3D素材のLT抽出とその後処理のヒント【漫画背景向け】
「3D素材のLT抽出で漫画背景などを作ろう!そのためにはどうすれば?」というTIPSです。
「まずはこれだけ!」という部分と「これも押さえておけば便利に使える!」という項目を中心に、直感的な理解がしやすそうな感じでまとめてみました。
そのため、「3D線画」メニューの設定についてがメインです!
はじめに 「LT抽出とは?」
LT抽出とは、3D素材や写真などをLineとToneに変換する機能です。
3D素材でいえば、素材の輪郭線や面、影、テクスチャなどを抽出して線とトーンに変換できます。
この機能はクリスタEX版で使用することができます。
これを使えば漫画背景の制作が楽になるので、同人作家さんをはじめいろんな方におすすめの機能です!
LT抽出機能の使い方
LT抽出機能を使う際の基本操作を簡単に説明します!
LT抽出機能は、線画・トーンへ変換したいレイヤーを選択した状態で、[レイヤー]→[レイヤーのLT変換]から使用します。
[レイヤーのLT変換]というポップアップウィンドウが出てくるので、各項目を調整して右上のOKボタンを押せば作業は完了です!
このとき、各項目を調整する前にプリセットを選びましょう!
(途中で選択するとすべての項目の設定がプリセットのものになってしまうので)
と言っても、この「各項目を調整」という作業は戸惑いやすい部分ではないかと思います。
「一度試しにLT抽出してみる」→「結果を見ながら、どう変更したいかを踏まえて項目を調整する」という手順でやってみるのがおすすめです。
特に重要な各項目については、次の見出しで説明しますね!
LT抽出機能の設定項目について(3D線画)
クリスタのVer3から、レイヤーのLT変換画面が大きく変わりました!
変更後の画面では「3D線画」「テクスチャ線画」「トーン」という3つの大きなメニューに分かれています。
まずは「3D線画」の各項目から見ていきましょう!
[レイヤーの種類]の選択
3D素材から線画を抽出したときにできるレイヤーの種類を選択します。
各レイヤーの特徴は、普段お絵かきをするときと同様です。
ラスターレイヤーは、ベクターレイヤーと比べて動作が軽い場合が多く、また塗りつぶしなどの操作ができます。
ベクターレイヤーは線幅修正や拡大縮小に強いです。
マンガの背景用として使う場合は、不都合がなければベクターレイヤーを選んでおくと便利かなとは思います。
動作が重くなるのを防ぎたいときは、ベクターレイヤーで抽出して線幅などを修正してからラスタライズするのもおすすめです。
[3D線の検出]の設定
3D線の検出設定では、線幅・線の検出量・ブラシの種類を設定できます。
[3D線の検出]の設定① 線幅
ここでの線幅は、検出する線すべての太さの目安になります。
(数値を上げたら線が全体的に太くなる)
外側の線だけ太めにしたい場合は[線幅修正]の項目でアウトライン強調度を上げましょう!
線幅で迷ったら、普段ペン入れで使っているブラシサイズ付近で一度抽出してみるといいかもしれません。
ただ、同じ数値でも[ブラシの種類]によって抽出結果が異なるなど一概には言えない部分です。
使いたいブラシがある場合は、先にブラシの設定を済ませましょう。
「線を太くしたくて数値を上げたら、思っていた以上に太くて理想とは違った」というケースも起こりやすいです。
他項目の設定と合わせて調整しましょう。
[3D線の検出]の設定② 線の検出量
線の検出量は、「3D素材から線画を抽出する際にひろう線の量」を調整する項目です。
線画の情報量だと思ってもいいかもしれません。
もともと3D素材の凹凸が小さい部分や、角の部分、角度的に検出されにくい部分などは、この数値が小さいと抽出の際に省略されることが多いです。
もっと線を増やしたいときは、この数値を上げてみましょう。
ただ、線の検出量を上げすぎると、球体などに大量の不要な線が出てくることがあります。
この場合は数値を下げるか、不要な箇所だけ後から消しゴムで消しましょう。
[3D線の検出]の設定③ ブラシの種類
LT抽出時にブラシの種類を設定できるようになりました。
登録してあるブラシの先端を選択できます。
クリスタアセッツには、「手描きっぽくなるブラシツール」が多数公開されています。それを使うと「3D素材使った感」が軽減され、原稿に馴染みやすくなる場合が多いです。
また、このブラシの先端は線幅の太さにも関係します。
使いたいブラシがある場合は、その設定を済ませてから線幅を調整しましょう。
ブラシ先端の登録方法
LT抽出時にブラシの種類を設定するには、使いたいブラシを「ブラシ先端のプリセットに登録」しておく必要があります。
登録するには、「DL・作成したブラシをサブツールとして登録」→[サブツール詳細]を開く→[ブラシ形状]の項目で「プリセットに登録」を選択してください。
[線幅修正]の設定
[線幅修正]の項目では、線幅や精度を調整できます。
[3Dの大きさで精度を調整]
「3Dの大きさで精度を調整」するかどうかを選択できます。
この項目にチェックを入れると、自動で精度を調整してくれます。
細かい部分を省略したり、大きい部分の余計な線を省略してくれたりする。
「近いけどなんか違うかな~」というときにチェックを入れるといい感じになることがあります。
オンオフの切り替えしかないのでこの機能で狙った線を出すのは難しい印象です。
細かい部分を修正したいなら消しゴムとブラシでやる方が早いかも。
もっと上手に使う人なら活かせる機能なのかなとは思う・・・・・・。
[アウトライン強調度]の設定
この項目では、アウトラインの太さを調整できます。
外側の線だけ太くしたいときには、この数値を大きくしましょう。
※この数値は、[3Dの大きさで精度を調整]とは連動しません。
[線の奥行き]の設定
線の奥行きにチェックを入れると、遠くに行けば行くほど線が細くなります。
+のボタンを押すと「さらに詳細な設定をするためのグラフ」と「アウトラインのみ適用のチェックボックス」が出てくるので、理想に近くなるように調整して使いましょう。
個人的には、あまり奥行きのないシーンではチェックを外して抽出する方がいい感じの結果になることが多いです。
奥行きを強調するシーンではチェック入れた方がいいと思います!
