レイヤーカンプでアニメーション差分の作り方🌟
初めまして!『かくもっち』と申します🐈
CLIP STUDIOには、色んな差分を簡単に管理できるレイヤーカンプ機能が存在しますがご存じでしょうか?
レイヤーカンプ機能は表情や背景に差分ごと管理しやすくなったり、各差分を一括で描きだせるなど、色んな活用方法がありますが、
特性を利用して「 同じアニメーションだけど衣装や表情などパーツが異なるアニメーション差分を瞬時に作れる 」ことも可能です。
レイヤーカンプ機能をより使いやすくするTIPSも含め、
レイヤーカンプでアニメーション差分を制作&管理する方法を紹介いたします♪
①レイヤーカンプ機能の基本情報
レイヤーカンプ機能とは何でしょうか?
レイヤーカンプは、端的に説明すると『 現在のレイヤーの表示・非表示状態を保存して読み込める 』機能です。
もし、レイヤーカンプのウインドウが見当たらない場合は、
メニュー⇒ウィンドウ⇒レイヤーカンプがチェックされているかをご確認ください。
レイヤーカンプ一覧が見えたら、下記の手順でレイヤーカンプを利用できます。
レイヤー一覧から記録しておきたいレイヤーだけ表示状態させる
レイヤーカンプ一覧の保存ボタンを押して、現在の表示状態に名前を付ける
複数のレイヤーカンプを保存したら、保存されたレイヤーカンプの表示・非表示ボタンを押して表示を切り替えする
既に記録済みのレイヤーカンプに追加で表示したいレイヤーがあれば、レイヤーを表示している状態で『 レイヤーカンプを上書き 』ボタンを押すことで上書きすることができます。
また、レイヤーカンプで保存している表示・非表示状態を読み込んでも、『 最後のレイヤーの表示状態 』を表示することで、レイヤーカンプを読み込む前の状態に戻ることができます。
表示・非表示状態のみを保存するので、こんな注意点があります。
1.記録するときの絵自体を保存するものではないので、保存後に絵が変化されたら反映される
2.レイヤー以外にも、フォルダーやファイルオブジェクト、レイヤーマスクの表示・非表示も保存できる
3.レイヤーカンプ保存後に、新しく作ったレイヤーやフォルダーは非表示状態になる
特に3番の場合、レイヤーカンプで表示されるようにしているレイヤーでも新しいフォルダーの中に入れてしまったら、フォルダーが非表示になるのでレイヤーが表示に切り替わっても見えなくなってしまいます。
そんな時は『追加したレイヤーを全てのレイヤーカンプで表示状態にする』機能をONにした状態で新しいレイヤーやフォルダーを作ると解決できますので活用しましょう。
🌟②レイヤーカンプをより利用しやすくする2つの機能
でも、レイヤーの管理って難しいですよね。
描いてるとどんどんレイヤーやフォルダーが増えて、一々名前を付ける習慣がないとどれが差分用のものなのか探し出して表示非表示にして記録することは大変だと思います。
そんな時は『 レイヤーカラー 』と『 レイヤー検索 』、
この2つの機能を一緒に活用しましょう
『レイヤーカラー』はレイヤーの一覧から選択させることができ、色ですぐ見分けがつくようになりレイヤーの用途によってレイヤーカラーを設定することで見つけやすくする機能です。
『レイヤー検索』はレイヤーのタイプや、レイヤー名を設定することで条件が一致するレイヤーを探してくれるフィルター機能です。
色んな条件を設定できますが、今回は特定のキーワードが入っているレイヤー名のレイヤーを探してくれるキーワード検索を活用していきます。
より効率的に管理ができるようになるので、この2つの機能を活用する前提でフォルダーやレイヤー作成時に設定をしてみましょう。
🌟③アニメーション差分を作る方法の紹介
🔹3-1. パーツ作成と管理のコツ
では、レイヤーカンプ機能を使ったアニメーション差分の制作の一連の流れを紹介します。
ひとまず、動きを入れるパーツを描いていきましょう。
今回は「動物の耳を付けている子供が手を振る」アニメーションを作り、耳や服装などに差分を付けたいので、ベースとなる下書きを描きます。
その後、動かしたい動きに合わせてフォルダーを作成していきます。
私の場合フォルダーはこのように分けて作成しました。
動物の耳のフォルダー(左右を分ける)2つ
前髪のフォルダー1つ
顔のフォルダー1つ
胴体のフォルダー1つ
腕のフォルダー(左右を分けて、肘を基準に上と下に分ける)4つ
後ろ髪のフォルダー1つ
足のフォルダー(左右を分ける)2つ
また、頭を傾けるなどの動作を入れたいので、耳・前髪・顔のフォルダーを1つのフォルダーにまとめて入れておきました。
1つのパーツを動かす時、一緒に影響されるパーツがあれば1つのフォルダーにまとめて入れておくと後々管理しやすくなります。
各パーツのフォルダーを作ったら、パーツのフォルダーの中に差分の種類ごとのフォルダーを作成します。
もし、動物の耳のパーツを3つの種類で準備したい場合は、動物の耳のフォルダーの中に『AA』と『BB』の2つのフォルダーを作る感じです。
または、『AA』パターンのフォルダーを先に作り、中身を描いた後、『AA』フォルダーごと複製し名前を『BB』に変えると、AAのデザインをそのまま利用しつつ、色だけ変えるのもいいですね。
各パターンのフォルダーに決まった見分けがつきやすいようにレイヤカラーもつけましょう。
レイヤーカラーとレイヤー名称の組み合わせで、素材がちゃんと管理されているか2重チェックにもなります。
『AA』はレイヤー名称が『AA』でレイヤーカラーを赤色に設定するとして、もしレイヤー名称は『AA』なのに、レイヤーカラーが別の色になっていたら当パーツには不備があるから確認が必要であることを検知できます。
フォルダー分けが終わったら、各パーツを描いていきます。
ベースとなるデザインを描いた後、差分を付ける別のパターンも描いていきます。
🔹3-2. アニメーション後のレイヤーカンプ方法
素材の準備が終われば、動きを付けましょう!
