レイヤー周りの操作
[1] レイヤー整理
イラストやマンガを描いていると、いつの間にかにレイヤー数が多くなって、自分でもどのレイヤーに何を描いたのかがわからなくなってしまった…なんて状況はよくありますよね。
ここではレイヤーを整理して使いやすくする小技を紹介します。
■レイヤーの複数選択方法
レイヤーはクリックすればそのレイヤーが「選択」されている状態になります。どのような効果を付けるにも、まず最初に「選択」してから操作します。
複数のレイヤーに対して一度に効果を付ける場合には、複数を同時に選択することで操作の手間が省けます。
表示のアイコンの横にチェックを入れるか、[Ctrl]キーを押しながら選択すると、複数選択が行えます。
数多くのレイヤーをまとめて選択したい場合には、一つのレイヤーを選択している状態で、別のレイヤーを[Shift]キーを押しながら選択すると、その間のレイヤーすべてが選択されます。
【POINT:(参考例)複数選択している状態でそのまま操作をすると……】
- [新規レイヤーフォルダー]のアイコンにドラッグすれば、選択しているレイヤーをフォルダーにまとめることができます。
- [新規ラスターレイヤー]のアイコンにドラッグすると、選択しているレイヤーを一括してコピーできます。
- [削除]を選択すれば、選択しているレイヤーを一度に削除できます。
- [レイヤー移動]ツールで同時に移動したり、[編集]メニュー→[変形]で同時に変形したりすることもできます。
■2ペイン表示
レイヤーパレット左上のアイコンをクリックすると2ペイン表示にすることができます。
レイヤーが多すぎて表示しきれない場合や目的のレイヤー同士が離れている場合などに便利です。
■レイヤーにパレットカラーをつけて分類
レイヤーにはパレットカラーをつけることができます。レイヤー数が多くなってきた時にパレットカラーで分類すると、より識別しやすくなります。
キャラクターやパーツごと、あるいは、下描き・ペン入れ・ホワイト・ベタ・トーンなどの工程ごとにパレットカラーを設定すれば、編集箇所や作業内容を分かりやすく整理して作画できます。
[レイヤー]パレット左のタブをクリックして変更できます。
デフォルトでは6色あり、一番下の[その他の色を使用]を選択するとダイアログが表示され、自由に色を設定することができます。
■レイヤーの結合方法
CLIP STUDIO PAINTでは、レイヤーを結合する複数の方法があります。
レイヤーの結合は、[レイヤー]メニューや、[レイヤー]パレットのパレットメニュー、[レイヤー]パレット上で右クリックすることで選択できます。
<下のレイヤーと結合>
選択中のレイヤーを、下のレイヤーと結合します。
- ロックされているレイヤー、非表示のレイヤー、下描きレイヤー、何も入っていないレイヤーフォルダー、色調補正レイヤー同士は結合できません。
- レイヤー名、合成モード、パレットカラー、[透明ピクセルをロック]、[下のレイヤーをクリッピング]、[参照レイヤー]の状態は、下のレイヤーのものになります。
- レイヤーの表現色は、カラーのレイヤーを含む場合はカラーに、グレー同士かグレーと単色の組み合わせの場合はグレーに、単色同士の場合は単色になります。
<選択中のレイヤーを結合>
選択している複数のレイヤーを結合します。
- 非表示のレイヤーは非表示のまま結合されます。
- レイヤーフォルダーのみを選択した場合はレイヤーフォルダー内が結合され、一枚のレイヤーに変換されます。中に何も入っていないレイヤーフォルダーは結合できません。
- ロックされているレイヤー、下描きレイヤーでも結合できます。ロックと下描き属性は解除されます。
- 色調補正レイヤー同士で結合できます。結合後はラスターレイヤーになります。
- レイヤー名は最初に選択したレイヤー名になります。
- 結合後の合成モードは[通常]になります。
- パレットカラー、[透明ピクセルをロック]、[下のレイヤーをクリッピング]、[参照レイヤー]の状態は「なし」になります。
- レイヤーの表現色は、カラーのレイヤーを含む場合はカラーに、グレー同士かグレーと単色の組み合わせの場合はグレーに、単色同士の場合は単色になります。
<表示レイヤーを結合>
表示中のレイヤーを結合します。表示中のレイヤーを選択している必要があります。
- 非表示のレイヤーは結合できません。
