補正レイヤーの使い方

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夜鼠

夜鼠

はじめに

こんにちは、夜鼠です。この記事を見てくださってありがとうございます!

 

この記事では補正レイヤーの各機能についての説明を実際にイラストを用いて詳しく説明したいと思います。

 

ぜひ最後まで見ていただけると嬉しいです!

補正レイヤーとは

クリスタでは色調補正といって、イラストの明るさや鮮やかさ、色味などを変えることができます。

 

一般的なやり方だとイラストが描いてあるレイヤーや画像を直接調整するのですが、そうすると調整前の状態に戻したい時に自由に戻すことが出来なくなってしまいます。

 

しかし「非破壊編集」という方法をとれば、調整したい対象レイヤーや画像などの元データに直接手を加えることなく調整作業を行うことができるため、調整前の元データの状態に戻すことが出来ます。

 

補正レイヤーとはその「非破壊編集」を行うための機能です。

適用方法

「レイヤー」→「新規色調補正レイヤー」から「明るさ・コントラスト」や「色相・彩度・明度」などの任意の項目を選択し、数値を調整して適用します。

 

すると補正レイヤーが作成され、補正レイヤーより下のレイヤー全てに先程適用した補正がかかります。

 

一部のみに補正を適用したい場合、以下の方法があります。

①、クリッピングマスク…一つのレイヤーのみに補正がかけられ、クリッピング元のレイヤー以外は補正がかかりません。赤枠のアイコンからクリッピングマスクが適用できます。

 

②、フォルダに入れる…複数のレイヤーにいっぺんに補正をかけることが出来、補正レイヤーより下のレイヤーであってもフォルダ外であれば補正が適用されません。

 

③、フォルダーにクリッピングマスクをする…効果は②と同じで、クリッピング元のフォルダー内のレイヤーのみに補正が適用されます。

 

 

ここからは実際にイラストも用いて説明したいと思います。

今回使用するのはこちらの薔薇のイラスト

こちらを素材として複数のイラストに使いまわすと想定し、背景色や使用状況を変えてそれに馴染むように加工していこうと思います

明るさ・コントラスト

まずは黒背景

 

このままでもそう悪くはないですが、補正レイヤーの「明るさ・コントラスト」を使ってドラマチックな雰囲気にしたいと思います。

「レイヤー」→「新規色調補正レイヤー」から「明るさ・コントラスト」を選択。

 

すると選択していたレイヤーの上に新規補正レイヤーが作成され、このようなポップアップが表示されます。

 

明るさとコントラストそれぞれに灰色のバーがあり、バーの中心にある三角のポイントを右に移動させればイラストの明度がやコントラストが上がり、左に移動させれば下がります。

今回は明るさを-80に下げ、コントラストを40に上げました。

 

元の薔薇より濃い色になりましたね。

 

しかしこのままでは黒に馴染むというより紛れてしまっているので、レイヤーマスクを使って更に調整します。

赤枠で囲ってある部分がレイヤーマスクです。

レイヤーマスクとは画像の一部を切り抜く為の非破壊編集機能です。

 

赤枠の部分を選択してからイラストの上で消しゴムをかけるとその部分が消え、マスクを削除するか消しゴムをかけた部分に鉛筆で色を置くと再びイラストが表示されます。

 

ちなみに、

マスクを選択し、ゴミ箱へドラッグ&ドロップするとマスクが削除でき、

赤枠のアイコンをクリックするとマスクが作成されます。

 

今回は薔薇にスポットライトが当たっているような雰囲気にしたかったため、内側の花びらや葉の先を中心にやわらかく消しゴムをかけます。

 

この場合、補正レイヤーにマスクをかけているので、マスクの白い部分は補正が適用され、黒い部分は補正がかかっていない元画像のままの状態ということになります。

 

Before  →  After

加工前よりもイラストが背景と馴染み、暗い部屋でバラの花に光が当たって浮かび上がっているようなドラマチックな雰囲気になりました。

色相・彩度・明度

次は「色相・彩度・明度」です

 