ウィンドウ⇒タイムラインの一覧を表示させ、新規タイムラインを追加します。
タイムラインが作成されたら、フォルダーに「レイヤーのキーフレームを有効化」をしキーフレームアニメーションを追加できるようにしていきます。
基本的なキーフレームアニメーションの利用方法はこちらをご参照ください。
https://tips.clip-studio.com/ja-jp/articles/1383?recommended=a
ここで重要ポイントですが、
キーフレームアニメーションは基本的にパーツのフォルダーにつけてください。
例えると、動物の耳のフォルダーや顔のフォルダーにキーフレームアニメーションは追加するけど、そのフォルダーの中に入れている『AA』や『BB』フォルダーにはつけない形です。
グループでまとめてアニメーションを付ける理由は下記通りです。
複数のパターンのイラストに、共通的な動きを与えるため
モーションの修正などが起きた際、予期せぬ動きが入らないようにするため
アニメーションを付けた後でも、パーツのデザインや追加を行いやすくするため
アニメーションを一通り付けることができたら、ここでレイヤーカンプの出番です。
ひとまず、アニメーションの通常バージョンである『AA』分のレイヤーカンプを登録しましょう。
レイヤー検索で『BB』を検索し、ヒットされるフォルダーを非表示状態にしましょう。
その後『AA』を検索して表示チェックに抜かりがないかを確認します。
各パーツの表示がちゃんと『AA』のものになっていることを確認出来たら、『AA』という名称でレイヤーカンプを保存します。
引き続き、『AA』をレイヤー検索し、すべてを非表示させた後、『BB』を検索して表示状態に変えます。
『BB』のパーツが抜かりなく表示されたら、また『BB』という名称のレイヤーカンプを保存します。
ここでもう一つ!
『AA』のパーツと、『BB』のパーツを混ぜて『MIX』パターンを作ります!
同じくレイヤー検索で各パターンのフォルダーを一括で検索して、そのうち別のパターンに差し替える部分だけ非表示にします。
『AA』で耳と前髪だけ変えるとしたら、耳と前髪のフォルダーだけ非表示にして『BB』の耳と前髪のフォルダーを表示状態に変える形です。
出来上がったものを『MIX』という名前でレイヤーカンプを保存します。
これで差分つくりは完了となります!
あとはアニメーションを再生してみて、再生される中で他のレイヤーカンプに切り替えてもアニメーションに問題がないかをチェックしてみましょう。
各パーツの描きが足りない場合は、2つの方法で描き足すことができます。
①キーフレームアニメーションの有効化を一時的に解除
1.キーフレームの有効化を一時的に解除した状態にして、加筆をする。
2.キーフレームアニメーションを再び有効化させる。
※ただし、レイヤー順番を移動させたり削除するなどをすると登録していたキーフレームに影響するため、レイヤーの移動や統合などの変更は行わない。
②キーフレームが有効なレイヤーを編集する機能で編集する
1.修正するレイヤーを選択した状態でタイムラインのヘッダーにある『キーフレームが有効なレイヤーを編集』ボタンを押す
2.加筆してパーツのイラストを修正する
3.修正が終わったら、他のレイヤーを選択するか『キーフレームが有効なレイヤーを編集』のボタンをもう一度押して状態を解除する
※クリッピングレイヤーやレイヤーマスクを利用できないため、『透明ピクセルをロック』機能を活用することをおすすめします。
描き足しを終えた完成本がこちらとなります。
その他書き出しですべてのレイヤーカンプ状態を2Dイラストで一括に書きだすことは可能ですが、アニメーションはできないため、レイヤーカンプを切り替えしつつ『アニメーション書き出し』をしましょう。
この方法は色んなSDキャラが同じダンスを躍ったり動き回る系のアニメーションを作る時にお勧めしますが、活用方法によってはイラストの中で光の差し込みや雪、雨の演出など背景のエフェクトをアニメーションで入れて、差分を作る時などにも活用することができます。
🌟最後に
いかがだったでしょうか?
レイヤーカンプを少し工夫するだけで、可愛い動きのアニメーションを無限の組み合わせで作れるようになりました♪
そのほかにも活用できるかと思いますので色んな形で試してみましょう☺️
最後まで見ていただきありがとうございます!
今後も楽しくお絵描きしていきましょう🐈
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