描きたい背景に合わせた3D素材の選び方-線画編-

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はじめに

描きたい背景に合わせた3D素材選びはかなり大事だと感じるのでその辺りの事について書き記しておきます。

長いですが、頭の隅にあると役立つかなと思いますのでもしよろしければ読んでみてください。

3D素材作りもしていますのでその視点も入れつつ書きます。

 

↓3D素材等、主にモノクロ原稿に役立ちそうなものをいろいろ出品しております。

 

多分初心者向けではないと思います。

基本的な操作についてなどはあまり細かな説明は入れておりません。

操作などにつきましてはユーザーガイドなどをご覧いただけたらと思います。

内容はあくまで私の個人的な考えです。

また、今回はモノクロ原稿用についてとなっております。

カラー原稿用とは異なるかと思います。

 

こんな背景にしたい場合にはこんな素材がおすすめという私の個人の感想であり、こういう素材はだめという事では決してありませんので…!

同じ素材でも求めるものによっておすすめになったり、避けた方がよくなったりは変わります。

おすすめなどと偉そうにいろいろ書きますが、そもそも素材はみんな有り難すぎる存在です。

 

ニッチな素材は探しても見つからない事はよくある事です。

1つだけでも見つかった時は感謝の舞を踊りながらダウンロードしましょう。

 

例えば登場人物の家や職場、学校などの素材はたくさんあるかと思いますのでそういった選択肢がたくさんある素材の場合の選び方の提案になります。

 

 

 

大きくは

 

・曲面のなめらかさ(線画に影響)

 

・マテリアル(トーンに影響)

 

についてを意識しながら探すといいかと思います。

 

このTIPSでは線画に関わる部分について解説していきます。

後ほどトーンについてのTIPSも作成できればと思います。

動作の軽快さか曲面のなめらかさか

まず、3D素材は複雑なものほどファイルサイズが大きいので作業環境によっては重たくてうまく動かない…という事が起こりえます。

この辺りはご自身の使用されているパソコンやタブレットによって変わってしまうので明確な基準を設けるのは難しいと思います。

ファイルサイズは素材の説明ページでもわからないので判断しにくいです。

この問題は難しいなあと思います。

 

一応簡単に説明を入れておきますと3Dは平面でできています。

曲面も平面の集合体です。

 

例えば球体のプリミティブを見るとわかりやすいですが、小さい四角と三角で構成されています。

これが細かくなるほど滑らかで綺麗な曲面になります。

けれど滑らかにするほどたくさんの四角と三角が並んでいます。

たくさんの四角や三角で構成されているほど当然ですが情報量が増えてデータは重くなります。

ポリゴン数とか頂点数とかファイルサイズが大きくなります。

それらの数字が少ないほど動作は軽く、大きいほどに重くなります。

球体1つならいいですが、部屋の3D素材などたくさんのもので構成されているとどれもこれも曲面の綺麗さにこだわり過ぎると重くなってしまいます。

 

例えば、食べ物の3D素材を登場人物たちの前に人数分並べたら動作が激重になった事があります。

確認すると食べ物の3D素材の作りがとても精巧、つまり重たい素材でした。

その素材一つならいいのですが、複数並べると動作がとても重くなってしまいました。

食べ物がアップのシーンではとても綺麗にLT変換できるし有難い超有能素材なのですが、カメラを引いたシーンでたくさん並べたら動作の重さに困ってしまったわけです。

ここのバランスはとても難しいです。

何を優先させるかによると思います。

 

カクカクしているほど軽量化されているので軽快な動作を重視したい場合にはおすすめです。

3D素材をアタリにして描く派の方には特にいいかなと思います。

動作が重いとやはりストレスになるので…。

カクカクしていると操作時の軽快さが便利ですが、LT変換するとカクカクとした線で3D素材っぽさが出てしまい、加筆や修正が必要になります。

 

ちなみに私が3D素材を作成する時はなるべく加筆もなくしたいズボラ仕様でなめらかめな曲面にしているので軽快な操作感を重視したい場合には合わないと思います…。

とはいえ建物系の3Dの素材は直線的な部分が大半なのでまともに動作しなくなるほどの状態は起こりにくいかなあと思っています。

 

LT変換後に加筆すらなるべくしたくないというズボラな同志の方には曲面がなめらかな素材がおすすめです。

 

