[投げ縄塗り(Lasso Fill)]で描くマンガ背景講座!

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ユキノコ(Yukinoco)

ユキノコ(Yukinoco)

動画に各言語の字幕を付けましたので、良かったら動画もご覧ください。ただ、このTIPSだけで分かりやすい内容になっていると思います。

作画の全行程の動画はこのTIPSの一番下にあります。

1.はじめに

[投げ縄塗りつぶし]ツールは、線画などの他の画像を必要としない[塗りつぶし]ツールです。

[投げ縄]ツールで選択範囲を作成するのと同じ使用感で、囲った領域を塗りつぶすことが出来ます。

 

[レイヤープロパティ]の[フチ]をONにして、[フチの色]を黒にして、[描画色]を[白]にした状態で[投げ縄塗りつぶし]を使うと、このように黒い線画のシルエットを描く事が出来ます。今回はこれを活用して、モノクロ漫画の背景を描いていきます。線画が必要ないタイプのカラーイラストの場合はこの設定はしなくても大丈夫です。

 

またツール設定の[手ぶれ補正]の数値を大きくしておくと描画しやすいです。

私は[手ぶれ補正]の数値を[13]程度にしています。

この[塗りつぶし]ツールの存在を知らなかった人も多いと思います。その原因の一つとして考えられるのは、このツールが格納されている場所が[塗りつぶし]ツール類では無く、[図形]ツール類の中である事です。

このツールの場所を[図形]から[塗りつぶし]へ移動したり、ショートカットに登録しておく事をお勧めします

2.形を大まかに描く

それでは、早速背景を描いていきます。

[投げ縄塗りつぶし]で木の幹を描きます。

その上に新しのレイヤーを作り、[投げ縄塗りつぶし]で扉を描きます。

また新しいレイヤーを扉の下に作り、階段を[投げ縄塗りつぶし]で描きます。

 

 

このような手順を繰り返して、シルエットを重ねて、背景を描いていきます。

屋根や窓、木の幹の流れを、同じように新しいレイヤーを重ねて描いていきます。

キャラクターのシルエットも同じように描いていきます。

木の幹にキノコを描き足します。

中景の葉っぱを描いていきます。

葉っぱも何枚かにレイヤーを分けて、奥行きが出るように描いています。

遠景も描き足して、絵の構図が出来ました!

この描き方なら、ペンでスケッチするよりキャンパスが汚れないし、見やすいので、

スケッチや構想をスムーズに進める事が出来ます。

 

描きたいもののシルエットを[投げ縄塗りつぶし]でひたすら描くだけなので、

ものすごく簡単で、技術を必要としないので誰でにでもお勧めできる方法です。

何より楽しいです!

 

レイアウトが完成したので、ここからはひたすら地道に描き込んでいきます。

3.キャラクターを描き足す

まずはウサギのキャラクターからです。

このキャラのデフォルメ具合を、背景の描き込みの基準にします。

4.ランプのディティールを描き足す

ランプのディティールを描き足します。

アウトラインの内部を埋めるように線画やハッチングを描き足します。

5.屋根を描き足す

屋根の瓦を描き足します。

屋根の梁を描き足していきます。ここでは[投げ縄塗りつぶし]では無く、[折れ線塗りつぶし]で描いています。

次は屋根の瓦を描きます。

今回は絵本的な仕上がりにしたいので、立体の正確さはあまり気にしません。

6.木の幹を描き足す

次は木の幹を描き足します。

鱗のような小さな樹皮のパーツを、木の幹全体に立体に沿って描きます。

 

他のモチーフとの境界や影に、ペンでハッチングを描き込んでいきます。

奥の幹も同じように描きます。

7.葉を描き足す

次は中景の葉を描き足します。

平面のシルエットが立体になるように、葉の細部を描き込みます。

 

茎と葉の形の線を描いてから、葉の面に沿ってペンタッチを加えていきます。

葉が白で塗りつぶしてあるので、後ろのレイヤーに黒をベタ塗りするだけで、葉の隙間を塗ることが出来ます。

葉の隙間を細かく塗る必要が無いので便利です。

8.遠景を描き足す

次は遠景を描き込みます。

手前の方より少し暗めになるように描き足します。

9.玄関と壁を描き足す

玄関のドアと階段を描き込みます。

レンガの壁は、レンガの溝をシルエットで描き、、クリッピングしたレイヤーに影を描きます。

スクリーントーンを貼って、ハイライトを少し描きます。

10.落ち葉の地面を描き足す

最後に落ち葉の地面を描き足します。

まず地面に沿って一方向のハッチングを描きます。

 

落ち葉の形が浮かび上がるように、葉の影を別方向のハッチングで描き込んでいきます。

階段との境目に、落ち葉を描いて、地面と階段を馴染ませます。

 

階段に陰影を描き込みます。

11.最後の仕上げ

仕上げに全体のバランスを見て、陰影を描き足したり、スクリーントーンを貼ったりします。

 

 

この描き方なら、スクリーントーンを貼る作業も楽をすることが出来ます。、

各モチーフのレイヤーのサムネイルをCtrl+クリックで、一瞬で選択してスクリーントーン貼る事が出来ます。

細かい作業は必要ありません。

12.完成

完成です。

[投げ縄塗りつぶし]は背景だけじゃなくて、人物やエフェクトにも使えるので、ぜひ色んな所で使ってみてください。

また今回のTIPSと近い内容の私が書いたTIPSを紹介しておきます。

こちらの方法は自然物を描くのには向きませんが、パース定規と併せて建築物を描くのに向いている方法です。

 

[投げ縄塗りつぶし]は定規にスナップ出来ないので、パース定規では使えません。

 

その代わり今回みたいな自然物メインの絵や、パース定規無しで感覚的に背景を描く時に大活躍できます。

 

今回はほぼ全て[投げ縄塗りつぶし]だけで描きましたが、建築物はパース定規と図形ツール、自然物は[投げ縄塗りつぶし]で、というようにそれぞれ分担して組み合わせて描くのも良いでしょう。

13.作画全手順

制作過程のタイムラプス動画も追加しました。

細かい作画をゆっくり見たい方はこちらをご覧ください。

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