、パペットの変形を使用する場合は、どのような効果を実現したいのか、そしてピンを動かすことで生じる動きが許容できるのかを明確にする必要があります。そうすることで、押しピンをより効果的に設定・活用できるようになります。
💡 ❌ 過度に変形させない
機能紹介記事で機能の使用を制限するというのは少々不適切と思われるかもしれませんが、パペット変形は大幅な変形ができるように設計されていないため、ご容赦ください。
大きな変形は画像に無理が生じます。
例えば、「左に曲がっている」元の画像を無理やり「右に曲がっている」ように変形させないでください。
下の画像では、元々少し内側に曲がっていた脚を[パペット変形]でさらに内側に曲げることができますが、外側に向けようとすると脚全体の構造が崩れてしまいます。
例えば、手が元々垂直だった場合、単純に外側に曲げることはできません。
現実世界では、肘が後ろ、手が下向きの状態で肘を上げて腰に手を当てたい場合、肩を水平に上げるのではなく回転させる必要があり、肘関節の可動角度には制限があることが想像できます。
そのため、手が垂直の状態で肘は見えませんが、腰に手を当てた時には肘が見えるようになります!
変形機能は、存在しないものを突然作り出すことはできません!
そのため、使用する前に、パーツが無理なく変形できるかどうかを検討する必要があります。
オブジェクトに使用する場合でも、過度な変形はオブジェクトの構造に無理が生じ、本来滑らかな線が粗くなってしまうため、この場合も使用はお勧めしません。
そのため、必要に応じて「左右反転」などの他の変形方法を使ってオブジェクトの正しい向きを確認し、その後で細かい調整を行うこともできます。
変形によってオブジェクトの前後の位置関係が変わってしまう場合は、直接描き直すことをお勧めします。無理やり変形機能を使うよりも早く、そして何よりも、より自然で合理的な画像になります。
💡✔️光と影を細かく描く前に、パペット変形機能を使用してください
[パペット変形]は線画、背景色、影のレイヤーを同時に変形できますが、変形機能を使用することでオブジェクトの位置関係が変化する場合は、光と影の位置も変更する必要があります。
ただし、パペット変形ではそれらの微妙な変化を一度に表現することはできないため、細かい光と影の調整を行う前に使用することをお勧めします。
塗りの最終段階近くで使用する場合は、光と影の関係が正しいかどうかを確認してください。
以下の図を例に挙げると、キャラクターが大まかに完成した段階で髪の毛の流れを調整すると、光と影の調整が適切かどうかの確認やストロークの追加に余分な時間を費やすことになります。
💡✔️異なるレイヤーに異なるオブジェクトを描くと変形が簡単になります
例の絵で二の腕部分を変更すると、必然的に上着や袖の形にも影響が出てしまいます。
腕だけを選択しても効果はなく、関係するパーツを描き直す必要があります。
しかし、本来の目的は手足の修正のみであり、衣服の構造は変形させてはいけません。
これは特に、複数のオブジェクトが文脈的な関係にある場合に当てはまります。例えば、手足が衣服に覆われていたり、衣服が髪に覆われていたりする場合などです。手足のみを修正するという前提では、パペットの変形は、手足と衣服などがそれぞれ異なるレイヤーに描画されている場合にのみ効果を発揮します。
4️⃣【人形変形の使い方のデモンストレーション】
このセクションでは、パペットワープ機能を使って髪の毛の位置を調整する方法を説明します。
まず、このイラストでは髪の毛が流れているように見えますが、動きをもっと大きくしてもよいようです。
※デモ画像なので光と影の加工は完了していますが、光と影の加工をする前にパペット変形機能を使うことをおすすめします!
髪の毛やボディは重なり合う部分が多いため、オブジェクトごとにレイヤーを分けた場合にのみパペット変形機能が使えます。
よく見ると、前髪の左右の端が繋がっているのが分かります。
このままではパペットの変形が制限されるため、あらかじめ左右を分けておきます。
※分離しなくても問題ありませんが、変形により見た目が固くなる場合があります。
🔧 手順
1. なげなわツールで片側の髪の毛を選択 →
2. 切り取って新規レイヤーに貼り付け →
3. 少し回転または移動させて髪の毛を分離します。
※切り取った部分を別々に動かさなくても問題ありません。人形の変形に2回使用できます。
🔧 パペット変形を使って髪を調整
①パペット変形機能を使う →
頭頂部(髪の根元)と、想定される毛先の回転開始点にピンを追加する →
②ピンを回転または移動する →
③完成!
分けた毛先でも上記の手順を繰り返します。
光と影、髪の毛のエッジを確認し、修正が必要かどうかを確認します。
例えば、デモの図では、以下の位置を修正する必要があります。
【💡POINT】
変形前の髪の毛レイヤーをコピーしてアーカイブしておくと、変形によって生じた隙間をすぐに埋めることができます。
【💡POINT】
ゆがみツールを使えば、さらに細かい調整も可能です。
仕上げる!
結論
最後に、人形変形のメリットをまとめます。
✨ メリット:
調整後の画面の大幅な破損を心配する必要がない
単一の関節を調整すると周囲のパターンも自動的に調整されるため、硬直性が軽減される
変形オブジェクトとして複製可能なレイヤーにより、より柔軟な処理が可能
人物やオブジェクトの差分画像を素早く作成できるため、アニメーション作成プロセスを加速できる
😃 推奨用途:
オブジェクトの角度を局所的に微調整する場合
髪の毛や手足など、ある程度の小さな構造やパターンを維持する必要がある
突起物が多い、または細長いもの(つまり、星型の方が丸型よりも人形変形のメリットが際立つ)、例えば浮かぶ水や炎、風で舞い上がる布など
☹️ 非推奨用途:
大幅な調整が必要なグラフィック
各オブジェクトを画面の前面と背面に重ね合わせ、別々のレイヤー描画は不要オブジェクト間
画面上では、人差し指がカメラの手を指しているなど、オブジェクトが前面に配置される設定です
今回は長文になってしまい申し訳ありません。ここまで読んでいただきありがとうございました!
ここでは主に人物のイラストを使って説明しましたが、パペットの変形はこれらに限定されるものではありません。
もっとクリエイティブに、他のオブジェクトにも応用してみてください!
この記事についてどう思われましたか?
ぜひメッセージをお寄せください!このチュートリアルが、パペット変形の新機能の使い方をより深く理解する一助になれば幸いです。
コメント