- 下描きレイヤーを除くすべてのレイヤーを結合できます。結合するレイヤーの種類にかかわらず、結合後はラスターレイヤーになります。
- レイヤー名は選択しているレイヤー名になります。
- 合成モードは[通常]になります。
- パレットカラー、[レイヤーをロック]、[透明ピクセルをロック]、[下のレイヤーをクリッピング]、[参照レイヤー]の状態は「なし」になります。
- レイヤーの表現色は、カラーになります。
<表示レイヤーのコピーを結合>
表示中のレイヤーのコピーを結合します。表示中のレイヤーを選択している必要があります。
コピーが結合されるため、元のレイヤーはそのままの状態で残ります。
- 非表示のレイヤーは結合されません。
- 下描きレイヤーを除くすべてのレイヤーを結合できます。結合するレイヤーの種類にかかわらず、結合後はラスターレイヤーになります。
- レイヤー名は「選択しているレイヤー名 2」になります。
- 合成モードは[通常]になります。
- パレットカラー、[レイヤーをロック]、[透明ピクセルをロック]、[下のレイヤーをクリッピング]、[参照レイヤー]の状態は「なし」になります。
- レイヤーの表現色は、カラーになります。
<画像を統合>
すべてのレイヤーを1枚のレイヤーに統合します。
- 非表示のレイヤーは非表示のまま統合されます。
- すべてのレイヤーを統合できます。統合後はラスターレイヤーになります。
- レイヤー名は「レイヤー1」になります。
- 合成モードは[通常]になります。
- パレットカラー、[レイヤーをロック]、[透明ピクセルをロック]、[下のレイヤーをクリッピング]、[参照レイヤー]の状態、下描き属性は「なし」になります。
- レイヤーの表現色は、カラーになります。
【POINT】
結合するレイヤーの種類や付属する情報によって、結合されるデータに違いがあります。
[下のレイヤーと結合]、[選択中のレイヤーを結合]では基本的にラスターレイヤーに変換して結合されますが、いくつか例外の組み合わせがあります。
- ベクターレイヤーのみ……ベクターレイヤーのまま結合します。
- テキストレイヤーとフキダシレイヤー……フキダシレイヤーとして結合します。
- テキストレイヤーのみ……テキストレイヤーのまま結合します。
- フキダシレイヤーのみ……フキダシレイヤーのまま結合します。
レイヤーマスクがある場合は、レイヤーに適用され結合します。
例外として、[下のレイヤーと結合]の時に、下のレイヤーにレイヤーマスクがある場合は、[結合する前にマスクを適用しますか?] という確認のメッセージが表示されます。
- [適用]を選択すると、下のレイヤーにマスクが適用されたあと、レイヤーが結合されます。
- [保持]を選択すると、レイヤーマスクが保持され、結合されたレイヤーにレイヤーマスクがかかります。
結合するレイヤーに含まれるすべての定規は、結合後のレイヤーに付属します。
■レイヤーのサムネイルのサイズ変更
レイヤーのサムネイルのサイズは[レイヤーパレットのメニュー]→[サムネイルのサイズ]で変更することができます。
デフォルトでは[小]に設定されており、変更すると下図のようにサイズが変わります。
■レイヤーの範囲のみサムネイルに表示
[レイヤーパレットのメニュー]→[サムネイルの表示範囲]で、レイヤーのサムネイルに表示するレイヤーの範囲を変更することができます。
デフォルトでは[キャンバス全体を表示]に設定されており、そのキャンバス全体の範囲を表示します。
[レイヤーの範囲のみを表示]に設定するとそのレイヤーに描画されている部分のみをサムネイルに表示します。
[2] レイヤー属性
レイヤーに便利な特徴を追加できる、レイヤー属性を紹介します。
■下のレイヤーでクリッピング
[下のレイヤーでクリッピング]をONにすると、そのレイヤー(クリッピングしているレイヤー)に描画した内容は、下のレイヤー(クリッピングされているレイヤー)に描画されている範囲でのみ表示されます。
下のレイヤーの不透明度にも影響されます。
クリッピングしているレイヤーが重なっている場合は、そのすぐ下のクリッピングされているレイヤーの描画範囲にのみ表示されます。
用紙レイヤーでは[下のレイヤーでクリッピング]は行えません。
■透明ピクセルをロック
選択中のレイヤーの透明部分への描画をロック(制限)します。透明部分にはみ出さずに、すでに描画した部分に対してのみ描画することができます。
