スモールエス「CLIP STUDIO PAINT」をはじめよう!第8回

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CLIP STUDIO PAINTをタブレットPCでつかってみよう[Surface Pro編]

パワーアップしてお届けしている「CLIP STUDIO PAINT」をはじめよう!では、様々なタブレットによるデジタルイラストの描き方、楽しさを紹介しています。

小さい画面のスマホでも絵を描けますが、もう少し大きな画面のタブレットPCは描きごたえがあります。

今回使用する「Surface Pro」は、Windows10を搭載したタブレットPC。別売りの専用タッチペンやカバーにもなるキーボードを併用することで快適にイラストを描けます。

ノートPCと変わらないスペックと使い心地ながら、液晶ペンタブレットのように直接画面に絵を描けるところが魅力です。

液晶タブレット兼ノートPCを買う感覚で、使い始めてみるのはいかがでしょうか?

今回はRe:何とかさんにご登場いただき、タブレットPCの使い心地とあわせて、CLIP STUDIO PAINTで絵を描くときに知っていると役立つこと、さらに楽しく作品づくりができる便利なところを紹介していきます!

 

※この記事は、「スモールエス」2019年7月発売のVol. 58に掲載されたものを編集しています。

※この記事は日本語です。 日本語以外のサイトでは、機械翻訳されています。

 

 

第8回ナビゲーター[Re:何とか]

Re:何とか/イラストレーター。ゴシックな世界や和風ファンタジーを描く。

青年を描く機会が多いが、女性を描くのも好きとのこと。

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HP

タブレットで絵を描くために必要な道具は?

■Microsoft Surface Pro 6

搭載OS:Windows 10 Home

液晶:12.3インチ(解像度2736×1824)

本体サイズ:292mm×201mm×8.5mm

重量:770g〜

バッテリー駆動時間:最大13.5時間の動画再生が可能

 

■Surface ペン

筆圧感知:4096段階/傾き対応

バッテリー:単6乾電池

 

■Surface Proタイプ カバー

カバーにもなるキーボード。

磁石で本体と接続する。

 

 

■CLIP STUDIO PAINTを使用する方法は?

 

はじめて使用する場合はCLIP STUDIOサイトからソフトを購入、または無料体験版を選択してダウンロードします。

 

CLIP STUDIO PAINTを購入済みの場合は、CLIP STUDIOサイトにログインして「マイページ」に移動します。

 

「ご利用製品シリアルナンバー」を確認し、Surface ProにCLIP STUDIO PAINTをインストールします。

タブレットで描くと、どんなことができるの?

■スムーズに作画できるサイズと繊細に描けるペンが魅力!

 

タブレットはパソコンに比べて本格的な作画に向いているか、不安に思うかもしれません。

Surface Proはストレージが128GB〜1TB、メモリは8GBまたは16GB RAMと、大きなデータサイズでも快適に描けます。

液晶もA4サイズ程あるので、描き応え充分です。

専用のSurfaceペンは、筆圧感知も細かく、傾きにも対応しているので、濃淡や線の強弱も再現できます。

 

Re:何とかさんは指先のない手袋をつけて描いています。

指紋や汗がつかず、ペンの滑りも良くなるのでオススメです。

 

磁石の入ったペンは本体に取り付けることが可能で紛失の心配がありません。

電源は電池なので充電せずに描けます。

 

 

■指先でキャンバスサイズを調整、直感的に絵を描ける!

 

Surface Proのディスプレイはマルチタッチ機能に対応しているので、Surface ペンだけでなく指で操作することも可能です。

Re:何とかさんは画面を拡大・縮小したり、キャンバスを回転させながら描いていました。

角度や拡大率は感覚的に調整できると作業効率がグッとあがります。

※マルチタッチ機能はオフにすることも可能です。

 

 

■取り外せるキーボードが便利&好きな角度で描ける!

