レイヤー移動を爆速にするTIPS - テンプレートとオートアクションを活用しよう

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ナカシマ723ラボ

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はじめに

 デジタルで漫画を描くとき、アナログと比べて面倒な点が「レイヤー移動」の操作です。

 

 レイヤー数が多いと、レイヤーパレット上で目的のレイヤーを探すのは大変です。「レイヤー選択」ツールでは、まだ何も描かれていないレイヤーに移動することができません。

 

 「ひとつ上・ひとつ下」のレイヤーに移動する初期ショートカットはありますが、これだけで多くのレイヤーの間を移動するのはやはり大変です。

 

 

 このTIPSでは「レイヤーテンプレート」と「オートアクション」を活用して、レイヤーの移動や参照設定を「片手のキーボードショートカットのみで行う」方法について解説します。

 

 

 慣れれば、特殊なトーンや画像素材を貼り付ける場面以外は、ほとんどレイヤーパレットに触らずに原稿を仕上げることができるようになります。

 

 

準備:レイヤー名が重複していない原稿ファイルを用意する

 まず、いつも使っている原稿サイズにあわせて、よく使うレイヤーのセットをあらかじめ用意しておきます。

 

 このとき、重要なのは「まったく同じ名前のレイヤーやフォルダ」が無いようにすることです。

 

 同じ名前のレイヤーが複数存在すると、ショートカットで移動先を指定しても、その中で「もっとも上にあるレイヤー」が選択・参照されてしまい、うまく移動できません。

 

 後からレイヤーの名前を変更すると、移動用アクションの記録もやり直しになってしまうので、よく考えて設定してください。

 

 

 私の場合は、モノクロ漫画用として以下のようなレイヤーテンプレートと、これに対応した移動用アクションを用意しています。

 

「枠線分割」ツールを使って、1つの大きなコマを、小さなコマに分割していく前提のレイヤー構成です。

日本語版:

英語版:

 

※上の素材セットをそのまま使う場合は、次の項目の(1)と(3)はスキップしてもかまいません。

 

 

1:レイヤー移動時の動きをアクションに記録する

 レイヤーテンプレートの準備ができたら、レイヤー移動時の動きをオートアクションに記録します。

 

 オートアクションのパレットを開き、赤い●のボタンを押すと記録を開始します。

 

 

 そのレイヤーに移動する動きだけでなく、参照レイヤーを設定し直したり、下描き用のフォルダをロックしたりする動きも、同時に記録する必要があります。

 

 

 私の場合は、コマ内にある「ベタ(Fill)」のレイヤーに移動するとき、以下のようなアクションを設定しています。

 

 

 このアクションでは、目的のレイヤーに移動する前に

 

・原稿の一番上に配置されている、青と黄色の「選択範囲」レイヤーの表示状態を切り替えることで、「いま編集しているのがベクターレイヤーなのか、ラスターレイヤーなのか」を区別する

 

・描画に干渉する可能性のある「下描き」レイヤーをロックする

 

・コマ内のキャラクターの線を含み、背景の線は含まない範囲で参照レイヤーを設定する

 

といった処理を行っています。

 

 記録が終わったら、■を押して次のレイヤー移動の記録に進みます。

 

 

2:記録したアクションをキーボードショートカットに設定する

オートアクションが記録できたら、「ファイル>ショートカットの設定」から、それぞれのアクションをキーボードショートカットに割り当てていきます。

 単一のキーや、Ctrl・Altキーとの組み合わせは初期設定のショートカットと重複しがちなので、基本的にはShiftキーとの組み合わせで考えていきます。

 

 下記は、右手でペンを持つ人向けの一例です。レイヤーとキーボードの配置に一定の法則性をもたせ、すべて左手だけで入力できる位置に寄せてあります。

 

 Shift + 2 コマ内のマット(背景が透けないように、下に敷く白レイヤー)

 Shift + W コマ内のホワイト

 Shift + S コマ内のライン

 Shift + X コマ内のベタ

 

 Shift + 1 コマ上のマット

 Shift + Q コマ上のホワイト

 Shift + A コマ上のライン

 Shift + Z コマ上のベタ

 

 Shift + 3 背景のマット

 Shift + E 背景のホワイト

 Shift + D 背景のライン

 Shift + C 背景のベタ

 

 Shift + 4 コマ上の20%トーン

 Shift + R コマ上の10%トーン

 Shift + F コマ内の20%トーン

 Shift + V コマ内の10%トーン

 

 Shift + 5 下描きレイヤー

 Shift + T 描き文字レイヤー

 Shift + G ひとつ上のレイヤーに移動

 Shift + B ひとつ下のレイヤーに移動

 

 Shift + 6 コマ上背景マット

 Shift + Y コマ上背景ホワイト

 Shift + H コマ上背景ライン

 Shift + N コマ上背景マット

 

 Shift + 7 フキダシ上マット

 Shift + U フキダシ上ホワイト

 Shift + J フキダシ上ライン

 Shift + M フキダシ上マット

3:確定したレイヤーテンプレートを素材登録しておく

 オートアクションが正常に動作することを確認したら、ウィンドウ最上部にあるメニューの「編集」>「素材登録」>「テンプレート」から、現在のキャンバスを登録します。

 

 

4:新規作成時の設定に、素材化したテンプレートを登録しておく

 素材化したテンプレートは、上のように新規作成時のプリセットに保存しておけば、最初からすべてのページに導入された状態で描き始めることができます。

 

 現在開いているキャンバスのレイヤーパレットに、ドラッグ&ドロップして使用することもできます。

 

 

素材:モノクロ漫画用のテンプレートとオートアクション

 「準備」の項目にも掲載しましたが、私が実際に使用しているテンプレートとオートアクションを元にした素材セットは、以下から無料でダウンロードできます。

 

 

おわりに

 あなたの描き方のスタイルや、原稿の種類によっては、レイヤー構成をほとんど固定して描くのは向いていないかもしれません。

 

 しかし、「決まった名前のレイヤーに移動するアクションと、ショートカットを設定する」方法だけでも、覚えておくと役立ちます。

 

 たとえば「下描き」や、「下塗り」という名前のレイヤーにジャンプするアクションを作っておくと、活用する機会は多いでしょう。

 

 

著者について

漫画「勇者のクズ」を描いています。

 

 

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