特殊定規の使い方
[定規]ツールには正確な平行線や放射線を描ける[特殊定規]サブツールが含まれています。
この講座では特殊定規の使い方と、制作に役立つ実例をご紹介します。
[定規]ツールの基本的な使い方や使用例は、下記の講座・動画をご参照ください。
特殊定規の使い方
特殊定規を作るには、[ツール]パレットで[定規]ツールを選択し、[サブツール]パレットで[特殊定規]を選択します。
複数の異なる特徴を持った特殊定規があります。
[ツールプロパティ]パレットの[特殊定規]から、使用する特殊定規を選択します。
■特殊定規の種類
それぞれの特殊定規で次のような描画ができます。
平行線:
定規の向きに沿った平行な線を描きます。
平行曲線:
定規のカーブに沿って平行な曲線を描きます。
多重曲線:
定規のカーブに沿って立体的に重なった曲線を描きます。
放射線:
定規を中心に放射状に線を描きます。
放射曲線:
定規の中心に向かって、放射状に曲線を描きます。
同心円:
定規と同じ形の同心円を描きます。
ガイド:
キャンバスを水平/垂直に区切る定規を作ります。
■特殊定規の操作
特殊定規は、そのほかの[定規]ツールと同様に、作成後に[オブジェクト]サブツールで位置や形を操作できます。
POINT
特殊定規には[鉛筆]、[ペン]ツールだけでなく、[筆]、[エアブラシ]、[デコレーション]ツールもスナップできます。
筆圧を生かしたタッチで、効果線だけでなく、エフェクトや塗りにも応用できます。
[1]平行線
■作り方
キャンバス上で始点①をクリックして、終点②へドラッグします。
ペンを離すと、2点を通る平行線定規が作成されます。
■操作
平行線定規は向きを操作できます。
中心点Ⓐを中心に平行線定規は回転します。
回転コントローラーⒷをドラッグして回転させます。
[ツールプロパティ]パレットの[角度]に値を入力しても向きを操作できます。
■使用例:カラー漫画やアニメーション、ゲームの背景効果
[エアブラシ]や[筆]ツールを使って、アナログ画材を使ったようなスピード線を描けます。
タッチのかすれを生かせば、効果により勢いが生まれます。
[2]平行曲線
■作り方
連続してクリックした場所を通るカーブを描き、最後の制御点でダブルクリックか、または[Enter]キーを押して確定します。
■操作
平行曲線定規はカーブの形を操作できます。
制御点をドラッグしてカーブの形を調整します。
POINT
平行曲線定規の内側と外側で描画されるストロークの曲がり具合が変わります。
内側ほど強く、外側ほどゆるく曲がったストロークで描かれます。
■使用例:格闘漫画やスポーツ漫画の効果線
スウィングを描くカーブを平行曲線で作り、ストロークを重ねてスピード感を表現します。
[3]多重曲線
■作り方
連続してクリックした場所を通るカーブを描き、最後の制御点でダブルクリックか、または[Enter]キーを押して確定します。
■操作
多重曲線定規はカーブの形と線の重なる向きを操作できます。
○カーブの形
制御点をドラッグしてカーブの形を調整します。
○線の重なる向き
ハンドルをドラッグして、線の重なる向きを調整します。
線の重なる向きは、[ツールプロパティ]パレットの[角度]に値を入力しても操作できます。
POINT
ハンドルが向く方向に近い角度のストロークほど、線が重なるように描画されます。
■使用例:格闘漫画やスポーツ漫画の効果線
曲線の重なりを利用して、奥行きのある動きを表現できます。
エネルギー弾や打球のような、素早くうごく物体の弾道を描くのに向いています。
[4]放射線
■作り方
キャンバス上をクリックすると、定規が作成されます。クリックした位置が、放射線の中心となります。
■操作
放射線定規は描画される放射線の中心を操作できます。
中心点をドラッグして、放射線の中心位置を調整します。
中心点の位置は、[ツールプロパティ]パレットの[中心X][中心Y]に値を入力しても操作できます。
■使用例:イラストや漫画の背景を飾る