 

動作の軽快さを重視するならカクカクした素材

 

加筆が面倒な場合はつるつるした素材

 

と意識して探されるといいかと思います。

 

 

曲面のなめらかさについて

つるつるした素材といっても何をもって曲面がなめらかな素材と定義するかは難しいところです。

結局は直線の集合体なので近寄ればカクカクします。

その素材をどの程度拡大して使用する可能性があるかも意識しておくといいかと思います。

例えば加筆修正はしたくない場合に下図のサイズ感では平面の丸で頂点が24個はちょっと頼りないです。

ですが、例えばちょっとディテールを出すためのネジに24は多いかと思います。

上図はネジの頂点数24です。

もっと頂点数を減らしてもカクカクに見えるほどに拡大されることはほとんどないと思うのでこういう所は削ってつくりたいなあと思います。

基準の丸は48にしています。

 

多分3D素材を作成される方々はそんな事を考えつつそれぞれの匙加減で作っているかと思うのでそこの感覚が合う素材制作者の方を探すのもいいかと思います。

 

素材の説明ページにて作例の画像などから曲面をチェックしてみてください。

 

ただ、曲面が綺麗な素材は動作が重たくなる可能性もありますのでそれを覚悟しておくか、高性能なパソコンを使用するなどの対策をしておくといいと思います。

機器に疎いので具体的にどういう性能が良いのかのアドバイスは何もできないです…。

すみません…。

 

 

パソコンのこと

参考になればと思いますので一応書いておきます。

パソコンのことをちっともわかっていない私の勝手な感触ですが、下記のような感じです。

 

私は家電量販店で売っていたMacの普通のデスクトップパソコンにメモリを40GB (おそらく普通よりは多め…?)に増設して使用しています。

なんだかメモリは多い方がいいと聞いたのとメモリを足すのは簡単にできることだったのでそこだけやってみました。

他は普通の状態なので多分処理スピードの速さとかはそんなにないと思われます。

LT変換の待ち時間がまあまあ発生したり動作がスムーズでないなどストレスがあるなあと感じる場面があってもクリスタが落ちたり、まともに動かなくなるほどの3D素材はまだ当たった事がないです。

でもiPadで開いたら落ちてしまった…という事があったのでパソコンだとちょっと動作重いかなあくらいで済む範疇の素材がほとんどなのかも…?と思います。

かなり広い範囲の街並みの3Dなどの重そうなものは作成者の方がデータが重いと明記してくださっている場合がほとんどなので素材の説明ページを読んでみるのも大事かと思います。

親切な素材制作者の方はポリゴン数や頂点数、ファイルサイズを記載してくださっていますのでこちらも参考にしてみるといいと思います。

 

私は出品している素材に表記できていない不親切な奴です…。

すみません…。

 

 

極端にカクカクしている素材について

クリスタの3D素材で曲面が極端にカクカクしているものを見かける事がありますが、これにはとある原因があるかと思います。

 

3D制作ソフトによってカクカクだけど見かけ上はなめらかにするという設定が可能です。

 

例えば、カクカクの軽量な球体+なめらかに見えるようにする設定の情報だけなのでその結果表示されるものを実際に作って配置する場合に比べて軽量化できる便利機能です。

ほとんどカクカクのデータの軽さでつるつるに表示されます(多分)。

しかしながらその設定は3D作成ソフトごとの独自性が強いものなのかなと思います。

私もちゃんと理解はできていないのですが、互換性がない設定なのかな?と思われましてクリスタの3D素材化にするにはCLIP STUDIO MODELERを使いますが、そこに読み込むとカクカクを滑らかにする設定は無効になってしまうのかと思います。

もしくはMODELERで読み込めるファイル形式で書き出した時点で設定は失われているのかも?

