『花のち晴れ』神尾葉子先生のデジタル創作の変遷とCLIP STUDIO PAINT『花より男子』

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ClipStudioOfficial

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(C)神尾葉子/集英社

 

『花のち晴れ~花男Next Season~』を連載中の神尾葉子先生に、マンガ制作にデジタル(ComicStudio、CLIP STUDIO PAINT)を導入したきっかけや、現在の制作フロー、使用しているツールについてお話を伺いました。

 

■Profile:神尾葉子

東京都出身。『はたちのままで待ってる』でデビュー。1992年から連載した『花より男子』が空前の大ヒット。第41回小学館漫画賞を受賞した。

現在は「少年ジャンプ+」で『花より男子』の新章となる『花のち晴れ~花男Next Season~』を連載中。

 

■『花のち晴れ~花男Next Season~』

 

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*この記事は日本語です。 日本語以外のサイトでは、機械翻訳されています。

 

 

デジタルでいろいろなソフトを試してみた結果、ComicStudioとCLIP STUDIO PAINTに落ち着きました。

―マンガの制作にデジタルを取り入れられたのはいつ頃ですか?

 

神尾 今から11年くらい前、「まつりスペシャル」という作品を「ジャンプSQ.」に連載していた頃からです。当時、MacとPhotoshopにとても詳しいアシスタントさんがいて、その方に私を含め他のアシスタントさんもレクチャーを受けてデジタルを導入しました。

そのうちに、連載の最後の方だと思いますが、マンガ制作に特化したComicStudio(コミスタ)というソフトがあるらしいというのを聞いて、ちょうど周りのマンガ家さんたちも続々と移行し始めていたので、私もComicStudioに移行しました。

 

デジタルはPhotoshopやPainter、SAIなどを使っていたこともあります。新しいもの好きなので、他の人が使っているといろいろ試したくなるんです。でも、いろいろなソフトを試してみた結果、マンガに特化しているComicStudioとCLIP STUDIO PAINTに落ち着きました。

 

 

―原稿制作はフルデジタルですか?それともアナログと併用でしょうか?

 

神尾 マンガのモノクロ原稿の場合は、アナログとデジタルの併用です。私とアシスタントさん2人はアナログで線画を描いて、原稿をスキャンしてからComicStudioでトーンなどの仕上げをしています。1人在宅のアシスタントさんがいて、その方はフルデジタルです。

 

表紙やイラストなどのカラー原稿の場合はアナログではなくフルデジタルで、線から塗りまですべてCLIP STUDIO PAINT上で行っています。

 

私の場合は、ComicStudioでのペン入れはどうしてもうまくいかなかったんですが、CLIP STUDIO PAINTはComicStudioよりも主線が美しく描けるんです。なので早く、CLIP STUDIO PAINTに乗り換えて、モノクロ原稿もフルデジタルに移行したいです。

 

▼神尾葉子先生がCLIP STUDIO PAINTで描く動画「神楽木晴(花のち晴れ~花男 Next Season~)」をチェック!

CLIP STUDIO PAINTに乗り換えようと思った一番の理由は「素材」です。

―線が描きやすいということ以外に、ComicStudioからCLIP STUDIO PAINTに移行しようと思われた理由はありますか?

 

神尾 乗り換えようと思った一番の理由は素材かもしれません。素材の配布サイト(素材をさがす・ASSETS)がありますよね、そこにいくとなんでもあって、使いやすい素材をダウンロードさせていただいています。

ComicStudioの頃から使用していますが、新しい素材はCLIP STUDIO PAINTのものが多いので、いよいよ移行しなければと思っています。

 

 

―CLIP STUDIO PAINTで、いつも使用しているペンやブラシなど、お気に入りのツールを教えてください。

 

神尾 「やわ肌ブラシ」というのがすごく好きです。カラーはブラシサイズを変更しながら、このブラシでほんど描いているかもしれません。

 

▼「やわ肌ブラシ」作者:黒葉.Kさん

 

その他には、初期収録のブラシや人気のダウンロードブラシを使わせていただいています。

CLIP STUDIO公式Twitterアカウントをフォローしていて、リツイートされている絵師さんたちの使っているブラシをなどをよく参考にさせていただいています。

 

▼CLIP STUDIO公式Twitterアカウント

 

トーンを削って作ったら何時間かかってしまうんだろう…という大変な作業が素材だと一瞬でできてしまうのが素晴らしいですよね。

 

 

―CLIP STUDIO PAINTで、まだ使っていないけれどこれから使ってみたい・気になる…という機能はありますか?

 

神尾 3D機能とパース定規に興味があります。今の作品は学園ものでファンタジー要素も入っているためあまり活用できていませんが、しっかりとした背景が必要なリアルな人間ドラマのような作品を描いたときは、「写真にパース定規を合わせて背景を描く方法」で背景を描き起こしてみたいです。

 

▼公式使い方講座 便利機能の紹介「3Dの操作」

 

▼公式使い方講座 「写真を参考にパース定規を設定して背景を描く」

アナログよりも自由度の高いところが、デジタルを導入してよかったと思うところです。

―デジタルでマンガを制作するメリットや、デジタルを取り入れたことでアナログから制作スタイルが変わったことはありますか?

 

神尾 デジタルの利点はたくさんあると思います。まずは、仕上げの時間がとても短くなりました。もちろん、デジタルに移行したてで慣れるまではアナログよりも時間がかかっていましたが、今はかなり時短になっています。

 

あとは、何度でも描き直せるということですね。アナログでは、描いた顔が気に入らないときにホワイト(修正液)で消して…描いて消して…と繰り返して原稿が盛り上がってしまうことがあったのですが、デジタルではそれがありません。

今も線画はアナログですが、描き直したいときはスキャンしてからデジタルで描き直すことがよくあります。

 

デジタルだと画面上で拡大してどこまでも描けてしまうので、描き込みすぎないようにするさじ加減が難しいのですが、反対に、小さくても細かく描きたい部分は、デジタルで描き込んだりします。

 

アナログよりも自由度の高いところが、デジタルを導入してよかったと思うところです。

 

スクリーントーン、特にグラデ―ショントーンが使い放題だったり、素材配布サイト(ASSETS)の素材も役立っています。私の作品をよく見ていただくと、「あれもこれも!」と見つかると思いますよ(笑)。

 

▼公式使い方講座「トーンの使い方・基本トーン編」

 

▼公式使い方講座「トーンの使い方・グラデーション(モノクロ原稿)編」

 

 

―反対に、デメリットはありますか?

 

神尾 そうですね…デメリットというほどのことでもありませんが、デジタルの場合は「完成原稿」というものがないのが物足りないです。ただの自己満足なんですが、前はペンを入れて消しゴムをかけてトーンを貼っていたので、完成原稿を持ったときに重みがあって「作品ができた」感じがあったんです。デジタルでも、毎回完成原稿を印刷して出力しますが、重みというか実感が違う。

 

でも、デメリット?で思いつくのはそれくらいで、本当にメリットばかりだと思っています。

 

―ありがとうございました!

 

 

『花のち晴れ~花男Next Season~』の創作秘話や先生のデビューから現在までの経緯については、漫画(マンガ)持ち込み・投稿・マンガ賞ポータルサイト「マンナビ」に掲載されているこちらの記事をチェック!

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