グラデーションでレトロな着物を描く
1.はじめに
CLIP STUDIO PAINTには多種類のグラデーション機能が備わっています。
このメイキングでは「描画色から透明色」と「ストライプ」の2つを用いてレトロな雰囲気の着物を描いていきます。
グラデーションの形状は「直線」「円」「楕円」の3種類があります。
「直線」…ドラッグ方向に向かって色が変化します。
「円」…ドラッグ開始点を中心にして色が変化します。
「楕円」…ほぼ円と同様ですが、楕円の大きさや角度を調整する事が可能です。
今回は「直線」と「円」を使用しました。
2.ラフ、線画の作成
まずラフ→線画を制作します。
着物は柄の種類や配置・色合い等で印象が大きく変わります。
今回はボブカット・シンプルな髪飾り・大きな柄でレトロな雰囲気に仕上げました。
線画は全て「ベクターレイヤー」で、部位ごとに分けて作成します。
初期設定のGペンで人物、ミリペンで着物の柄を描き、人物と柄で線画フォルダを分けました。
線画を作成したら必ず「参照レイヤー」に設定して下さい。
色塗りの際「自動選択ツール」を使用するため、出来る限り隙間を作らないよう注意してペン入れを行います。
※今回所々重なった部分の線にマスクをかけていますが、重なった部分の線を描かなくても問題ありません。
今回は色塗りの際、柄の線画のみ色を白へ変更しました。
フォルダの上でレイヤーのクリッピングを行うと簡単に色を変更する事が出来ます。
3.下塗り
まず部位ごとに大まかな塗り分けを行なっていきます。
隙間を作らないようペン入れを行なっているので、塗りたい部分を「自動選択ツール」でクリックするとその部分のみ選択する事が出来ます。
この時“ベクターの中心線で塗り止まる“にチェックが入っている事を確認して下さい。
線と色の間に隙間を作らず綺麗に塗り分ける事が出来ます。
また、作成方法を「追加選択」にすると複数箇所同時に選択が可能になります。
自動選択→ベタ塗り(または塗りつぶし)を繰り返し、一気に塗り進めていきます。
※わかりやすいよう選択範囲外に色を付けています。
ペン入れの際に柄のレイヤーフォルダを分けておくと、フォルダを非表示にする事で効率よく作業を進める事が出来ます。
塗り分け作業が終わったら全てのレイヤーに「透明部分の保護」をします。
同様に着物の柄も塗り分けを行います。
これで下塗りは終了です。
4.グラデーション
次に着物の柄へグラデーションをかけていきます。
今回は草の部分に「直線」のグラデーションを、小さな花に「円」のグラデーションを使用しました。
草の部分は塗りたい箇所を投げなわツールで大雑把に囲み、ツルの先端側からドラッグします。
小さな花は中心から外側に向けてドラッグし、黄色のグラデーションをかけます。
一つ一つ丁寧に塗り進めて下さい。
次に着物へストライプをかけていきます。
ストライプはドラッグする方向とその長さで角度と幅が変わります。
ドラッグする長さが長くなるほどストライプの幅が大きくなるので、理想の幅になるようドラッグの長さを調整して下さい。
同様の方法で「影となる部分」「光の当たった部分」「色の変化を付けたい部分」に選択→グラデーションを繰り返しかけていきます。
影の色塗りに迷った場合は、作業レイヤーの上に「乗算レイヤー」を作りクリッピングし、薄い青で塗るとまとまりやすくなります。
反対に光が当たった部分にはオレンジ・黄色系の色を「通常レイヤー」や「加算レイヤー」でぬり重ねます。
下塗り+グラデーションだけでほぼ形がまとまります。
5.仕上げ
その他「着物と帯の影」「髪のハイライト」「目」を描き込んでいきます。
グラデーションで大まかな影や光の変化を付けているため、少し描き込む程度で大丈夫です。
最後に奥側の髪の毛と帯に「スクリーンレイヤー」で水色のグラデーションをかけ、完成になります。
スクリーンレイヤーを重ねると空気感が出て柔らかな雰囲気に仕上がります。
6.終わりに
今回はベタ塗り+グラデーションの組み合わせを多用しましたが、グラデーション単体、色の変化を増やすなど組み合わせ次第で雰囲気がガラリと変わります。
是非色々な組み合わせで描いてみて下さい。
閲覧いただきありがとうございました。
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