 

あとは素人が勝手に考えてみた事ですが、カクカクを滑らかに表示するよう処理するのはちょっと面倒な事なのかもしれません。

対応するとクリスタの動作が重くなってしまうとか対応できるようソフトをアップデートさせるのが大変とか何かしらあるのかもしれません。

 

素材の説明ページで3D制作ソフト上での画像を載せていらっしゃる場合があります。

その際に曲面も綺麗だったりするけれどクリスタの素材をダウンロードして実際にクリスタで使用すると「あれ?カクカクしている…?」という事もありますので滑らかな曲面を重視したい方はその辺りの確認もダウンロード前に注意しますといいかと思います。

クリスタでの操作画面やLT変換の画像が掲載されていたらそちらを確認するのが一番いいかなと思います。

 

3D制作ソフトでレンダリングした見栄え良く見える画像を載せるのは慎重にならないといけないように思います。

クリスタでもそう表示されるという勘違いを生みそうな載せ方は個人的にはあんまり推せません⋯。

 

 

3D素材はアタリ用かLT変換するかどうか

背景や小物に3D素材を活用する場合、まずはLT変換を使用するかどうかの違いがあるかと思います。

 

1. 3D素材をアタリにして手描き

 

2. LT変換したものを加筆

 

1はどの3D素材でも選び放題かと思います。

ですが、動作の軽快さを重視したい方は曲面がカクカクしていたり、作り込みが少ない素材を探すといいかと思います。

 

2は自分がどのくらい加筆してもいいかで選び方は異なると思います。

 

動作の軽さと曲面の滑らかについては前述の通りです。

 

LT変換を利用し動作の軽さ重視の場合、カクカクしたままだと3D素材を使いました感が強いなあと個人的に思うので修正したいところです。

「なんかカクカクしている…?」や「あ、3D素材だ」と思われてしまうと漫画を

読む際のノイズに背景がなってしまうと思います。

個人的には3D素材は手抜きのためではなく、一から描き起こしたらかかる時間を減らし、その時間をクオリティを上げる作業に回したり、無茶な労働時間にならないように休息の時間を確保するためのものと考えますので3D素材が作品の質を下げる事になるのは避けたいです。

 

 

LT変換に際してカクカクへの対処法

どう対応するかについて、自分が行なっている事を書き記しておきます。

 

 

スムース(スムーズ)

まず、LT変換時、スムース(ver3.1以降ではスムーズ)の数値を上げるとカクカクが和らぐようです。

↑こんな感じになります。

上段は球のプリミティブ、下段は公式素材の「高級車_レイヤー別」のタイヤ部分です。

5くらいにならないと変化が起きにくいかもしれません。

10にしても変化が出ずカクカクなままの部分もあります。

それでもカクカクが軽減される所もあるのでうまく活用すると結構有効ではあると思います。

なのですが、時々線が変になるので小物にならまだいいのですが、いろいろなものが混在する背景など範囲が広いものに使用する際には注意が必要です。

上図では10だと座面がとってもふっくらしています。

どういった条件でこのような曲線になりやすいのかはわからないのですが、カクカクをなめらかにしたいと思っていたら違うところが極端な曲線になる事が時々起こります。

こうなるとトーンともずれます。

 

個人的な感覚としては曲面の中に混じっている直線が荒ぶりやすいようには思います。

 

以前は低い数値で一応はスムースをオンにしてLT変換を行っていたのですが低い数値ではほぼ効果は感じず、ものによっては予想外の箇所でスムース1でも線が荒ぶる事が稀にあるので最近はオフにしています。

明確にここのカクカクをなめらかにしたいという時にオンにしています。

スムースがオンの時はLT変換後に線が荒ぶっている所がないかのチェックも行った方がいいかと思います。

 

油断していると仕上げ作業を進める途中で「ここの線が変になっていた!」と気づく事も案外あるのでスムースを使用する際はご注意ください。

 

 

制御点

線画がベクターの場合にはLT変換後の修正でなめらかにする際には制御点を減らすのが個人的におすすめです。

特に線がカクッとしている時は近い場所に2つ制御点がある事が多いのでそのうちの1つを消すと少しカクカクはマシになるかなと思います。

とはいえ上図の球体のように制御点多めな場合は通用しないと思うのでどんどん制御点を減らした方がいいかなと思います。

↑制御点の削除を行なってこんな感じです。

サッと修正したやつなので丸の形が微妙ですがとりあえずカクカクはなくなりました。

上図のように制御点が多かったり周りに他の線がない場合には「ベクター線単純化」で一気に制御点を減らしてもいいと思います。

↑直後はこんな感じになってしまうこともありますが制御点を移動したり場合によっては足したりして整えればカクカクは解消されます。

 

