環境に合わせたライティング

1 943

緒乃本モノ

緒乃本モノ

このTIPSでは、環境によって変わる光や陰影の色の選び方を紹介します。

動画でも解説していますのでよければご覧ください。

光と影の名前と色

光と影には明るさの違いによって段階的に名前が付けられています。日本語でも英語でもいくつか別の呼び方がありますが、ここでは下図のように呼ぶことにします。これらの色は、環境によってどのような影響を受けるでしょうか?

・主光源 -Main Light-

太陽や蛍光灯などの光を発するものを指します。光源の設定はイラスト全体のイメージを大きく左右するためとても重要です。キャンバス内に光源を描かない場合でも、光源の”向き・強さ・色”を意識して描きましょう。

 

・ハーフトーン -Halftone-

光と影の間の暗くなり始める部分です。イラストにおいては固有色やベースカラーとしてとらえるといいでしょう。これは物体固有の色で、物体のイメージや直感で選んでかまいません(リンゴは赤、レモンは黄色など)。

・センターライト -Center Light-

光源に直接面している部分です。センターライトの色は、ハーフトーンの色より明るく彩度が低い色を選んでください。また、色相を黄色に近づけるとより鮮やかに見えます。レイヤー効果はスクリーンを使うのがおすすめです。

 

なぜ黄色かというと、色相は黄色に近いほど明るく、青色に近いほど暗く見えるからです(下図はカラーサークルをグレースケールで表したものです)。

・ハイライト -Highlight-

光源によって最も明るくなる部分です。この明るさや形は、光が当たっている物体の材質の影響を大きく受けます。

金属やエナメルなどは、光源の色に近づけて、はっきりとした形状で描くと、つややかな質感を表現できます。逆に木や布などは、センターライトの色に近づけて(省略も可)、ぼかして描くと、マットな質感を表現できます。

・環境光 -Ambient Light-

反射光の一種で、主光源からの光が周囲の環境や空間で反射して物体を全体的に弱く照らします。しかし明部では主光源からの光が強く当たっているため、環境光の影響は無視できるくらい小さいです。そのため、イラストにおいて環境光は、暗部を全体的に照らす弱い光と考えるのがいいでしょう。

 

よく影色は青みがかった色で塗るといいといわれますが、それは環境光である青空からの光が影全体を照らしているからです。

・反射光 -Refrected Light-

反射光は主光源からの光が周囲の物に跳ね返された光です。こちらも環境光と同じく影色への影響だけを考えます。反射光は物体同士の距離が近いほど影響が大きくなっていくため、近くの物体から色をスポイトして薄く塗るといいでしょう。

・陰 -Shade-

主光源の光が直接届かず、物体の暗くなった部分です。陰の色は、ハーフトーンの色より暗く彩度が高い色を選んでください。また、色相を青色に近づけるとより鮮やかに見えます。レイヤー効果は乗算を使うのがおすすめです。

また、陰は反射光が一番届きにくい明暗境界線付近が一番濃くなります。この部分をコアシャドウ(Core Shadow)と呼びます。

・影 -Shadow-

光に照らされた物体が投影する像です。落ち影とも呼ばれます。陰と同様に光源の光は直接届きませんが、光を遮る物体から遠ざかるほど反射光や環境光の影響を受けます。色は陰の色と同じ色を乗算で塗るといいでしょう。

・本影 -Occlusion Shadow-

物体が密接し、光が入り込まない場所にできる最も暗い影です。2つの物体が接触している場所以外にも、部屋の隅など光が入り込めないほど近接している場合にもできます。

塗りで表現することもありますが、私は線画を太くしたり墨溜まりをつくったりすることで表現しています。

【補足】オーバーレイレイヤーで統一感を出す

光源や物体の色、環境との関係などを一つ一つ考えながら描くのは大変ですし、うまく色の調整ができないとちぐはぐな印象になってしまいます。そんなときに役に立つのがオーバーレイレイヤーです。陰影などを描き終わったら、仕上げとしてオーバーレイレイヤーを一番上に追加します。そしてキャンバス全体を一色で塗り、不透明度を調節すれば絵に統一感を持たせることができます。これは環境光を絵全体に適応するイメージでおこなっています。そのため、このとき選ぶ色は周囲の色から適当な色を置いて色調補正するのがいいと思います。色味がまとまらないときに試してみてください。

【補足】自動陰影機能を使って影を付ける

CSP Ver.2で追加された新機能、自動陰影機能を使えば簡単にシチュエーションに合わせた陰影を付けることができます。以下の動画で自動陰影機能の使い方を紹介しているので参考にしてみてください。

Commentaire

Nouveautés

Nouveautés de la catégorie Officiel