2.下描きと配色
[1]下描き前の設定
■キャンバスの解像度を変更する
下描きにとりかかる前に前回作成したラフの解像度を上げます。
[編集]メニュー→[画面解像度を変更]を開き、「120」dpiから「250」dpiへ変更します。
これでキャンバスの比率は変わらず解像度が上がります。
■ラフの線を薄くする
次に、ラフを描いたレイヤーを選択した状態で[レイヤー]パレットの[不透明度]の数値を下げて、ラフの線の色を薄くします。今回は、24%にしました。
この上に新規レイヤーを作成して下描きを行います。
■下描き用ブラシの設定
下描き用にブラシ設定を変更します。
[ペン]ツール→[ペン]→[Gペン]を選択します。
下描きしやすい伸びやかな線を引くために、[ツールプロパティ]パレットで[筆圧]によるブラシサイズの[最小値]を「0」→「4」に変更して、少し大きくします。
最小値は0より少しだけ上げた方が、低い筆圧でも線が途切れることがありません。
この設定で下描きを行います。
[2]キャラクターの下描き
■目の変形
キャラクターの顔のようにバランスが重要な部分は、アタリやラフの時と同じように[選択ペン]で調整したい部分の選択範囲を作成し、[拡大・縮小・回転]で拡大縮小や歪みをかけて調整します。
目の形は特に印象に関わる部分なので細かく調整します。右目の幅を調整しました。
■キャンバスの回転・反転
私は右利きなのですが、利き手と逆向きの身体や顔は描きやすく、反対向きは描きにくいというクセがあります。
そういった場合は、[ナビゲーター]パレットの①[回転]や②[左右反転]を使って、線が引きやすい向きになるようにキャンバスの表示を操作してから描きます。
※[左右反転]は、もう一度クリックすると元の状態に戻ります。
※[回転]は、③[回転のリセット]ボタンをクリックすると元の状態に戻ります。
おおよその体のバランスをとりました。(キャンバスを反転させている状態です)
まだ気になる部分はありますが、服のシルエットと合わせて調整をかけていきます。
服と合わせて女の子が描き込めました。
■レイヤーの整理
ここで一度、作業が混乱しないようにレイヤーを整理しておきます。
[レイヤー]パレットの[新規レイヤーフォルダー]をクリックし、レイヤーフォルダ―を作成します。
フォルダーの名前を「女の子」に変更し、下描きを描いたレイヤーを格納してレイヤー名を「line」に変更します。
「line」レイヤーの下には次に行う配色用に新規レイヤーを作成しました。
[3]キャラクターの配色
■キャラクターの選択範囲
まずキャラクターの全身を塗りつぶします。
効率よくキャラクターの輪郭から内側を選択するために、先に輪郭から外側の選択範囲をとります。
[ツール]パレットの[自動選択]ツールを選択し、[サブツール]パレットで[編集レイヤーのみ参照選択]を選びます。
「line」レイヤーを選択した状態で、キャラクターの輪郭の外側をクリックします。
選択範囲の境界線が破線で表示されます。
続いて選択範囲をキャラクターの輪郭の内側に変更して塗りつぶします。
「line」レイヤーの下に用意した配色用のレイヤーを選んでから以下の順に実行します。
① [選択範囲]メニュー→[選択範囲を反転]
② [編集]メニュー→[塗りつぶし]
※塗りつぶされた範囲を確認しやすいようにグレーにしました。
前髪の一部が塗りつぶされていませんが、これは髪の毛の線が途切れてしまっていたので、自動選択で指定しきれなかったためです。ブラシで塗り足しておきます。
■透明ピクセルをロックして色を置き換える
続いてパーツごとに塗り分けを行います。塗り分ける前に、先ほどグレーで塗りつぶした配色用レイヤーを肌色に変更します。
①配色用のレイヤーが選択された状態で、[レイヤー]パレット→[透明ピクセルをロック]を設定します。
②[透明ピクセルをロック]された状態で、[カラーサークル]パレットや[カラースライダー]パレットで任意の肌色を選んで、[編集]メニュー→[塗りつぶし]を行います。
グレーだった部分を肌色に塗りつぶせました。
③配色用のレイヤーの名前を「1」に変更します。