状況に合わせて臨機応変に制御点を減らしてあとは微調整という流れです。

 

いろいろ書きましたが制御点をちまちまといじるのが面倒な時はカクカクの線を消して描き直した方が早いかもしれません。

ただ、描き直しではもちろんのことスムースの設定も制御点の調整も線だけに影響します。

線を整えてもトーンがカクカクしています。

なのでトーンとずれればそこへの修正も必要かと思います。

 

ここも対処しようと思いますと結構面倒くさいです。

そのためズボラな同志の方にはもともと曲面が滑らかで修正不要な素材をおすすめします。

特に連載作品の背景の場合、何度も出てくる場所に関しては修正が少なくて済む素材の用意は大事かと思います。

 

 

どのくらい加筆修正が必要か把握する

LT変換後になるべく加筆すらしたくないズボラさが爆発している同志の方は近景でいい感じになるかも気にされるといいかと思います。

仮に教室なら遠景のカメラが引いた状態ですとコマの中に椅子や机などがいっぱいあるので結構情報量が多くてそれなりに見栄えがします。

オブジェクトが小さく表示されるのでカクカクも目立ちにくくなります。

↑多少のカクカクはありますが、スムースを活用すると解決する程度かと思います。

例の画像は公式素材の「教室廊下01-Ver.2」です。

これが1つの椅子にカメラが寄った時、必然的に情報量は減ります。

さらにカクカクがある場合、椅子を大きく表示するほど目立ちます。

カメラが寄った時でもそれなりに見栄えはしそうか、曲面のカクカクが目立たないかはチェックしておきたいところです。

上図ではちょっとカクカクが目立ちます。

これが自分にとって許容範囲かの検討を行うといいかと思います。

スムーズを活用すれば線画のカクカクは割といい感じになります。

上図ではスムーズ4です。

ただし、右側のようにトーンやテクスチャの輪郭線を表示するとカクカクしているので修正が必要と思います。

この場合ではLT変換時に線画だけ使う方にはスムーズで対処できる部分が大きいと思うのでカメラが寄った時でも十分使用できるかと思います。

トーンも修正なしで使いたい方にはちょっと頼りないかなと思います。

 

こんなところを確認してみるといいかと思います。

ちなみにスムーズの加減を間違えると下図のようになる場合があります。

↑こちらはスムーズ10ですが、素材によってはスムーズ1で線が荒ぶってしまう部分があってスムーズがうまく活用できない事もありますのでスムーズを使う場合には事前のチェックは大事かと思います。

 

 

テクスチャの有無や加筆の容易さ

簡単に情報量を上げられそうかの見極めもするといいと思います。

例えば赤枠部分のようなパース定規を頼れないカーブしている所があると木目を描き入れるのが大変そうだなあと思います。

椅子がたくさん並んでいるシーンだと尚更です。

そういう箇所がない、もしくは少ないかは見極めたいところです。

上図のように元々テクスチャが入っているとラッキーですが、その場合でもカメラが極端に遠かったり近かったりする時にテクスチャが潰れたりジャギーが目立って綺麗に出ずという事もあります。

↑「教室廊下01-Ver.2」では椅子の木目のテクスチャの調整をしてみてもモノクロ漫画っぽくするのは難しかったです。

 

↓テクスチャの調整についてはおすすめの方法をこちらのTIPSにまとめています。

↑背もたれや座面にカーブがない板なのでパース定規を活用すればパパッと木目っぽいものは描き入れられるので加筆は容易と判断できます。

ただ、教室のようにたくさん椅子や机がある場合に一つ一つに描き込んでいくのは結構大変かと思いますので許容範囲かどうか検討しておくといいかと思います。

個人的には机や椅子がたくさんあるほどに「テクスチャあり(できればモノクロ原稿向き)」と「テクスチャを選択できる色域選択用」のマテリアルがある素材の作業効率が最強と今の所思っています。

とはいえ、もし多数の3D素材を組み合わせている場合にはマテリアルの切り替えが何個も発生するとあまり効果的ではないとは思いますが⋯。

 

ASSETSに出品されている素材の中では少数派と思いますが、色域選択で一括でテクスチャ部分を選択、調整できるので便利です。

自分が作成している3D素材ではなるべくマテリアルはそうしています(昔に作った素材は色域選択用を用意できていないです)。

 