好みの問題もあるかも。
[スムーズ]の設定
スムーズは「線の滑らかさ」のような機能です。
ぼこぼこした3D素材の質感をひろいたいときなどに活躍すると思います。
例ではカボチャの3D素材を使ってみました。
カボチャのぼこぼこ感が出ます。
反対に、直線的な3D素材をLT抽出するときはあまり使わない方がよい感じになることが多いです。
LT抽出機能の設定項目について(テクスチャ線画とトーン)
テクスチャ線画とトーンについては、定番の設定を使うだけでも十分それっぽい背景を制作できるかと思います。
気になる方はいろいろいじってみましょう。
テクスチャ線画の設定
テクスチャ線画のメニューでは、3D素材のテクスチャに関する項目を設定します。
特にリアルテイストの漫画背景や小物を制作するときに役に立つ項目です。
テクスチャ線画は、3D素材にどのようなテクスチャが設定されているかなどによって適した設定が大きく変わります。
なのでこのTIPSでは、簡単にはっきりした違いが出る[線の検出方法]の項目にしぼって紹介します。
[線の検出方法]は、グレーかモノクロの選択ができます。
グレー・検出量255(MAX)で検出すると、素材のテクスチャの彩度を0にしたようなものに近い結果になります。
モノクロで検出すると、テクスチャの色の境界線に線が引かれたような結果になります。
トーンの設定
トーンのメニューでは、トーンワークについて設定できます。
漫画で使う場合は、普段原稿を作成するときのトーン設定と揃えておくのが無難です。
グレスケ原稿で制作している方は該当項目にチェックを入れることでグレーに色分けされます。
[階調化]の設定
[階調化]の項目にチェックを入れると、3D素材の色を階調化してトーン抽出します。
階調数は、バーをタップ(クリック)することで増やしたりへらしたり調整できます。また、バーの上の数字から濃さを設定できます。
[階調化]のチェックを外した場合は、階調化されません。
グラデーションなどが綺麗に出ます。
[グレースケール][トーン]の設定
グレースケールで背景を作りたい方はここにチェックを入れましょう。
トーンにしたい場合はチェックボックスの下の[種類][角度][線数]を調整します。
こちらも普段の原稿設定に合わせるのがおすすめです。
LT抽出後の処理に関するヒント
LT抽出でイメージに近いものができたら、加筆や修正をして仕上げましょう。
(場合によっては特に仕上げが必要ないケースもあるかもしれません。)
加筆や修正をするときに意識すると良さそうなポイントを、手軽な作業でできる順にご紹介します。
線幅の修正
3D線画をベクターレイヤーに設定しておくと、線幅の修正がとても楽です。
線幅修正ツールで気になるところを修正しましょう!
線が多すぎるところの線幅を細くするだけでもかなり「仕上げした感」が出せるかと思います。
テクスチャ・トーンなどの追加
場合によってはテクスチャ・トーンを追加することでより雰囲気のある背景になります。
柱やテーブルの木目、床の模様などは定番ですね!
いろんな追加方法がありますが、貼り付けたい素材をキャンバス上に配置→3D線画のレイヤーから選択範囲をとって、素材の不要な部分をマスクする、という流れが楽かも?
もちろん、手描きで加筆することもできます!
小物などの加筆
余力があればどんどん描き込んでいきましょう!
描けそうなところは描く、3Dの方が楽そうなところは使う、と使い分けていくと作業がはかどると思います。
「こんな感じかな~」で試しに抽出してみよう
使っているうちに、素材ごとにこれくらいかなという設定ができるようになってくるかと思います。
使うときは、イメージに近そうな設定で一度抽出してみるのが早いです。
それを「よりイメージに近づけるにはどの設定を変えるか」で必要に応じて変更してみましょう!
このTIPSでの説明が、その調整をするときに使えるようでしたら嬉しいです!
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