人物から適切なパース定規を設定する

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1、はじめに

 パース定規は設定した消失点に向かって、文句なく正確な線を引いてくれる便利なツールですが、描きたい画面に対して適切な設定ができないうちは中々扱いづらくもあります。
 ここではすでに描いた人物から適切なパース定規を作る方法を解説します。

今回画面の中央に描いた女の子の身長を、大体155㎝位と考えます。彼女の周りに自然な室内の景観を描くためのパース定規を作っていきます。

2、パース定規の作成

女の子の絵からパース定規を作っていきます。

①描いた人物を観察して、パースを取れそうなラインを探す

概ねの人には理論化できないにせよ空間感覚があるはずなので、「自然に見える人体」という立体物を描いた時、そこにはパースが存在するはずです。両肩や目、脚や腕のライン、着衣の縫い目や装飾など、パースの手がかりになりそうな部分を探していきます。

 それを直線ツールで少し整理してみましょう。なんとなく首の付け根の下あたりにアイレベルが見出せそうです。
 この時点での直観はズレていることもままあります。

②観察をもとにフリーハンドで人体が収まるくらいの箱を描く

 ざっくりと、この箱が存在する空間が気持ちいな、というくらいで描いてみましょう。この箱が描きたい空間の基準になっていきます。

③パース定規を作る

 いくつか方法がありますが、今回はメニューバーのレイヤーをクリック→定規・コマ枠から、二点透視のパース定規を選択します。
 すると図のように、アイレベルが画面の中央、左右の消失点が画面の両端に設定された定規が作られます。

④パース定規を調整する

 当然ながらデフォルト状態のパース定規は、描きたい空間に全く合っていないので調整が必要です。作った定規をオブジェクトツールでクリックすると、定規の上にさまざまなポイントが表示されます。各ポイントをクリック、選択して動かすことでパース定規を動かすことができます。

 まずアイレベルを目算の位置に動かします。
 画面の中央、アイレベル状の白丸をクリックして選択し、始めの観察でアタリをつけた、首の下あたりに動かします。

 次に右側の消失点に注目します。
 消失点から伸びている、紫色の線は消失点に向かっていく線を示すガイドです。(これは後から増やしたり、消すこともできます)ガイド状の白い丸をクリックして動かすと、消失点は固定したままガイドを動かすことができます。
 上下2本のガイドの白丸を、フリーハンドで描いた箱の、手前の角の上下に合わせます。

 白丸の前後にある紫のハンドルを動かすと、動きに合わせて消失点が移動します。
 ざっくり描いた箱の、下の辺をなぞる様にしてガイドを線に合わせます。消失点がそれに合わせて動き、この場合は画面の外側に出ていきます。

 下側のガイドはピッタリ合いましたが、上の辺ではずいぶん離れてしまいました。
 これは目算で決めたアイレベルがズレていたせいです。再びアイレベルの白丸をクリック起動して、適切なポイントを探します。

 アイレベルのを上下に動かし、ガイド線の微調整を繰り返して、右側の消失点はぴったりなポイントが見つかりました。
 同じ作業を左側の消失点に対しても行なっていきます。

 ここでまた問題発生。右側の消失点とガイド線はピッタリ合っているものの、そのままでは左側のガイド線が、どうしても微妙にズレてしまいます。

 微妙な誤差であれば「まあ、いいか」と妥協する手もありますが、小さな誤差も画面の端に向かうほど大きくなるので、理想の空間からのズレがストレスになることも考えられます。アイレベルの上下、ガイドラインの微調整を繰り返し、出来るだけ最初に描いた目安の箱に合うポイント探していきます。

 理想に近いポイントが見つかったら、フリーハンドで描いた箱を清書してみましょう。良さそうだったら、欲しい空間に合ったパース定規が出来あがりました。

3、背景を描く

 設定したパース定規を使って背景を描いていきます。
 初めに主要人物の身長を155㎝位、と決めているので、そこから周囲の部屋広さや、家具の大きさを割り出していけます。わかりにくい場合は、人物が収まる箱を書いた時に倣って、大体大きさの目安になる箱をパース定規で描いてみるといいでしょう。

先に描いた人物に対して、自然な室内の景観が追加されました。

https://tips.clip-studio.com/ja-jp/articles/4443

 ↑人物から適切な階段を描く方法を先に公開したので、併せて見てみてください。

4、背景から適切な人物を描く

 手順を逆にして、先に描いた背景に対して適切な人物の大きさを決めることもできます。
 床や梁のラインといった手掛かりから同じ様にして適当なパース定規を作り、空間内に人物を置きたい位置に、その人物が収まるくらいの箱を描きます。
 その箱を目安に人のシルエットを描いてみます。今回は身長差のある二人の人物が向かい合っている所にしましょう。

 かき起こした状態です。
 購入した背景素材に、人物を入れて作品として仕上げたい時などに使えるテクニックです。

5、全身でない人物から描く

画面に対して人物の全身が入っていない場合も両目を繋いだラインや、肩の線、或いは枠外に体を描き足してみるなどして、同じ操作が可能です。

 小さなコマの一部でも、天井のラインや円形の建物、自然物の向きなどの目安を付けやすくなると思います。

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