 

テクスチャの描き込みとかは入れないというシンプル派の場合には線画だけでいい感じにかっこよく決まってくれる必要があるので線画の綺麗さ勝負になります。

シンプルなものほど粗が目立ちやすいので念入りにチェックした方がいいかと思います。

スムーズの活用や制御点をちょっと調整するくらいで済むものか、もしくは修正なしで使用できる素材を選ぶのが大事かと思います。

 

加筆修正で手早く対処できそうか許容範囲かどうか試したりは大事かと思います。

おまけ-法線について

おまけ的な内容になります。

そして3Dの事は独学でよくわかっていないのでほぼ私の推測なので全然嘘を書いてしまっているかもしれません…。

その事をご承知の上でご覧ください。

 

これについては上述の曲面がカクカクかツルツルか問題とまた違った視点でのカクカクかツルツルか問題になります。

まず、クリスタ用に3D素材を設定するには「CLIP STUDIO MODELER」を使用します。

3Dオブジェクトのセットアップを行うのですがMODELERにて法線がどう設定されているかでLT変換時に線の出方が変わります。

MODELERで設定する事なのでダウンロード素材をどうこうはできないので知っていたところであまり役には立たない情報かもしれません。

そのため、おまけとして書かせていただきます。

 

 

「法線の再計算」について

法線とはなんぞやと言いますと私も正直よくわかっていませんがMODELERにて「法線の再計算」というものがあります。

これはおそらく3D素材の辺(下図赤線部分)を角と定義するか曲面と定義するかの設定と思います。多分。

 

法線の再計算で数値を低く設定するほど辺部分を角として扱うのかと思われまして、線をよく拾います。

0に設定した球体をLT変換すると線画がミラーボールのような状態になりやすいです。

特に曲面がカクカクしている方が線がよく出ます。

こうした素材に対してLT変換で曲面をツルツルにしたい場合、検出精度の数値を下げれば描画される線を軽減できます。

しかし、LT変換の際に軽微な凹凸は検出精度が高い数値でも反映されにくいです。

例えば下図では左側が検出精度100、右側が50です。

50だと線が綺麗に出ていないところがあります。

↓LT変換後

←検出精度100

→検出精度50

故に法線の数値が低い素材では

 

検出精度を高くして細部の線を綺麗に出すか

 

低くして曲面の線をなくすか

 

のどちらを優先するかで困らされる事があります。

個人的にはMODELERで法線をいい感じに設定しておいてLT変換で検出精度を95~100くらいが線画が綺麗に出やすくて一番扱いやすいと思っています。

設定が一筋縄ではいかない時もあるのですが⋯。

 

 

法線の調整について

曲面がミラーボール状態にならないようにツルツルになるよう法線の数値を高くしておけばいいのかというとそういうものでもありません。

 

直線と曲線・曲面が入り混じるオブジェクトの場合、法線の数値が高いと平らな面に斜めに線っぽいものが入ったもやーっとした影が出たりします。

これはLT変換時にちょっとトーンが微妙になります。

 

↓法線の数値が高くてもやもやしている例

↓法線がいい感じな時の例

おそらくここが曲面な訳ないでしょうと思うくらいにカクッとしているところを曲面として定義して無理に処理するので面がもやもやした変な感じに表示されてしまうのかなと思います。

多分。

 

上述のようにLT変換の際に軽微な凹凸は検出精度が高い数値でも反映されにくいです。

凹凸も曲面もある下図のオブジェクトを例に法線の調整について説明します。

↑こんな感じにちょっとへこませたりしているとLT変換の際にその部分がうまく出にくいです。

法線の数値が低いと検出精度が高い時に曲面に余計な線が出て、法線の数値が高いと検出精度が高めでもへこんだ部分が曲面判定されてしまうので線が飛んでしまいます。

 

法線をちょうどいい感じにする事が必要です。

 

↓MODELERにて法線の再計算で法線を調整、LT変換をした例を作成しました。

法線18に設定したものが一番綺麗に出ています。

18は結構数値が低めな気がしますが、特に一番右下のものは曲面も線が出ずいい感じです。

 

オブジェクトにあった数値に設定すれば検出精度高めで軽微な凹凸を拾いつつ曲面に余計な線が出にくくはできるとは思います。

 

 

