ストックイラスト制作におけるクリップスタジオの使い方(前編)
PIXTAにストックイラストを登録するクリエイターの方へ向けて、記事を書かせていただきます。
前編ではCLIP STUDIO PAINT(クリップスタジオ)を使ったイラスト制作の大まかな流れを、後編では便利な機能やツールについて説明します。
PIXTAでは人物を中心としたイラストを多く登録しているので、参考になれば幸いです。
ソフトの概要と設定について
クリップスタジオは動作の軽さや機能性、コストパフォーマンスにおいて優れたソフトだと思います。
PIXTAに登録しているイラストはラフから線画、着色までクリップスタジオで行っています。
手ぶれ補正やベクターレイヤー、各種定規などの描画に便利な機能があり、Photoshopなど他の画像処理ソフトでは難しい表現が可能になります。
イラスト作成の前に、設定の確認をします。
■1.新規作成画面でキャンバスサイズを決定します。
解像度は「300dpi」が推奨されていますが、「72dpi(web表示用)」で作成しても問題ありません。
(画像の大きさはpx数で決まるためです)
例えばA3サイズの紙全体に印刷する際は「3508px × 4961px」の大きさが必要になります。
大体「縦・横5000px程度」を目安に作成すれば大きなイラストの基準(PIXTAで言えばXLサイズ)をカバーできます。
■2.環境設定の「カラー変換」では、RGBのプロファイル設定は「sRGB」をお勧めします。
(ほとんどのモニターがsRGBに準拠していること、CMYKに変換した時の色差が少ないためです)
イラスト制作の流れ
基本的にはレイヤーの操作とペンツールや塗りつぶしツールといったシンプルな機能だけでイラスト制作を進めていきます。
1. レイヤープロパティーの効果「レイヤーカラー」でラインを青色にして透明度を下げました。これを下書きにします。
2. 下書きの上に新しいレイヤーを作成し、線画を描いて行きます。顔や髪、服などを別のレイヤー上に描いておくと、修正が容易になります。
3. 着色も同じように色ごとにレイヤーを分けると作業がスムーズになります。
最終的に「線画」「色」「背景」などのフォルダーごとにレイヤーをまとめています。
1.自分用の「カラーパレット」レイヤーを作成すると、着色作業が快適になります。
肌色、髪色など自分がよく使う色をまとめておいて、スポイトで簡単に取得できるようにしておきます。
2.レイヤーをフォルダにまとめる動作をショートカット設定で登録しておくと作業が捗ると思います。
※ショートカットキーの設定は、[ファイル]メニュー(macOSは[CLIP STUDIO PAINT]メニュー)→[ショートカット設定]→[フォルダーを作成してレイヤーを挿入]で設定します。
Photoshopとの併用について
PIXTAで公開しているイラストは、クリップスタジオで作成した後Photoshopに移動し、テクスチャーを追加したり色彩調整を行って完成させています。
他のソフトと比べると、合成・補正・色彩調整など画像処理の面ではPhotoshopに優位性があると思います。
クリップスタジオはPhotoshopのネイティブデータを読み込めるため、とても便利です。
ただ、注意点としてレイヤー効果や定規、ベクターレイヤーなどのデータは移管することはできません。
そのため、画像データは「.clip」「.psd」「.jpg」の3種類の形式で保存しておくと、万が一再編集が必要な時に役立ちます。
ピクスタとは
2006年にサービスを開始した広告素材(写真・イラスト・動画)を販売するサイトです。
プロでもアマチュアでも登録すれば投稿可能で、投稿された作品は販売に適しているか審査を経て販売開始となります。
作者プロフィール:Otsuka Azusa
フリーランスのイラストレーターです。
DTPの仕事をしていましたが、イラストの勉強のためストックフォトを始めました。
Web / 印刷物のイラスト制作、デザインも少しだけ行います。
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