「雲」ってなんだ? 魅力的な空を描くために

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エキストリーム納豆

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本TIPSの目的

イラストにおいて、何となく感覚だけで雲を描いている人は非常に多いと思われます。

資料写真を参考にそのまま書く場合も、雲が何なのか理解したうえで描いているとは限りません。

 

空に浮かぶ雲が科学的にどういうあり方、見え方をしているのかをちゃんと把握すると絵で描く際に強く参考に出来、表現が一段アップデートできるのではないでしょうか?

というのが、今回のTIPSの目的です。

水平線近くにある遠景の雲

まず空に雲を描くイラスト・風景画背景画技法として、空にアタリとなるグリッドを書いてからそれに沿って雲を配置するというのがあります。

 

このグリッドは人工物を描く時ほど厳密に正確に引く必要はありません。

雲は形も配置も曖昧な自然物ですから。

まずは全体的にほぼ平面上に雲を描くだけでいいですが、赤で囲った部分をご覧ください。

その日の天気次第ではこういった水平線上に近い場所に、ほとんど真横から見える形で複雑に重なりあった雲が見えるわけです。

ここだけは立体的に描く必要があります。

 

しかしはかなり低い位置にある雲であるため、このような事も起こります。

このように、近くに山でもあれば隠れてしまいます。

仰角にして10度もあればこの位置の雲は完全に見えなくなります。

とはいえこのぐらいの山となると迫ってくるような存在感があり、つまり少なくとも日本の場合はそれなりに山がちな田舎特有の風景と言えるでしょう。

 

地形が水平線近くの複雑な雲を隠すのは、それだけで高低差のあるロケーション表現として成立するわけですね。それが山なら田舎になります。

高層の雲

雲は発生する高さによって大まかに下層雲、中層雲、上層雲の3種に分類されています。

 

上層運としては巻雲(すじ雲)、巻積雲(うろこぐも、いわしぐも)、巻層雲(うすぐも)

中層雲としては高積雲(ひつじぐも)、高層雲(おぼろぐも)、乱層雲(あまぐも)

下層運としては層積雲(くもりぐも、うねぐも)、層雲(きりぐも)、積雲(わたぐも)、積乱雲(にゅうどうぐも)

 

以上の十種類で十種雲形という分類がなされます。さらにここから細かく分けると400種にもなると言いますが、さすがに専門家や趣味でもなければそこまで覚える必要はないでしょう。

絵描きとしては、せいぜい必要に応じて10種類の雲を資料を見ながら描き分けるぐらいが出来れば空の描写がうまい人になれます。

なるべく正確に描くなら上中下層の3層のグリッドをアタリにしたほうがいいのですが、そこまでやっている時間がないなら雲は一層でいいし、ちょっとリッチにしたい場合もグリッドは二層もあれば最低限の労力で絵としての見栄えを増強させることが可能です。

 

これは下層のわたぐもに上層の巻積雲、巻雲を足した程度ですが晴れた日の雲の表現としては積雲のみよりは情景として感情に訴えかけやすいのではないでしょうか。

雲の陰影はなんか変…?それは、コロイドだからです

雲の陰影を観察していると、何か違和感は感じないでしょうか。

どう見ても我々がよく知る物体の陰影とルールが違う。なんか変。

例えば観測者から見て順光とは言えないけど逆光というほどでもない角度から雲を見た時、このように雲の真ん中らへんに陰が見えるわけです。

これは我々のよく知る光と影のルールに照らし合わせると「変」なわけですが、晴れた空に雲が浮かんでいるのを見上げると条件が同じなら必ずこうなっている以上物理現象として変なわけがない。

 

ではどうしてこうなっているのか?

それは、雲がコロイドだからです。

コロイドとは、気体/液体/個体を構成する粒子と、それより大きな粒子が混じり合った状態の物体を言います。

身近な例ではミルクとか泥水もこれにあたります。

大きな粒子は「濁り」と認識して差し支えはないでしょう。

雲は空気と、それよりかなり大きな水滴や氷の粒子が混じった状態のものということです。

さて雲の見え方で重要な点として挙げるとすれば、「コロイドは濁って見える」「コロイドは光の散乱を起こす」という性質でしょう。

濁りに見えるという点は感覚的に分かるかと思います。

 

さて、雲と言えば白ですね。

ですがこの白は、雲自体の地の色ではありません。

あれは光の散乱によってそう見えているわけです。

 

光の散乱を起こしたコロイドは、そのものが光っているかのような見た目になります。目に美しい例としてはチンダル現象や天使のはしごなどが有名でしょう。

 

雲の白を作り出す散乱はミー散乱と名付けられています。

 

雨雲が黒く見えるのは密度が高いために散乱した光が地上からは見えないからで、雲自体の地の色はむしろ雨雲のような色と認識したほうがいいのかもしれません。

ただし上から見た雨雲は普通に白いです。

密度も低く量も少ない雲はほぼ全体が光の散乱を起こすため、そのものの中に陰は見えません。

 

 

では話をこのように見える雲に戻します。

コロイドが起こす光の散乱と言うのは、ものすごい勢いで光を減衰させるんです。

つまりこれは、雲の真ん中らへんまで太陽光が届いていないからできた陰ということです。

そして光の散乱を起こすコロイドの見え方として、

逆光に近ければ近いほど光と影の具合で透明性が強調されるというのがあります。

まあどれだけ強調しても半透明程度には収まりますけどね。

この赤で囲ったあたりが白く見えるのは、雲の外縁なので粒子密度が低く太陽のやや反対側ではあっても光が届いているからです。

これが認識できると、「なんでこの雲にはこんな陰がついてるんだ?」という疑問が氷解することでしょう。

つまり、半透明な物体の真ん中らへんだけが光ってないから見える陰なのです。

空の青が真上に近いほど濃い理由

青空と言うのは真上に近いほど濃く、地表近くほど白っぽく見えます。

なので絵の上でもグラデーションやエアブラシを使いそのように塗ればいいわけです。

この空が青い理由は、大気が光の散乱を起こすからです。

レイリー散乱と名付けられたこの現象は、ミー散乱とともに風景画の空気遠近法の表現として重要ですので覚えておいて損はないです。

 

さて、なぜそれが青色かと言いますと…

光の成分のうち波長が短いものほど空気の粒子にぶつかって散乱を起こしやすく、しかし紫は人の目からは目立ちにくい。

だから結果として青く見えるわけです。

 

そして地表近くの大気にはチリや水滴が多く含まれ、雲ほどではないけどミー散乱を起こします。

だから真上の空ほど空の青が濃い現象の説明としては、「直上に近い角度ほどミー散乱の影響による白っぽさがないから」となります。

作衛・まとめ

以上の事をまとめまして、

太陽が画面外のちょっと右側奥にあるぐらいのイメージによる作例です。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

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