[ 君が私をみつけた日 ] (講評:東京ネームタンク)

3,724

ClipStudioOfficial

ClipStudioOfficial

 

国際コミック・マンガスクールコンテスト2023の応募作品[ 君が私をみつけた日 ] に協賛社の東京ネームタンクより、詳しいアドバイスをいただきました。

 

作品を見る

[ 君が私をみつけた日 ]

ペンネーム:あか

学校:学校法人角川ドワンゴ学園S高等学校

国・地域:Japan

言語:日本語

 

応援アドバイス

とても素敵な魔法世界が描かれていますね!

 

読者がこのあかさんの描く魅力的な魔法世界により没入できるように、全体的に「わかりやすさ」を意識した表現を取り入れると良いと思いました。

例えば、「化物を倒した人に生徒が集まっている」というシーンがありましたが、初読で私は「派手な人気者に生徒が集まっている」と理解してしまいました。

 

今の状況を5W1Hで説明すると、次のようになるはずです。

 

「いつ」:少し前のこと

「どこで」:魔法世界のどこかで

「誰が」:魔法使いの生徒たちが

「なにが起こったのか」:化物を倒した

「なぜ」:魔法で化物を倒すことがすごいことだから

「どのように」:攻撃魔法を使って

 

今の表現に「なにが起こったのか」「なぜ」「どのように」が伝わる工夫が施されると

私のような誤読は生まれなくなると思っています。

(例:化物退治を魔法でしている絵を挟み込むなど)

独自の魔法世界を絵で表現できているからこそ、状況がわかりやすく伝わる絵を描けるようになることで、さらに読者を魅了できるようになるはずです!ぜひチャレンジしてみてください!

 

2人のかわいい表情ややりとりが素敵に描かれていますね!

かわいいやり取りを描けることはあかさんの強みだと思いました!

 

読者がそのやりとりを迷わず楽しめるように、「主人公のしたいこと」の「わかりやすさ」があるとよりよいなと思っています。

 

主人公がステッキを取り戻したいという意図は伝わっていますが、「いつ」「どこで」「どのように」ステッキを取り戻したいのかがやりとりから完全には伝わってきませんでした。

 

1. 男の子がアイスを食べている隙にステッキを盗もうとしている

2. 人気のない場所でこっそり男の子にステッキを返してほしいと頼もうとしている

 

などいろいろ考えられましたが、あかさんが本当に伝えたかった「主人公のしたいこと」が読者に明確に伝わるように工夫してみてください。

 

そうすれば、2人のやりとりが一層際立ち、読者ももっと楽しめると思いますよ。

 

 

化物に変身した少年は怖さと魅力を兼ね備えており、キメゴマの描写として素敵でした!

このような素敵なシーンだからこそ、読者の印象に強く残る構図へ挑戦してみることをおすすめしたいです。

もし化物が恐ろしい存在であることを読者に伝えたいのであれば、主人公と怪物の体格差を明確に表現できる構図にしたりすると一層そのように伝わります。

(これはあくまで一例であり、あかさんのアートスタイルや個性に合わせて工夫してくださいね。)

構図は読者の受け取る印象に大きな影響を与えるため、いくつかのアプローチを試してみるのがおすすめです。

あかさんなら、独自のスタイルとセンスで素晴らしい絵を描くことができると思います!

 

最後のセリフの流れが素晴らしいので、そこを一層引き立てて説得力を持たせるために、主人公の心の落ち込みの理由をもう少し分かりやすく伝えてほしいと思いました。

 

主人公の状態を5W1Hで整理すると、

 

「いつ」:現在

「どこで」:魔法世界の森のどこかで

「誰が」:主人公が

「なにが起こったのか」:泣いている

「なぜ」:??

「どのように」:大粒の涙を流しながら

 

となりますが、「なぜ」の部分が伝わり切っていない印象です。

この「なぜ」が明確に伝わるよう工夫することで、読者は主人公がなぜ泣いているのかをより理解できるだけでなく、少年(化物)の後のセリフが主人公に響いた理由も感じ取れる上に、読者の心にもっと深く響くこととなるはずです。

 

たとえば、泣く前に回想シーンを挿入するなどして、「なぜ」の部分をより強調できると、クライマックスがより感動的になっていくと思います。

 

応援メッセージ

キラキラと輝くかわいらしい魔法世界への愛や、少女への愛、そして異形な存在への愛など、さまざまな愛情が強く伝わってきました。その愛情の深さ自体があかさんの強みだと思っています!

この愛情を大切に育てながら、今回お伝えした「わかりやすさ」にも意識を向けて作品を創造し続けていただきたいと思いました!

そもそも自分の内に宿るファンタジーの世界をマンガに映し出すということは、非常に難しいことだと思っています。

しかしながら、あかさんはその世界を魅力的に描き出すことができる方だと、このマンガを読んで確信しています。

 

今後さまざまな物語を見せていただけることをとっても楽しみにしています!!

 

東京ネームタンク

 

国際コミック・マンガスクールコンテスト 2023審査結果

コメント

新着

公式 新着