自動で出来る!ノイズトーンを活用した線状ぼかし処理
はじめに
モノクロ漫画ではキャラと背景を見分けやすくするため、キャラの周囲を白くぼかす処理をすることがあります。
グレースケールを用いない場合、この処理をカケアミまたは木目状のブラシで描画することになりますが、多くのコマに手描きで処理していくのは、けっこう大変です。
このTIPSではノイズトーンとオートアクションを利用して、このようなシルエットに沿った線状ぼかし処理を、自動で行う方法を解説します。
1.ぼかしフィルタをかける
サンプルとして以下のような形状に、線状ぼかしをかけていきます。
まず、全体にぼかしフィルタを適用します。
ぼかしフィルタをかけるには、レイヤーのカラーモードが「カラー」または「グレー」である必要があります。カラーモードが「モノクロ」になっている場合は、変更しておきます。
↓
画面上部のメニューから、「フィルター>ぼかし」を選択します。
ひとまず、全体に強度200のガウスぼかしをかけてみました。
より広い範囲をぼかすには、少し独特のムラができますが、移動ぼかしを複数の方向にかけるのも有効です。
今回は「ガウスぼかし」をかけた画像をもとに、次の処理を行います。
2.ノイズトーンの設定を使って、ぼかしを線状にする
レイヤープロパティのパネルを使って、ぼかしたレイヤーをトーン化します。
「網の設定」で「ノイズ」を選択します。
ノイズの設定は各人の好みによると思いますが、私は600dpiのモノクロ漫画原稿用としては
角度:90°
ノイズのサイズ:130
ノイズの係数:500
に設定しています。
「ノイズのサイズ」を大きくすると、線が太く荒くなり、「ノイズの係数」を大きくすると、線が長くなります。
これで、線状にぼかされた画像を作ることができました。
注意しなければならないのは、実際にこのデータを印刷・出力した際の見え方は、クリスタ上でのプレビューとかなり異なるということです。
実際の書き出し結果を確認するには、レイヤーをラスタライズする必要があります。
上の画像はクリスタ上でのプレビューですが、
ラスタライズするとこのように、線が2倍程度まで太く荒くなります。
モノクロ原稿の場合は、ラスタライズした際に、レイヤーのカラーモードもモノクロに戻しておくとよいでしょう。
3.実際にフチ付けに使う場合に、追加すべき手順
「キャラクターに沿って白いフチをつける」用途の場合、上記までの手順だけでは、元の状態よりシルエットが小さくなってしまいます。線の密度も十分ではないかもしれません。
実際に「フチをつける」用途で、このようなぼかし処理をしたい場合
・「選択範囲の拡張」と「塗りつぶし」を行い、ぼかす対象を元のシルエットより大きめにしておく
・ノイズトーン化を行う前に、ぼかし処理をしたレイヤーの複製・結合を繰り返し、最終出力となる線の密度を濃くする
といった手順を含める必要があります。
また、元になったレイヤーを破壊しないよう、あらかじめ複製したレイヤーに対して、ぼかし処理を行うようにするのが良いでしょう。
上記の手順をオートアクションに記録しておけば、ワンクリックで冒頭の画像のようなぼかし処理を行うことができるようになります。
モノクロ・600dpiのマンガ原稿向けにあらかじめ調整したオートアクションは、以下に無料で公開しています。
ぼかし幅・線の太さなどを変えたい場合、今回のTIPSを参考に調整してみてください。
キャラクターのシルエットに沿った下地レイヤーを作る際には、線画を参照レイヤーに設定し、K96さんの「隙間無く囲って塗るツール」を使うのが便利です。
著者について
漫画「勇者のクズ」を描いています。
日本語版:
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