レイヤーのLT変換機能の基本的な使い方【EX】

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CLIP STUDIO PAINT Ver.3.1.0対応

EX版の便利な機能である、画像や3Dモデルを線画レイヤーとトーンレイヤーに分けて抽出する[レイヤーのLT変換]について紹介します。

 

3Dレイヤーに配置した背景と小物や、ラスターレイヤーに貼り付けた風景写真の画像などに[レイヤーのLT変換]を行うことで、漫画の背景やイラストの線画に馴染むように短時間で簡単に編集することができます。

 

[1]レイヤーのLT変換手順

①変換ができるレイヤーや画像などをキャンバスに読み込み、配置します。

大きさや角度などの構図はこの時点でしっかり決めておきます。

 

・画像素材「jpn07」

・3D素材「教室廊下01」

写真を使用する場合は、あらかじめコントラストなどを調整しておくとメリハリが出やすくなります。

 

②[レイヤー]パレットで変換したいレイヤーを選択した状態で、[レイヤー]メニュー→[レイヤーのLT変換]をクリックするか、または[レイヤープロパティ]パレット→[ライン抽出]→[レイヤーのLT変換を実行]をクリックします。

 

③[レイヤーのLT変換]ダイアログが表示されたら、プルダウンからプリセットを選択し[OK]ボタンをクリックして変換します。[プレビュー]にチェックを入れると変換前に変換後のイメージを確認できます。

今回は[コミック(網点トーン)]を選択しました。

 

左:画像など3Dレイヤー以外のLT変換 / 右:3DレイヤーのLT変換

 

④変換が終わりました。

 

変換された線画とトーンは「元のレイヤー名 2」レイヤーフォルダー内に作成されます。

※作成されるレイヤー数は、元のレイヤーの種類や階調化の設定によって異なります。

線画は[3D形状輪郭線]レイヤーや[輪郭線]レイヤーに描画され、トーンは階調化で指定した数だけトーンレイヤーが作成されます。

テクスチャから検出された線画は[テクスチャ輪郭線]レイヤーに描画されます。

[下地]はオブジェクトの形に白く塗りつぶされたレイヤーです。下にあるレイヤーの絵が透けてしまうことを回避します。

 

【NOTE】Ver.3.0以前のレイヤーのLT変換ダイアログ

CLIP STUDIO PAINT Ver3.0以前では、[レイヤーのLT変換]ダイアログに表示される項目が異なります。また、プリセット機能はありません。

 

[2]レイヤーのLT変換(3Dレイヤー以外)

画像などの、3Dレイヤー以外のLT変換で表示されるダイアログの項目について紹介します。

[レイヤーのLT変換]ダイアログにはプリセットの選択枠に加えて、[線画]と[トーン]の2つのカテゴリがあります。それぞれのカテゴリを選択すると細かな項目が表示されます。

 

ここでは、[プリセット]と[線画]カテゴリの紹介をしています。 [トーン]カテゴリについては[4]トーンの調整をご覧ください。

 

プリセット一覧

デフォルトのプリセットが4種類登録されています。

 

①コミック(網点トーン)

線画と網点トーンをモノクロで表現します。

線画はラスターレイヤーに変換し、網点トーンは濃度ごとにレイヤーが分けられます。

 

②コミック(グレースケール)

線画をグレーで表現し、ラスターレイヤーに変換します。

トーンはグレーのべた塗りレイヤーが濃淡ごとに分かれて変換されます。

 

③ハイコントラスト

線画をグレーで表現し、ラスターレイヤーに変換します。

線画、トーンともに少ない階調で表現され、明暗差が大きくなります。トーンは白とグレーのべた塗りレイヤーにそれぞれ変換されます。

 

④ハッチング(ノイズトーン)

線画をグレーで表現し、ラスターレイヤーに変換します。

トーンの種類が[ノイズ]で変換され、ハッチング表現で出力されます。

 

線画の調整

[線画]カテゴリでの線画の調整について紹介します。

 

①線の検出方法

線の出力レイヤーの表現色を[グレー][モノクロ]から選択できます。

 

②線の検出

①で選んだ検出方法によって、調整できる項目が異なります。

 

グレーを選択した場合

線幅調整:検出する輪郭線の幅を調整できます。

線の検出量:値が大きいほど線画としてとらえる部分が広くなります。

 

モノクロを選択した場合

線幅調整:検出する輪郭線の幅を調整できます。

線の密度:値が大きいほど抽出する線の密度が高くなります。

 

③階調化

階調化してから抽出:チェックを入れると、レイヤーを階調化してから輪郭を抽出します。

 

 

[3]3DレイヤーのLT変換

3DレイヤーのLT変換で表示されるダイアログの項目について紹介します。

ダイアログにはプリセットの選択枠に加えて、[3D線画]、[テクスチャ線画]、[トーン]の3つのカテゴリがあります。それぞれのカテゴリを選択すると細かな項目が表示されます。

 

ここでは、プリセットと[3D線画]、[テクスチャ線画]カテゴリの紹介をしています。

[トーン]カテゴリについては[4]トーンの調整をご覧ください。

 

プリセット一覧

デフォルトのプリセットが6種類登録されています。

 

①コミック(網点トーン)

線画と網点トーン、テクスチャの輪郭線をモノクロで表現します。

線画はラスターレイヤーに変換し、網点トーンは濃度ごとにレイヤーが分けられます。

 

②コミック(グレースケール)

線画をモノクロで表現し、ラスターレイヤーに変換します。

トーンはグレーのべた塗りレイヤーが濃淡ごとに分けられて変換されます。テクスチャ輪郭線は①と異なり、グレーで表現します。

 