その上に新規レイヤーを作成して肌以外のパーツの配色を進めます。
■色塗り用のレイヤーフォルダーを作成する
色塗り用にレイヤーフォルダーを作成します。「line」レイヤーフォルダーの下に新しく「color」レイヤーフォルダーを作成して、「1」レイヤーと色塗り用のレイヤーを格納します。
このレイヤーフォルダーに[レイヤーマスク]を作成して、キャラクターからはみ出さずに色塗りできるようにします。
レイヤーマスクについて詳しくは、以下のTIPSをご覧ください。
①「1」レイヤーのサムネイルを、[ctrl]キーを押しながらクリックすると、描画部分の選択範囲が作成できます。
② 「color」レイヤーフォルダーを選択した状態で、[レイヤー]パレットの[レイヤーマスクを作成]をクリックします。
③「color」レイヤーフォルダーに「1」の範囲のマスクが設定できました。これでフォルダ―内すべてのレイヤーはキャラクターの範囲からはみ出さずに色塗りできるようになりました。
■クリッピングで線画の色を変える
線画は、画面全体を柔らかい印象にするため、茶色系にします。
全体を茶色に塗りつぶしたレイヤーを「line」レイヤーの上に置いて、[下のレイヤーでクリッピング]を設定します。
■配色が終わったら透明ピクセルをロックする
コスチュームデザインを見ながら、女の子に色を乗せます。
色を塗り終わったレイヤーは間違えて描画してしまわないように、[透明ピクセルをロック]を選択します。
これでキャラクターの配色が終わりました。
[4]猫の下描きと配色
猫も女の子と同じ手順で、下描きと配色を行います。
■位置調整
途中、猫の位置は女の子とかぶらないように、ラフより少し右側に移動させました。
■レイヤーの整理
女の子と猫と、レイヤーの区別がつきやすいよう、別にフォルダー分けをしておきます。
女の子と同じく猫の「line」レイヤーにも[下のレイヤーでクリッピング]で茶色い線画にします。
配色用のレイヤーも同じように「color」フォルダーに格納し、フォルダーにマスクをかけてはみ出しを防いでいます。
【POINT】
動物を二足歩行のキャラクターにする時は、胴体を若干長めにデフォルメするとシルエットのバランスがとれます。
猫なので曲線を意識しつつ、柔らかいポーズになるように心がけています。
服は女の子が黒ベースなので、対で猫は白いベストにしました。
猫の塗分けが終わりましたので、次は背景にとりかかります。
[5]背景
背景も同じ手順で、線画を起こして、そこから選択範囲を指定して塗りつぶし、色分けをしていきます。
背景はキャラクターほど細かく塗り分けないので、「1」レイヤーの上に色分けしたレイヤーをクリッピングしています。
背景も同じく線画の色を変えます。
こちらはキャラよりも淡く見せるため、茶色ではなく、各オブジェクトの固有色より少し濃い色を選んでいます。
全体の配色が終わりました。
[6]下描き全体の調整
ここで一度「女の子」フォルダーを複製し、[レイヤー]メニュー→[選択中のレイヤーを結合]で、1枚のレイヤーとしてまとめます。
「女の子のコピー」というレイヤーが結合したレイヤーです。
元の「女の子」フォルダーは[レイヤーパレット]右側の目のアイコンをクリックして、[非表示]にしておきます。
女の子だけ線画や色を1枚のレイヤーにして、顔の大きさ、目のバランス、スカートの装飾に[選択ペン]と[変形]や加筆を行って調整しました。
スカートの装飾は、絵全体の情報が増えたため、デザイン画より小さく、シンプルなものに変更しました。
背景オブジェクトのライトを目立たせるために、一番下に1枚レイヤーを作り、暗い色で塗りつぶしています。
ライトが滲んだ色や、画面下部のグラデーションは、[筆]ツール→[水彩]→[不透明水彩]で色を置いてから、[透明水彩]でぼかし、なじませています。
[透明水彩]は下記の設定でぼかしています。
これで下描きと配色が完了しました。
次は線画を描き起こします。
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