シンプルモードでかんたん水彩風
シンプルモードで手軽にできる、水彩風イラストの解説付きメイキング。
最小限のブラシとテクスチャを使い、できるだけ簡単な手順で描いています。
記事の末尾にメイキングの動画版もあります。
使用したブラシと素材について
使用したブラシと素材はこちらで無料ダウンロードできます。
CLIP STUDIO ASSETS には多くのブラシやテクスチャがありますが、その中から好みのものを見つけるにも時間がかかるので、とりあえずシンプルな2本のブラシを作りました。
本格的な制作には不向きですが、いいブラシを見つけるまでの繋ぎくらいにはなるかもしれません。
ラフエッジ水彩は、水彩境界有り、テクスチャ無し、混色無しでストロークごとに色が重なるブラシ。
ぼかし水は、色がつかず、キャンバス上の色をぼかして混色するブラシ。水彩境界をオンにすれば、水を落としたような効果もできます。
テクスチャは、紙目を付与するWpaper3種と、水彩のにじみを付与するWater color texを用意しました。
素材パレットから貼り付けて、オーバーレイなどの合成モードにして重ねて使います。
色を塗る、色をぼかす、質感を出す、それぞれの役割を分けることで、分かりやすく簡単に塗れると考えて作りました。
基本的には、WpaperとWater color texを貼り付けたレイヤーの下に、ラフエッジ水彩で色を置き、ぼかし水でぼかす、の繰り返しで塗ります。
メイキング
CLIP STUDIO PAINT PRO for iPad のシンプルモードで制作していきます。
キャンバスはプリセットの正方形(1668x1668px)を選択しました。
印刷解像度のことは考えず、とにかく手軽に描くことを優先しています。
まずラフ〜下書き〜線画を鉛筆カテゴリのチョークで書きました。
素材パレットから、Wpaper_npとWater color texをサイズを調整して貼り付け、それぞれをオーバーレイに設定。
不透明度はいったん、Wpaperは30%前後、Water color texは80%前後にしています。
間違えて描き込まないよう、レイヤーロックもかけておきます。
あとはこのテクスチャレイヤーの下にレイヤーを作って描いていきます。
下塗り
線画のレイヤーの上に下塗り用のレイヤーを作り、乗算に設定。
ここからは主にラフエッジ水彩とぼかし水を使って塗ります。
まず全体に淡い色を置いてからぼかして下塗り。
ここではぼかし水の水彩境界をオンにしました。
ぼかしたあと、色がまだ濃いので、下塗りレイヤーの不透明度を少し下げました。
全体の塗り
下塗りを終えたら、また乗算のレイヤーを作り、ラフエッジ水彩でメインの色を塗っていきます。
ストロークごとに色が重なるのでむらになりますが、気にせず、むしろむらになるように塗っています。
おおまかに塗ったら、ぼかし水でぼかします。ここではぼかし水の水彩境界はオフにしました。
ぼかす時には、すべてを平坦にぼかすのではなく、むらやエッジ、塗り残しが適度に残るようにします。
また、塗りのはみ出したところも、少しであれば消さずに残します。
これにより、アナログの水彩のような雰囲気が生まれます。
乗算レイヤーを追加して、続きを塗っていきます。
全体を、この乗算レイヤー作成→色を置く→ぼかす、の繰り返しで塗っていきます。
ぼかし水の水彩境界は、効果が欲しい時などオンオフ切り替えつつ使っています。
影の塗り
全体に色が入ったら、影を塗ります。
同じように、乗算レイヤー作成→色を置く→ぼかすの繰り返しでOK。
影を塗る時には単に暗くするのではなく、色相の変化をつけて塗ると、透明感が出せます。
影が強すぎたので、影のレイヤーの不透明を下げました。
ハイライトと、テクスチャの調整
影もすべて塗り終えたら、線画の上に合成モード通常のレイヤーを作り、ペンや鉛筆を使って白いハイライトを描き入れます。
あとは、最初に作ったテクスチャのレイヤー2枚のロックを解除して、全体のテクスチャの強さを見ながら不透明度の調整をして、塗りの終了です。
全体の色調整
最後に全体の色を調整しますが、シンプルモードでは調整レイヤーやフィルターが使えないので、レイヤーの合成モードを利用します。
レイヤーを追加する「+」を長押しし、「統合レイヤーを追加」を選びます。
統合レイヤーは、キャンバス上に表示されているレイヤーを1枚に統合したレイヤー。
このレイヤーの合成モードや不透明度を変えながら、コントラストや彩度を調整します。
ここでは、統合レイヤーを2枚作り、乗算10%で色を濃く、オーバーレイ10%で彩度とコントラストを上げてみました。
気に入った結果になればサインを入れて完成です。
このメイキングで書いた方法は、使うブラシは少なく、同じ手順の繰り返しだけでできるため、難しく考えなくてもできる塗り方だと思います。
ここから、色々なブラシを使ったり、レイヤーの合成モードを変えたりと、自分なりの表現を発展させていくこともできます。
追記
2024/05/08 追記 : 上記メイキングと同じ手順で描き、プリセットブラシのスプラッシュ水彩や飛沫、合成モードの覆い焼き(発光)を使って効果を加えた絵の例。
動画
タイムラプス
解説付きメイキング 動画版
上記のメイキング内容を基にして作った動画です。
Kommentar