 

デスクトップPCやノートPCからタブレットやタブレットPCに移行するとき、不便なのはキーボードがないことです。

Surface Proは着脱可能な専用のキーボードに対応しているので、文字入力が快適にできます。

また、本体についた自立するキックスタンドの角度が自在に調整でき、角度がついても安定して描けます。

 

使い勝手のよいキックスタンドは水平に近い角度から、直角近くまで自在に調整可能で動画鑑賞にも便利です。

 

「Surface Pro タイプカバー」はキーボードがついているので、ショートカット機能も活用できます。

●CLIP STUDIO PAINTおすすめ機能①ショートカットキー設定

入力するキーでツールを切り替えたりアクションが実行される便利な機能が[ショートカットキー設定]です。

[ファイル]メニュー→[ショートカットキー設定]から設定を確認したり、使いやすいキーに変更できます。

 

Re:何とか/キーボードを使うショートカットキー設定は仕事をしてからよく使うようになりました。作業スピードがあがりますし、描くことにも集中できるのでオススメしたいです!

 

【POINT】

デフォルトで設定されたショートカットキーは、「CLIP STUDIO PAINTショートカット一覧」にまとめられています。

 

 

■Re:何とかさんオススメのショートカットキー

 

①ショートカットキー【D】:[レイヤー選択]ツール

例えば、金魚を描いた次に、離れたレイヤーで肌を塗りたい場合、レイヤーを探すのは大変です。

そんな時、キーボード【D】を押して[レイヤー選択]に切り替えます。

 

塗りたい場所を囲むと、該当するレイヤーを選択してくれます。

 

②ショートカットキー【 [ 】&【 ] 】:ブラシサイズを変更する

ブラシサイズも細かく変更するところでは、ショートカットを使うと段階的に調整できるので便利です。

 

③ショートカットキー【C】:描画色と透明色の切り替え

例えば、[濃い水彩]のブラシのまま色を消したいときに[透明色]が便利です。

キーボードで【C】を押すと[メインカラー]と[透明色]が切り替わります。

ブラシの設定が変わらないまま、[透明色]になるので、ペンのタッチを変えずに色を消去できます。

 

④ショートカットキー【X】:描画色と背景色の切り替え

[メインカラー]の黄色から[サブカラー]の赤にすぐに切り替えたいときに便利です。

キーボードで【X】を押すと[メインカラー]と[サブカラー]が切り替わります。

どちらの色が選択されているか、水色の枠で分かります。

2色のペンを持ち替えながら描く感覚で塗れます。

 

【POINT】

Surface Proは別売りでキーボードをつけられるので、ショートカットを活用しやすい機種です。ペンとキーボードを両方使うことで効率よく絵を描けます。

 

 

ブラシサイズと原稿サイズを合わせよう

原寸で描くアナログイラストと違い、デジタル作品は液晶サイズと関係なく様々なサイズで表示して描けることも利点のひとつです。

 

Re:何とかさんは、原稿サイズにあわせて線画のブラシサイズを変えています。

キャンバスが小さいときは細め、大きなときは太めで描くと、線画が描きやすいそうです。

また、紙に出力したときに線画が細すぎたり、太すぎることも避けられます。

 

デジタルイラストはキャンバスサイズによって表示サイズが異なります。同じブラシサイズでも、画面の表示サイズを合わせてみると、A4サイズの方が細く見えます。表示にあう線画にすると引きやすくなります。

 

ここではRe:何とかさんのキャンバスサイズとブラシサイズを記載しています。

参考にしてみてください。

・ハガキサイズ(解像度:300dpi)の場合の線画:「Gペン」3pix(輪郭の内側)~5pix(輪郭の外側)

・A4サイズ(解像度:300dpi)の場合の線画:「Gペン」10pix(輪郭の内側)~12pix(輪郭の外側)

 

今回のイラストはハガキサイズ(300dpi)で描いています。

 

 

●CLIP STUDIO PAINTおすすめ機能②ブラシのカスタマイズ

■着彩用(オリジナル)

水彩境界が特徴的な、パキッとした塗りで全体的に使用します。

アナログ感が出るように作成します。

 

■やわ肌ブラシ

しっかりと色がつく。タッチは少しやわらかめに仕上がります。ASSETSで配布されているユーザーさんによる素材です。

 

■エアブラシ(柔らか)

塗りを馴染ませたり、塗り広げて自然なグラデーションを作るときに使用します。

 

■水彩(水多め)

色混ざりが良い。ふんわりとしたタッチになるので、やわらかい雰囲気の絵に合います。

イラストメイキング[1]人物を塗る

■肌を塗る

 