[デコレーション]ブラシなどを利用して、感情表現のエフェクトを描けます。
そのほかに、集中線やパースを描くときの補助として使う場合もあります。
[5]放射曲線
■作り方
①はじめにクリックした位置が放射曲線の中心となります。
②連続してクリックした場所を通るカーブを描きます。
③最後の制御点でダブルクリックか、または[Enter]キーを押して確定します。
■操作
放射曲線定規はカーブの形と描画される放射曲線の中心を操作できます。
○カーブの形
制御点をドラッグしてカーブの形を調整します。
○放射曲線の中心
中心点をドラッグして放射曲線の中心を調整します。
中心点は[ツールプロパティ]パレットの[中心X][中心Y]に値を入力しても操作できます。
■使用例:漫画やゲームの背景効果
[筆]ツールを使って、タッチを生かした勢いのあるエフェクトを描けます。
少しずつ形の異なる放射曲線定規を用意して、より複雑で勢いのあるエフェクトも描けます。
[6]同心円
■作り方
円の中心①から対角線の向き②へドラッグして、円の形を決めます。
一度ペンを離してから円の角度を調整してクリック③すると、同心円定規が作成されます。
POINT
円の形を固定したい場合は、[ツールプロパティ]パレットの[縦横比固定]にチェックを入れてから同心円定規を作成します。
■操作
同心円定規は円の中心の位置、形、角度を操作できます。
○円の中心
同心円定規を選択した後、定規本体の制御点以外の場所をドラッグして位置を移動します。
円の中心は、[ツールプロパティ]パレットの[中心X][中心Y]に値を入力しても操作できます。
POINT
中心点をドラッグすると、中心軸に沿って移動させられます。
○円の形
制御点をドラッグして円の形を調整します。
中心軸上の回転コントローラをドラッグして円の角度を調整します。
円の角度は[ツールプロパティ]パレットの[角度]に値を入力して調整します。
■使用例:背景や小物の作画
車輪やコップのふちのように、同じ平面上に円や楕円が並ぶ線を描くときに使います。
段差のあるものを描くときは、中心軸に沿って同心円定規を移動させながら描きます。
[7]ガイド
■作り方
ガイドを作成したい位置で縦方向にドラッグすると垂直に、横方向にドラッグすると水平にガイドが作成されます。
■操作
ガイドは位置を操作できます。
[中心点]をドラッグして位置を変更します。
ガイドの位置は[ツールプロパティ]パレットでも操作できます。
垂直なガイドは[中心X]、水平なガイドは[中心Y]に値を入力します。
■使用例:キャンバス上の位置を確認
垂直、水平なガイドを一つずつ作り、[ツールプロパティ]パレットでそれぞれの[中心X/Y]にキャンバスの縦横の寸法の半分の値を入力すれば、キャンバスの中央の位置を確認できます。
※図は1600×1200pxのキャンバスを使った一例です
特殊定規のスナップ
■特殊定規にスナップ
特殊定規にスナップさせるには、 [表示]メニュー→[特殊定規にスナップ]をオンにします。
コマンドバーにある[特殊定規にスナップ]アイコンを押すことでも、[オン/オフ]が切り替えられます。
■スナップする特殊定規の変更
特殊定規が複数あるとき、一度にスナップできる特殊定規は一つだけです。
スナップさせる特殊定規を切り替えるには、特殊定規の傍にある[スナップの切り替え]ボタンを押します。
スナップの切り替えは、定規の色で示されます。
スナップさせる特殊定規の切り替えは、定規横のボタンを押す以外に、[ツールプロパティ]パレットでも操作できます。
スナップさせたい特殊定規を選択したら、[ツールプロパティ]パレットの[スナップ]をオンにします。
CLIP STUDIO PAINTには他にも背景の作画や効果作りに役立つ、[パース定規]、[集中線]などのサブツールがあります。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
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