【1】CLIP STUDIO PAINTの合成モード全解説【はじめに~加算(発光)】

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駒米トオル

駒米トオル

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画像内に日本語で文章が書かれていますが、翻訳されるように同じ文章を記事内テキストに書き起こしているので安心してください。

 

以下、この記事と同じ内容ではありますが、動画も作成いたしました。

一部動画での説明もあるので、よろしければご覧ください。

 

▼動画

合成モードとは

まず、合成モードとは乗算やスクリーンなどレイヤーウインドウの上にあるこれのことです。

 

ブレンドモードや描画モードなど様々な呼び方がありますがここでは合成モードと呼んでいきます。

 

また、合成モードにはレイヤーの他に描画系ツールにも合成モードがあります。

 

基本的な処理は同じですが、描画系ツールにしかない合成モードもありますのでレイヤーの合成モードを主軸にブラシの方も合わせて解説していきたいと思います。

合成モードの並び順

実は合成モードは大まかにグループ分けされて並んでいます。

一番上の通常が基本となる効果

比較(暗)~減算 までが主に暗くなる効果

比較(明)~加算(発光)までが主に明るくなる効果

オーバーレイ~除算 までがコントラストや比較

最後、色相~輝度 が色の変化となります。

 

上にある暗くなる効果と明るくなる効果は大体対になるように並んでいるので、セットで覚えると合成モード選びが楽になるかと思います。

計算式について

合成モードの名前に乗算や加算といった数学の用語が用いられていますが、この名前の通り、色の合成処理には様々な計算が用いられています。

 

詳しい解説の時に一部この計算式をご紹介していくため、はじめに知っておいてほしいポイントを今から説明します。

 

まず、合成モードの計算で主に使用するのはRGB値という色の情報です。

カラーサークルウィンドウの右下、もしくはカラースライダーのRGBタブで表示される数字です。

0が黒で255が白となり、Red、Green、Blueがそれぞれどの程度含まれているかによって色が決まります。

 

そして、計算するときはこの0~255という数字を0~1に正規化して計算します。

少し違いますが感覚的には0%~100%みたいな感じです。

 

正規化された数値はRGB値÷255で求められます。

また、式に基本色、合成色、という言葉を用いて説明しますが、下のレイヤーの色を基本色、上のレイヤーで合成モードを変えた色のことを合成色と呼んでいきますので、しっかり覚えておいてください。

▼画像内テキスト

 

計算式

 

結果色=基本色*合成色/255・・・上のRGB値を入れて計算する

 

【正規化】

結果色=基本色*合成色・・・下の()の数字を入れて計算する

【1】通常

何も設定していない初期の状態です。

重なっている上のレイヤーの色をそのまま表示します。

【2】比較(暗)

下のレイヤーとRGB値を比較し、値が小さい方(暗い方)の色を表示します。

画像の合成をする際や、明るい色の部分だけ色を変えたい時に使えます。

カラー比較(暗)に比べて馴染むように合成されます。

←比較(暗) カラー比較(暗)→

【3】乗算

乗算は元の色より暗い色になります。

 

仕組みとしては名前の通り、RGB値を掛け算します。

 

【計算式】

結果色=基本色*合成色/255

結果色=基本色*合成色

 

単純な掛け算なので、合成色の明るさ(RGB値)が0.5の場合、基本色の明るさは×0.5、つまり半分の明るさになるということです。合成色が0.3なら3分の1の明るさになります。

 

乗算レイヤーは主に影を付ける時に使用されることが多いですが、色によっては少しくすんだような暗さにもなりやすいので注意が必要です。

 

また、下のレイヤーの明暗の比率をそのままに暗くすることが出来るので、全体に単色を薄く乗せることで元の印象をあまり崩さず、柔らかい雰囲気を作ったりすることも出来ます。

 

【4】焼き込みカラー

焼き込みカラーも乗算のように元の色より暗い色になりますが、コントラストが強くなります。

 

下のレイヤーを反転させたものを上のレイヤーで除算し、その結果を反転させています。

 

【計算式】

結果色=255-(255-基本色)*255/合成色

結果色=1-(1-基本色)/合成色

コントラストが大分強めに出るので、レベル補正と同じような使い方ができ、明るさのメリハリが欲しい時に少し上に乗っけてやると引き締まって見えるようになります。

 

黒が強く出るため黒飛びに注意が必要です。

【5】焼き込み(リニア)

各レイヤーを反転し、上のレイヤーを加算したものを反転させています。

 