①下塗りした肌よりも少し濃い色で肌の影がつく場所に色を塗ります。

水彩境界がつく「着彩用」ブラシを使い、指の関節に色を置きます。

 

②[エアブラシ(柔らか)]で指先側へふんわりとのばします。

工程①で乗せた「着彩用」の水彩境界を残すことでシャープな印象になります。

 

③影が濃く落ちる首は、下塗りと同系色で影を塗ったあとで紫の影を足します。

肌色だけで塗るよりも透明感や立体感が増します。

 

④鼻の奥側にハイライトを描きます。

鼻の頭に影を置いているので、ハイライトを隣り合わせで入れると、濃淡にメリハリが出ます。

 

 

■白髪を塗る

 

①[エアブラシ]で全体にグレーを乗せます。

ハイライト部分は[消しゴム(硬め)]で色を消して、一段明るくします。

 

②「着彩用」で毛の流れを描き、毛束に立体感を出します。

ハイライトの輪郭をなぞって、形を強調します。

 

③ハイライトのグレーを[スポイト]で取って、[Gペン]で上下に線を引きます。

細い線が入るとシャープな印象になります。

 

 

■袴を塗る

 

①下塗りの状態です。袴の黒に裏地の緑が映える配色です。

黒ベタだと見づらいので、グレーを乗せてグラデーションにします。

主線のラインが見えて、彩色しやすくなります。

 

②ひだの凹みに「着彩用」 で濃いグレーを塗ります。

ひだの表側は「やわ肌ブラシ」でフチを避けながら濃いグレーを置き、[色混ぜ(ぼかし)]で塗り広げます。

細かいシワをつけないことで、布の厚みを表現できます。

 

③ハイライトも、やわらかいタッチがつく「やわ肌ブラシ」で色を置いて[色混ぜ(ぼかし)]で馴染ませます。

光源を意識して彩色するため、外側にいく程に光沢が強くなり、明暗のメリハリもつきます。

 

 

■透けた袖を塗る

 

①透ける素材の袖にシワを描き入れます。

水彩境界がつく「着彩用」を使い、濃いめのグレーをパキッと塗ります。

 

②[色混ぜ(ぼかし)]で塗りのフチをふんわりとぼかします。

そのとき、水彩境界を少し残しておくのがポイントです。

 

【POINT】分かりやすい名前でレイヤーを作ろう

下駄の彩色を例に、レイヤーの分け方とレイヤー名を紹介します。

・ハイライト…「h」レイヤー

・カゲ2層目…「k2」レイヤー

・グラデーション…「g」レイヤー

 

 

■日本刀を塗る

 

①[サインペン]で鞘の影を塗ります。端に光沢をつけるので塗り残しておきます。

 

② 工程①より濃い青で塗り残した境目に線を引き、[色混ぜ(ぼかし)]でのばします。

 

③柄巻を塗ります。下塗りよりも薄い紫を両端に塗り、濃い紫でランダムに濃淡も足します。

 

④「着彩用」で金属の光沢や柄巻の紐の凹凸を描きます。

水彩境界のラインによって効率よく線を引いたようなタッチを加えられるので、描画の密度が増します。

 

⑤両端に淡いピンクを置き、レイヤーの不透明度を49%に落として色を馴染ませます。

 

⑥ 工程①で塗り残した鞘の端に、淡い青を「色塗りブラシ」で乗せて光沢感を出します。

「色塗りブラシ」は不透明度100%のブラシなので、くっきりと色が乗ります。

 

【POINT】レイヤーマスクを作成する

[レイヤーマスク]機能は、色のはみ出しを防げたり、重なるアイテムの一部を隠せます。

これと近い機能の[下のレイヤーでクリッピング]は、下のレイヤーだけを参照する効果です。

[レイヤーマスク]は、作成したフォルダー全体に対して効果が反映されるので、時短になります。

 

このイラストでは手よりも上に日本刀のレイヤーがあるので、手が隠れてしまっています。

日本刀のフォルダにマスクを作り、鞘の一部を消しゴムで消去すると手が出ました。

 

 

■金魚を塗る

 