③線画抽出

3D線画のみを抽出し、ラスターレイヤーに変換します。

 

④線画抽出(ベクターレイヤー)

3D線画のみを抽出し、ベクターレイヤーに変換します。

 

⑤線画抽出(奥行き)

3D線画のみを抽出し、奥にある線幅は細くなるようにラスターレイヤーに変換します。

 

⑥線画抽出(大きなモデル向け)

大きい3Dモデル用に線画抽出の精度を調整して3D線画のみを抽出し、ラスターレイヤーに変換します。

 

3D線画の調整

 

①レイヤーの種類

線の出力レイヤーを[ラスターレイヤー][ベクターレイヤー]から選択できます。

 

②3D線の検出

線幅や線の検出量、3Dモデルのアウトラインを強調する効果の強さを設定できます。

 

①で[ベクターレイヤー]を選んでいる場合は、[ブラシの種類]にチェックを入れることでプルダウンから3D線画のブラシ形状を指定できます。

 

③線の奥行き

チェックを入れると、奥と手前の線の太さに強弱を付けられます。グラフの上下の差を大きくすると奥行きの強調された線になります。また、[アウトラインのみ適用]にチェックを入れると、アウトラインのみ強調されます。

 

④スムーズ

線の滑らかさを設定できます。[レベル]の数値が大きいほど線を滑らかにする補正が強くなります。

 

テクスチャ線画の調整

[テクスチャ線画]カテゴリで、3Dレイヤーのテクスチャを線に変換するための調整について紹介します。

①線の検出方法

線の出力レイヤーの表現色を[グレー][モノクロ]から選択できます。

 

②線の検出

①で選んだ検出方法によって、調整できる項目が異なります。

 

グレーを選択した場合

線幅調整:検出する輪郭線の幅を調整できます。

線の検出量:値が大きいほど線画としてとらえる部分が広くなります。

 

モノクロを選択した場合

線幅調整:検出する輪郭線の幅を調整できます。

線の密度:値が大きいほど抽出する線の密度が高くなります。

 

③階調化

階調化してから抽出:チェックを入れると、レイヤーを階調化してから輪郭を抽出します。

 

 

[4]トーンの調整

[トーン]カテゴリにチェックを入れると、陰影を変換するための細かな調整を行えます。指定した階調数に応じたトーンレイヤーやべた塗りレイヤーが作成されます。

 

階調化

[階調化]にチェックを入れると、陰影をアニメ塗りの様に階調のあるものに変換します。チェックを入れない場合はなめらかなグラデーションの陰影で表現されます。

[階調化]では、スライダーで階調の範囲を調整できるほか、作成されるトーンの数や濃度を調整できます。

【A】数値をクリックするとトーンの濃度(%)を調整します。

【B】ノード(▲)で影を深さ(階調の範囲)を濃度ごとに調整します。

 

欄外にドラッグするとノードを削除できます。また、空いている部分をクリックするとノードを追加できます。

 

[グレースケール]のチェックが外れているときは、トーンで陰影が表現されます。

トーンの形状は[種類]のプルダウンから選べます。トーンレイヤーでトーンを作成するときと同様に、角度や線数も細かく設定できます。

※[種類]で設定した内容はプレビューには反映されません。

[グレースケール]にチェックを入れると、グレーの濃淡で陰影が表現されます。

 

LT変換のトーンをすっきりさせるには

3Dモデルが光源の影響を受けないようにする

陰影が表示された3DモデルをLT変換すると、意図しない影の形やテクスチャの模様がトーンとして変換されてしまうことがあります。

 

思うような変換結果を得られなかったときは、[オブジェクト]サブツールで3Dレイヤーを選択し、[ツールプロパティ]パレットの[このモデルは光源の影響を受ける]のチェックを入れずに、陰影が表示されない状態でLT変換をしてみましょう。

 

3Dのテクスチャを非表示にする

テクスチャが付いている3DモデルをLT変換するとテクスチャの模様も階調化されるため、ごちゃごちゃとした見映えになることがあります。

光源の影響でできた影のみを表現したいときなど、すっきりした印象に仕上げたい場合にはテクスチャを非表示にした状態でLT変換をしてみましょう。

キャンバス上の3Dデータを選択した状態で、[ツールプロパティ]パレットの右下にある工具マークをクリックして[サブツール詳細]パレットを表示させます。

[サブツール詳細]パレットの[環境]→[レンダリング設定]をクリックし、[テクスチャを使用する]のチェックをオフの状態に変更します。

 

ただし、法線マップ(ノーマルマップ)が適用された3Dモデルは[テクスチャを使用する]をオフにすると、模様や凹凸が消えてしまうため、[テクスチャを使用する]をオンにした状態で使用してください。

 

[5]LT変換の設定をプリセットに保存する-Ver3.1以降-

Ver3.1以降のLT変換ダイアログにはデフォルトでプリセットが登録されていますが、よく使用する設定を新たに[プリセット]として保存することもできます。

 

線幅やブラシ形状など、登録したいパラメータを設定した上で[プリセット]の右にある[プリセットに登録]ボタンをクリックします。

プリセット名を入力して、[OK]をクリックするとプリセットが登録できます。

 

作成したプリセットの名前を変更したり、削除したい場合は、[プリセットに登録]ボタンの右にある[プリセットを編集]ボタンをクリックして、[プリセットの編集]ダイアログを開きます。

削除したいプリセットや名前を変更したいプリセットを選択した状態で、[削除]や[プリセット名を変更]から編集ができます。

また、プリセット名の右側にあるグリップをドラッグすることで順番の入れ替えが可能です。 編集を終えたら[OK]をクリックして設定を保存します。

※初期登録されているプリセットは、削除や名前の変更ができません。

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