単色レイヤーでは、[透明ピクセルのロック]はできません。
■参照レイヤーに設定
他のレイヤーを編集する時に、特に参照したいレイヤーは、「参照レイヤー」に設定します。
レイヤーパレットの[参照レイヤーに設定]をONにすると表示の横にマークが付き、参照レイヤーになります。
用紙レイヤーは参照レイヤーに設定できません。
参照レイヤーがある状態で、別のレイヤーを選択して[参照レイヤーに設定]をONにすると、選択したレイヤーだけが参照レイヤーになり、それまでの参照レイヤーの設定はOFFになります。
複数のレイヤーを選択して[参照レイヤーに設定]をONにすると、選択したすべてのレイヤーが参照レイヤーに設定されます。
<参照レイヤーの使い方例>
例として、キャラクターの線画レイヤーと、ほかの線画レイヤーが重なっている状態で、キャラクターの肌だけを塗りつぶしてみましょう。
[塗りつぶし]ツールの[他レイヤーを参照]で塗りつぶすと、キャラクター以外の線で塗り止まってしまいます。
これは、[ツールプロパティ]パレットの、[複数参照]→[すべてのレイヤーを参照]にチェックが入っており、表示されているすべての線画を参照しているからです。
[複数参照]→[参照レイヤー]に切り替えると、参照レイヤーのみを参照します。
キャラクターの線画を参照レイヤーに設定して、うまく塗りつぶす事ができました。
■下描きレイヤーに設定【PRO/EX】
「下描きレイヤー」は、BMP・JPEG・PNG・TIFF・Targa形式で保存する時に非表示になるレイヤーです。
最終的に表示されないので、その名の通り下描きの描画に最適です。
下描きレイヤーは、ラスターレイヤーとベクターレイヤーでのみ設定できます。
設定したいレイヤーを選択した状態で[レイヤー]パレット上部にある[下描きレイヤーに設定]ボタンをクリックするか、または[レイヤー]メニュー→[レイヤー設定]→[下描きレイヤーに設定]で、「下描きレイヤー」に設定できます。
下描きレイヤーは、[ファイル]メニュー→[画像を統合して書き出し]を選択した時の書き出し設定や、[ファイル]メニュー→[印刷設定]で、書き出し・印刷の範囲に含めるか設定できます。
また、選択範囲を作成するときや塗りつぶしを行うときに、[参照先]のパラメータで、[参照しないレイヤー]に設定されています。
設定をOFFにすると、参照できます。
[3] レイヤー小技
レイヤーに関連する小技をいくつか紹介します。
知っていると今までちょっと手間だった作業も、ぐっと素早く行うことができます。
■レイヤーから選択範囲を作成
[レイヤー]メニュー→[レイヤーから選択範囲]→[選択範囲を作成]でレイヤーに描画されている部分に選択範囲を作成できます。
[レイヤー]パレットのサムネイルを[Ctrl](macOSの場合は[Command])キーを押しながらクリックしても、レイヤーから選択範囲を作成できます。
■1つのレイヤーだけ表示する方法
[Alt](macOSの場合は[Option])キーを押しながら、レイヤーの目の部分をクリックするとそのレイヤーのみ表示されます。
元の表示状態に戻したい時は、もう一度[Alt]([Option])キーを押しながら、レイヤーの目の部分をクリックします。
■レイヤーの並べ替え【PRO/EX】
レイヤーを選択してドラッグすればレイヤーの移動ができますが、レイヤーの数が増えると、長い距離を動かして時間がかかる場合があります。
[レイヤー]メニュー→[並べ替え]→[最前面へ]を選択すると、選択しているレイヤーをすべてのレイヤーの一番上に、[最背面へ]で一番下に移動できます。
■どのレイヤーに描かれているか判別[Ctrl]+[Shift]
[操作]ツール→[オブジェクト]や[レイヤー選択]で、描画部分をクリックすると、描画されているレイヤーを自動で選択します。
[レイヤー選択]でドラッグして範囲を指定した場合、その範囲の描画部分を含むレイヤーすべてを自動で選択します。
[Ctrl](macOSの場合は[Command])キー+[Shift]キーを押しながらキャンバスをクリックしても同様に行うことができます。
■用紙レイヤーの色を変更
[用紙]レイヤーのサムネイルをダブルクリックすると、[色の設定]ダイアログが表示されます。
用紙の色を任意の色に変更することができます。
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