①ヒレの先端を[エアブラシ(柔らか)]を使いピンクで塗り、「着彩用」で影をつけます。

 

②新規レイヤーに「着彩用」でウロコとなる波線を体のラインに沿って描き入れます。

 

③[色混ぜ(ぼかし)]でウロコの線をサッとぼかします。少し形を残すのがポイントです。

 

④「着彩用」で2層目のウロコの波線を描きます。線を少しズラすと密度が出ます。

 

⑤ヒレの輪郭線に沿って「着彩用」で色を乗せます。凹凸が強調されて立体感が出ます。

 

⑥何度かウロコを重ねて描いたら[色混ぜ(ぼかし)]で模様を馴染ませます。

 

➆光沢を[Gペン]で頭やヒレに入れます。

「着彩用」の水彩境界を生かしてウロコも表現します。

 

➇強いハイライトだけでなく少し淡いハイライトも加えると、頭に立体感が増します。

イラストメイキング[2]画面を整える

■影を足す

「着彩用」で人物に影を足します。顔周辺は視線が集まるため、丁寧に加筆します。

 

 

■ホワイトで毛を足す

Re:何とか/塗るだけでは髪が平面的なので、毛の立体感を出すために加筆します!

 

 

■形を整える

Re:何とか/輪郭の周りにタッチをつけたり形を整えると、完成度があがります。

 

 

■光を足す

Re:何とか/背後からの自然な光を演出すると、人物と背景が馴染みます!

イラストメイキング[3]仕上げ

■全体の濃淡を調整する

 

[グラデーション]ツールで虹色にしたレイヤーを、合成モード[オーバーレイ]で乗せます。

Re:何とか/同系色でまとめた単調的な色味に変化を付けて、鮮やかにしました。

[色調補正レイヤー]の[グラデーションマップ]レイヤーの[白黒]、[朝焼け(明るめ)]や、[レベル補正]レイヤー、[カラーバランス]レイヤーもよく利用します。

※[グラデーションマップ]レイヤーは、[レイヤー]メニュー→[新規色調補正レイヤー]→[グラデーションマップ]で作成できます。

 

 

■色に深みを出す

 

合成モードを[オーバーレイ]にしたレイヤーを作成して服のレイヤーの上に乗せ、紫色で塗ります。

Re:何とか/色味の弱さを調整します。濁さずにコントラストを強調するため、服と同じ紫の明度を下げた色を乗せました。

 

 

■ハイライトを強調する

 

クリーム色を合成モード[覆い焼き(発光)]のレイヤーに乗せて、髪のハイライトを強調します。

Re:何とか/白髪のハイライトが、合成モード[通常]のレイヤーではあまり目立たなかったので調整しました。

使用したクリーム色は、白よりも絵と馴染ませやすく、服などにも使っているので選びました。

 

 

■全体の色を馴染ませる

 

濃い紫を人物全体にベタ塗りして[乗算]で乗せます。

Re:何とか/全体を馴染ませる役割の影です。ベタ塗りの状態から[消しゴム(軟らかめ)]で影に濃淡を整えると短い時間で作れるんです。最後の仕上げによく活用しています。

 

 

完成イラストはこちらです!

Re:何とかさんのタブレットのオススメポイント

Surface ProはコンパクトながらB5サイズくらいの入力範囲があるのが良いですね。

ペンはグリップがなくて持ちやすく、使いやすかったです。

 

液晶ペンタブレットと比べても値段的にコスパが良いと思いますし、手軽に持ち運べるところも便利だと感じました。

ノートPCの購入に迷っていた学生時代に出会いたかったです…!

 

また、CLIP STUDIO PAINTはデジタルでイラストを描き始めたときから使っているのですが、安くて永続ライセンスなのが嬉しいところです!

素材を利用できたり、いろんな機種に対応していることも心強いです。

使っている方が多いので、メイキングが多く見られるのもいいですよね。

仕事先でも使っています。

 

 

SS スモールエスとは

2005年に創刊されたイラスト雑誌。「メイキング&投稿マガジン」というキャッチコピーの通り、イラストの描き方の取材記事と、投稿イラストの掲載によって誌面がつくられている。

デジタルとアナログの両方のイラストが楽しめる内容。Webから作品が投稿できる。

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