上手・下手を意識した構図(2人以上のキャラクターの構図の作り方)
突然ですが問題です。
下に2枚の画像があります。
どうやらA子のアイスをBが勝手に食べてしまったようです……。
もちろんA子は怒り心頭!Bに詰め寄り――というイラストですが、
構図では①と②、どちらが自然に見えるでしょうか?
正解は②!
2枚を比較してみると、A子が右・Bが左の方がしっくりきませんか?
①も状況はわかるのですが……②に比べると、A子がBに詰め寄る勢いが弱く感じませんか?
キャラクターが複数の場合、左右どっちに置くべきか、実は定石のようなものがあります。
イラストや漫画のみならず、アニメや映画・CM等にも積極的に使われています。
その方法とは――
――上手と下手を意識すること。
今回は構図を決める上で大事な上手・下手のTIPSをご紹介します。
基本は”上手が右・下手は左”
上手……かみて。強者、目上、年長者、立場が上の人物。
下手……しもて。弱者、目下、年少者、立場が下の人物。
そして上手は右、下手は左の構図が安定する。
このイラストだと、A子の方が体格が大きいですし、ケンカしたら普通にA子が勝ちそうですよね。
なので上手はA子、下手はBになります。
そして上手を右に、下手を左に配置すると自然な感じの構図になります。
これらの方法は例えば歌舞伎などの古典芸能にも使われてきました。
舞台で言えば、観客から見て右側に目上の者・上司が座り、左側に目下の者・部下が座る――など。
一人二役を演じる落語ですと、上手役の時は観客から見て←方向を向いてしゃべり、下手役の時は→方向を向いてしゃべります。
下手←上手の構図でスピード感が生まれる
上手・下手を意識した構図にすると、絵にスピード感が生まれます。
下の漫画は、トラックがイカのロボットに捕まり――
それを黒いロボットが鎌で両断し助ける、というシーンですが、下の①と②を比較するとどうでしょう?
どちらもスピード感がでるよう同じエフェクトをかけていますが、←方向の流れがある①の方がスピードが出ているように感じませんか?
これは車のCMでも使われているように思います。
何社かの車メーカーのCMを見てみると、←方向に走る車のシーンが多くありませんか?
感覚的ではありますが、←方向に走る方がスピード感がでるように感じるから――ではないでしょうか。
――なので、上手・下手をちゃんと意識するとスピード感がある構図となります。
逆転シーンにハリが出る
下手が上手に反撃すると、逆転シーンにハリが出る。
上のイラストを見て下さい。
女性が自分の何倍もの大きさのゴーレムに、反撃キックをしているシーンなのですが――
どちらの方がインパクトがありますか?
正解は――
――②です。
このイラストですと、体が大きくて硬そうなゴーレムが上手となります。
女性が不利な状況で、なんと彼女はゴーレムを蹴り飛ばしました!
強そうな上手のキャラが安定の右にいて、武力で劣るはずの下手のキャラが左から反撃する……すると上手から下手への一方的な流れに大きな変化が生まれ、逆転シーンにハリがでます。
また、漫画の場合は上手・下手が切り替わるコマを入れると攻守の切り替えがスムーズにできます。
先ほど、イカのロボットを両断した上手の黒のロボット。
そこへ新しい敵が現れロボットを一撃で殴り飛ばしました!
上手にいたはずの黒のロボットが下手にまわり、形勢を逆転されました。
このとき上手と下手が入れ替わるコマを入れることで、自然な感じで上手・下手の切り替え=攻守の逆転ができます。
まとめ
2人以上いる構図を決めるときの基本
・基本は”上手が右・下手は左”
・下手←上手の構図でスピード感が生まれる
・逆転シーンにハリが出る
上手・下手の基本をおさえれば、イラスト・漫画・アニメ等の絵に安定感やスピード感、もしくはハリのある変化が生まれます。
ただ全てのシーンにこれを無理にあてはめようとすると絵が単調になるので、要所要所で、必要に応じて使っていただければと思います。
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