「シーンの大きさで精度を調整」について

法線18でも「シーンの大きさで精度を調整」がオンになっていると余計な線が出ています。

とはいえ法線そのままと法線180ではオフに比べてオンの方がへこんでいる部分の表示させたい線もうっすら拾ってくれています。

単にオフにした方がいいとも言えません。

 

下図2つは「シーンの大きさで精度を調整」がオンの例ですが、オブジェクトの小と大を表示するか非表示にするか以外、LT変換の設定などすべて同じです。

しかし、真ん中の中サイズのオブジェクトのみ表示しLT変換したものには余計な線が出ています。

シーンの大きさというものにカメラの近さや遠さ、オブジェクトの大きさ等は関係ない、もしくはそれに加えて下図赤枠のようにオブジェクトが表示されている部分をシーンの大きさとして定義し、それが加味される事で線画が調整されるのかなと思います。

 

そうしますとLT変換の設定等に違いがないのに線画に違いがあった事に合点がいくかなと思います。

「シーンの大きさで精度を調整」については上記のことも推測ですしどういう基準で線をよく拾ったり、逆に薄くなったり消えたりするのかはあまりよくわかっていませんが、線が均一になりすぎないのがいいかなと思っています。

 

なので私は「シーンの大きさで精度を調整」は常時オンでどうにも余計な線が出たりなど問題を感じたらオフにしてみたりしています。

 

 

法線の調整でままならないこと

法線の調整だけでなんとかならない時もあります。

以前作成したカーテンの素材では検出精度60くらいでないとLT変換がうまくいきません。

複雑な曲面があると法線を180に調整しても検出精度を下げないと余計な線が出てしまう事があります。

元々の造形的にうまくツルツルにならないのかなと思います。

この辺りも今後3D素材を作る際に検証と改善はしていきたいです…。

 

そしてそもそも法線の調整をする事が難しい場合があります。

 

 

フリーズする

まず、オブジェクトが複雑で重い時はフリーズしてしまいます。

これは私の作業環境のパワー不足が悪いのですが…そんな訳で法線の再計算がそもそも実行できない時があります。

先ほど例に出した曲面と凹凸があるオブジェクトのような場合にはなるべく対処は試みますが、現在のファイルの書き出し方では大抵それなりにLT変換で綺麗にでてくれるので私は法線の設定は大抵読み込んだままの状態です。

 

 

マテリアルがシャッフルされる

私の作業環境が悪いのかわかりませんが、法線の再計算をするとマテリアルがシャッフルされます。

↓法線の再計算を行うと…

マテリアルが入れ替わりました。

なぜ…。本当に…なぜ…。

ならばもう一度法線の再計算を行えばまたシャッフルされて元にもどるのではと思われるかもしれませんが、1回目以降はシャッフルされなくなります。

なぜ…。

 

単に色が入れ替わっているだけの場合は色情報を修正すればいいのですが、色とテクスチャ画像が入れ替わっている場合には非常に困ります。

例では水色部分に正方形タイルの画像を入れ直したいと思っても色情報で着色しているものとテクスチャ画像を貼っているものは根本的に仕様が違います。

色情報で着色しているものは色情報しか入れられないのでテクスチャ画像を入れなおす事はできません。

シャッフルされるのはなぜかはわからないのですが…。

私と似た環境で作業されている方で同じ状況ですとそもそも法線の設定がいじれない場合もあるかもしれません。

線が綺麗に出にくい素材があった場合、諸事情があるかもしれませんのでそっと許してください…。

 

そんな訳で法線の設定とLT変換時の検出精度の数値でどう線が出るかが変わります。

そこにオブジェクトの造形も影響するのかと思います。

 

 

検出精度のベストな数値が違う素材の対処法

ダウンロードした素材はとりあえず検出精度で対処するしかないかと思います。

素材の説明でLT変換例の画像を載せてくれている事があるかと思います。

その際に検出精度についての記載がある場合には確認してみるといいかと思います。

おそらくその素材が一番いい感じにLT変換される数値だと思われます。

 

仮に検出精度100と50がそれぞれベストな素材を組み合わせる、もしくは1つの素材内に検出精度が高い方が綺麗に出る箇所と低い方が綺麗に出る箇所が混在している場合にLT変換したい時にはLT変換を検出精度高めと低めで2回してみるといいかと思います。