それぞれ名前の通り、色の系統や鮮やかさ、明るさを変えられます。

上の画像のような場合、薔薇と背景の色が同系色でメインの薔薇の花が目立っていないため、花びらの色を変更します。

 

「レイヤー」→「新規色調補正レイヤー」から「色相・彩度・明度」を選択。

色相-140、彩度60、明度-10にします。

 

すると濃い青色の花びらになりました。

しかし葉と茎の色がおかしくなってしまっているので、マスクで色相補正の影響を受けないようにします。

 

これで茎まで違和感のない鮮やかな青い薔薇になり、背景との差が出来ました。

諧調化

次は諧調化です。

 

諧調とはコンピューターで画像を表示する際に色の濃淡などを何段階で表せられるかを示す数値のことです。

諧調の数値が多い程画像を滑らかに表現できます。

 

「レイヤー」→「新規色調補正レイヤー」から「諧調化」を選択し、数値を調整すると以下のようになります。

元画像 → 20 → 15 → 10

5 → 4 → 3 → 2

諧調数を下げていくごとに色数が減り、2が最低値です。

 

5以下からの変化が顕著ですね。

 

アップにするとこんな感じ。

諧調化を全体に用いることでドットゲームのような雰囲気なイラストに出来たり、イラストの一部だけ諧調を下げることによってアクセントとして使えます。

諧調の反転

次は諧調の反転です。

 

「レイヤー」→「新規色調補正レイヤー」から「諧調の反転」を適用。

すると白い部分が黒に、色のある部分は元の色と反対の色相に変化します。

 

使える場面はそう多くはないと思いますが、見慣れない色合いになるので印象的な画面が作れます。

 

レベル補正

次はレベル補正です。

 

「レイヤー」→「新規色調補正レイヤー」から「レベル補正」を選択。

「入力」にある黒い三角のポイントを右にスライドすると画像の暗い部分を調整でき、白い三角のポイントを左にスライドすると画像の明るい部分を調整できます。真ん中の灰色のポイントは左右に調整することで中間の明るさを調節できます。

 

「出力」にある黒い三角のポイントを右にスライドすると、画像全体の暗さの最低値を決められ、白い三角ポイントを左にスライドすると画像全体の明るさの最高値を決められます。

 

実際に調節したものがこちら↓

←入力の黒いポイントを調整 入力の白いポイントを調整→

入力の灰色のポイントを左右に調整

←出力の白いポイントを調整 出力の黒いポイントを調整→

 

 

その他にもチャンネルを選択し、赤、緑、青それぞれの色のみを調整することも可能です。

 

出力を調整した後に入力を調整するなど、これらを駆使して画像を自分の狙った明るさに調整できます。

トーンカーブ

次はトーンカーブです。

 

トーンカーブはイラストの明るさを調整することができます。

 

「レイヤー」→「新規色調補正レイヤー」から「トーンカーブ」を選択。

レベル補正と同じように、チャンネルから調整したい項目を選ぶことが出来ます。

今回はRGBのまま全体を調整していきましょう。

 

画像の明暗を調整するには、グラフ上の線の形を変えることによってできます。

 

グラフの横軸は元のイラストの明るさを示しており、縦軸は調整後の明るさを示しています。

グラフを下に引っ張ると画像が暗くなり、上に引っ張ると明るくなります。

 

今回はこのように元々明るかった部分を更に明るく、暗かった部分を更に暗く調整しました。

コントラストが強まって鮮やかな薔薇になりましたね。

 

グラフをコントロールするためのポイントは任意で増やせるため、チャンネルの選択も併せてもっと細かく調整することができます。

 

慣れるまで少し調整が難しいですが、レベル補正よりも直感的な調整ができると思います。

カラーバランス

次はカラーバランスです。

 