【計算式】

結果色=255-{(255-基本色)+(255-合成色)}

結果色=1-{(1-基本色)+(1-合成色)}

 

結果色=0          和が255以下の時

    結果色+合成色-255 和が255以上の時

 

←焼き込みカラー 焼き込み(リニア)→

 

焼き込みカラーと似ていますが、焼き込みカラーほどコントラストが出ず、明るいところもしっかり暗くしてくれる合成モードです。

 

焼き込みリニアは3D眼鏡のようなフィルターを通して見た時のような色になります。

乗算に比べて彩度を少し高めつつしっかりと暗くしてくれるので、パキッとした影が描きたい時や、全体の色味を統一させたい時、闇や夜、陰などの表現にも向いています。

【6】減算

減算は名前の通りRGB値の引き算です。

 

【計算式】

結果色=基本色-合成色

←焼き込み(リニア) 減算→

 

実は減算と焼き込みリニアはほぼ一緒の効果です。

減算の色(色相明度彩度)を反転させて焼き込みリニアにすると、減算した時と同じ結果になります。

 

ただ、この2つで決定的に違うポイントは、焼き込みリニアの方は下のレイヤーと上のレイヤーが逆になっても結果は変わらないのに対して、減算の方は下のレイヤーと上のレイヤーが逆になると結果も変わるところです。

この特性を考えると、焼き込みリニアの方は基本となるレイヤーの上に焼き込みリニアレイヤーを作り、加筆加工することに向いており、減算の方は基本となるレイヤー自体を減算にしてしまい、下に通常レイヤーを作って加筆加工という使い方が良いのではないかと思います。

 

【7】比較(明)

比較(暗)の反対で、RGB値を比較したときに数字の大きい方(明るい方)を表示する合成モードです。

 

イラストを複製して少しぼかし、比較(明)にすると手軽にディフュージョン効果と呼ばれる、光が拡散するような加工をすることが出来ます。

【8】スクリーン

スクリーンは乗算の反対の効果で、下のレイヤーの色を明るくします。

 

【計算式】

結果色=基本色+合成色-基本色*合成色/255

結果色=1-(1-基本色)(1-合成色)

 

少し複雑ですが、基本色、合成色共に反転させたものを乗算し、その結果をさらに反転させています。

←元絵 スクリーン→

 

乗算と似て、スクリーンも色によっては白くくすんだように明るくなるため、柔らかい光の表現などに向いている合成モードです。

【9】覆い焼きカラー

焼き込みカラーの反対で、コントラストを高めつつ明るくします。

 

仕組みとしては、上のレイヤーを反転させたもので下のレイヤーを除算しています。

 

【計算式】

結果色=基本色*255/(255-合成色)

結果色=基本色/(1-合成色)

 

光らせたいわけじゃないけど、明るく彩度を高めたい時などに使いやすいかと思います。

【10】覆い焼き(発光)

順番的に焼き込みリニアの反対かと思ってしまうところですが、覆い焼き(発光)は覆い焼きカラーの亜種的な合成モードです。

 

合成色が不透明度100%の時は覆い焼きカラーと同じ効果ですが、半透明になった時に覆い焼きカラーよりも効果が強く出ます。

 

 

覆い焼きカラーで使用する色がどんどん黒に近づいていくような効果が覆い焼き(発光)では不透明度で出来るようなイメージです。

 

←覆い焼きカラー 覆い焼き(発光)→

 

ギラギラとかなり強めの光のような表現に向いているので、金属の光沢などに向いています。

【11】加算

加算は焼き込みリニアの反対の効果で、ソフトによっては覆い焼き(リニア)という名称です。

仕組みは単純にRGB値を足し算するだけです。

 

【計算式】

結果色=合成色+基本色

 

←元絵 加算→

 

コントラストを高めたい訳じゃないけど強めの光が欲しい、発光させたい時に向いている合成モードです。

【12】加算(発光)

こちらも覆い焼き(発光)同様に加算の亜種で、半透明部分でも強い効果を持つ合成モードです。

 

←加算 加算(発光)→

 

覆い焼き(発光)同様に加算の発光感を残しつつ調整したい時などに向いています。

 

 

 

 

以上で第一弾終了とします。次回、オーバーレイ~輝度まで解説します。

 

【2】オーバーレイ~輝度

https://tips.clip-studio.com/ja-jp/articles/4163

 

【3】透過~消去(比較)

https://tips.clip-studio.com/ja-jp/articles/4165

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