線画を2種類つくって選択範囲を取って部分的に使うといいかなと思います。

上図は検出精度60でもカーテン部分が完全に綺麗な状態でもないのですが…。

95に比べると余計な線は少ないかと思うのととりあえずの例という事でお許しください…。

 

線画レイヤーを2つ用意後、カーテン部分をざっくり選択します。

 

 

選択範囲を反転させ、余計な線が出ている線画のレイヤーにレイヤーマスクを作成します。

カーテンの余計な線が減りつつ、60で線が消えていた所が解消されました。

カーテン部分の線は95に比べたら加筆修正の手間は減らせるかなと思います。

法線の設定の検証

これは普通に3D素材を使用される方には影響のないおまけすぎる内容です。

ここは読み飛ばしてください。

ほぼ自分用のメモです。

 

3D制作ソフトからMODELERへの読み込み用にファイルを書き出す際のやり方によって法線の様子が違いました。

 

その辺りを検証したく実験的にいくつかのパターンで素材を作成し、検出精度を変えてLT変換を行なったものを載せておきます。

素材制作者さんには少し参考になるかもしれません。

 

・3D制作ソフトでのファイルの書き出し方の違い(拡張子も異なります)で1と2の2パターン

 

・3D制作ソフトでの法線の設定を極端に0と180で設定して2パターン

 

・MODELERにて法線の再計算をしない「そのまま」と0と180に設定した3パターン

 

以上、12通り作成した3D素材をLT変換しました。

LT変換は検出精度を変えて3~4パターン出しています。

↓表1_1

↓表1_2

↓表2_1

↓表2_2

ファイルの書き出し方1では3D制作ソフトでの法線の設定は線画に対しては影響がないようで表1-1と1-2の線画はまったく同じ内容でした。

2も同様かと思いましたが、180度→180のパターンのみ違いがありました。

2_法線180→180以外は1も2も3D制作ソフト側での法線の設定はまったく影響なしでした。

 

2においてはMODELERで法線の再計算を行なっても2_法線180→180以外は線画はすべて同じ結果でした。

ちなみに1と2の法線180→180は同じ内容でした。

 

3D制作ソフトでの法線設定は影響なし、ファイルの書き出し方によっては法線の再計算がほぼ無意味になるようです。

私の作業環境においてはですが…。

ファイルの書き出し方2はクリスタ用に3D素材を作成する際には相性が悪かったです。

 

MODELERで3Dオブジェクトのセットアップを行う場合にはファイルの書き出し方も検討してみた方がいいかと思います。

私はしばらく2のやり方で書き出したものを使って苦労してしまったので…。

 

 

まとめ

長文になりましたが、ざっくりまとめると以下のようになるかと思います。

 

・動作の軽快さを重視するならカクカクした素材

→LT変換する場合にはカクカクの修正が必要になるので注意

 

・加筆が面倒な場合はつるつるした素材

→動作が重たくなる可能性もあり


・3D制作ソフトでレンダリングした画像の可能性があるのでクリスタでの操作画面やLT変換の画像も確認


LT変換したものを加筆修正する場合

 

・スムース(スムーズ)を活用

 

・制御点を調整

 

・どのくらい加筆修正が必要か把握する

→スムースや制御点で対処可能か

→テクスチャの有無や加筆の容易さ確認

 

検出精度のベストな数値が違う素材は検出精度の高いものと低いもの2つ線画を用意し、部分的に使う

 

 

おわり

以上が3D素材を選ぶ上で線画に影響しそうな事になります。

選び方といいつつLT変換についても結構触れていますが…。

 

こんな長々しいものをお読みくださりありがとうございます。

3D素材に求めるものは人それぞれだと思いますのでご自分に合った素材を選ぶ基準を見つけていただけたらと思います。

 

とりあえず今回は線画についてだけまとめていますが、トーン編も作れたらとは思っています。

文章は概ね作成していますがいかんせん画像の用意など手間が多いので公開は先だと思われます…。

今回よりさらに長いと思いますが、画風に合わせた素材選びの提案ができると思います。

需要がある内容なのかは謎ですが…。

 

↓3D素材は色々実験したり考えたりしつつ頑張って作っているのでもし条件が合いそうでしたらご活用ください。

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