カラーバランスとは名前の通り色の釣り合い方を調整する機能です。

写真やイラストが全体的に赤味がかっていたり青みがかっているなど、意図せず色が偏ってしまっている時にその色を取り除くのに使われることが多いです。

 

「レイヤー」→「新規色調補正レイヤー」から「カラーバランス」を選択。

「カラーバランス」枠内のスライダーでそれぞれの色の量を調整できます。

「諧調のバランス」でそれぞれ暗い部分、中間、一番明るい部分の色味を管理しています。

 

以下が中間調のみを調整した場合

以下がシャドウのみを調整した場合

以下がハイライトのみを調整した場合

上記ではシャドウ、中間色、ハイライトそれぞれ単体で調整していますが、諧調のバランスを切り替えることで同時に調整することも出来ます。

 

このように色味を寄せることが出来るので、青みがかっているのを取り除きたい時にはイエローを多めに、といった具合に調整していくと良いです。

2値化

次は2値化です。

 

2値化とは、画像を白の黒の2諧調に変換することを言います。

 

「レイヤー」→「新規色調補正レイヤー」から「2値化」を選択。

閾値(いきち)とは、ざっくり説明するとイラスト内のどこまでを白に、どこまでを黒にするかという境目の値を指します。

 

閾値を変更することによって見た目が変わり、値を大きくすると黒に、小さくすると白になります。

 

1 → 255

 

中間色がなくなるため拡大縮小した時に画質に影響しなくなります。

 

なので、どうしてもイラストのサイズを大きくしなければいけない時などに線画を2値化してから拡大するとぼけずに大きくすることが可能。拡大したあとに軽くぼかしをかけると多少馴染ませることができます。

グラデーションマップ

次はグラデーションマップです。

 

グラデーションマップとは画像内の明暗に合わせて色を置き替えることが出来る機能です。

 

今回はこちらの画像で実践していきます。

「レイヤー」→「新規色調補正レイヤー」から「グラデーションマップ」を選択。

このようなポップアップが表示されるので、「グラデーションセット」というところから好きなグラデーションをダブルクリックします。

 

するとこのように、

グラデーションマップの一番左側の色が画像の一番暗い色に、右側にいくに従って順々に明るい色へ適用されていき、グラデーションマップの設定によって様々な色合いに簡単に変えることが出来ます。

 

今回はカラーイラストにグラデーションマップを適用しましたが、明暗によって色が配置されるのでグリザイユ画法のようにグレースケールのイラストにも適用することができます。

クリップスタジオペイントにはデフォルトでいくつかのグラデーションマップが用意されており、このようなサーモグラフィーのようなイラストも簡単に作れますし、グラデーションマップを全体にかけ補正レイヤーの透明度や合成モードを変更するとイラスト全体に統一感を出すことが可能です。

 

グラデーションマップは自分で作成することもできますし、クリップスタジオの「素材を探す」から追加することも出来ます。

簡単にイラストの雰囲気を変えることが出来るのでぜひ試してみてください。

適用後の変更

さて、ここまで補正レイヤーの機能を紹介してきました。

しかし一度適用したけれどやっぱりちょっと違うな、という場合もありますよね。

でもいちいち補正レイヤーを消して適用し直すのは面倒です。

 

そういった時は下の画像の赤枠部分をダブルクリックしてみてください。

すると再びポップアップが表示され、補正レイヤーを作り直さなくても一度適用した補正の数値などを変えることが出来ます。

最後に

以上で補正レイヤーの機能紹介は終わりです。

 

最後まで読んでくださりありがとうございました。

この記事が少しでも読んでくださった方々の役に立ってくれると嬉しいです。

 

個人的にはデジタルでイラストを描いていく上で補正レイヤーは欠かせないものだと思います。補正レイヤーを複数組み合わせることで自分では思いつかなかった効果や色合いを見つけることが出来るのでぜひ使ってみてください!

 

それでは、また別の記事でお会いしましょう!

 

夜鼠

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