2.ラフの作成
第2回は、ラフと下塗りの工程を紹介します。
[1]テーマの設定
今回のテーマはドラゴンです。本講座に、質感の描き分けに関する解説を入れたかったため、機械的な要素を加え、「謎の組織に改造された半メカドラゴン」をイメージして描くことにしました。
[2]構図の設定
(1)最初に新規キャンバスを作成します。[ファイル]メニュー→[新規]を選択して表示される[新規]ダイアログで、以下のように設定します。
[キャンバス] A4 (幅2894px×高さ4093px)、[解像度]350dpi
(2)[レイヤー]パレットにレイヤーフォルダー「data」を作り、そこに新規レイヤーを作成して、大ざっぱな形・構図などを考えながらラフを描いていきます。
ラフの段階ではタッチを気にする必要はないので[鉛筆]ツールなど、使いやすいブラシで描いていきます。
別案を横向きの構図で考えましたが、飛翔してブレスを勢いよく吐いているというシーンを描ききる自信がなかったためボツにしました。
[3]下塗り
(1)イラストの舞台は、ドラゴンに襲撃された夜の町をイメージしています。
最初に線画レイヤーの下に新規レイヤーを作成し、[塗りつぶし]ツールで暗めの紺色をベタ塗りします。それをベースとして上から明るい色を入れていきます。
※レイヤーの重なり順は、[レイヤー]パレットのレイヤーをドラッグすることで移動できます。
(2)[レイヤー]パレットでレイヤーを右クリックするか、または[レイヤー]メニューから[表示レイヤーのコピーを結合]を選択して実行すると線画と下塗りが結合されたレイヤーが新規作成されます。このレイヤー名を「下塗り 2」にします。
その上に新たにレイヤーを作成し、合成モードを[覆い焼きカラー]に設定した後、ドラゴンのブレスや町の火災などを描き加えイメージを増やしていきます。
※レイヤーの合成モードの設定方法等について詳しくは、以下のTIPSを参照してください。
【POINT】
特定のレイヤーのみを複製してコピーしたい場合は、[Ctrl]キーを押しながら複製したいレイヤーをそれぞれクリックして選択し、[Alt]キーを押しながらレイヤーパレットの任意の階層へドラッグすると選択中のレイヤーが上下に並んで複製されます。
複製されたレイヤーが選択状態のまま右クリックメニュー [選択中のレイヤーを結合]をクリックすると複製したレイヤーを結合できます。
※[選択中のレイヤーを結合]コマンドは上下に並んだレイヤーにのみ適用できます。
※表示されているすべてのレイヤーをコピー&結合したい場合には、レイヤーを右クリックして表示されるメニューから[表示レイヤーのコピーを結合]を選択して結合します。
(3)複製して結合した下塗りレイヤーに、大まかに明るい色を入れ、全体の形を整えていきます。
(4)下塗りレイヤーの上に新規レイヤーを作成し、[下のレイヤーでクリッピング]をオンにします。ここに合成モード[スクリーン]や[覆い焼きカラー]を適用したレイヤーで明るい色を追加していきます。
※[下のレイヤーでクリッピング]は、下にあるレイヤーの描画部分のみを表示する機能です。機能について詳しくは、以下のTIPSを参照してください。
(5)クリッピングしたレイヤーは、問題なければ「下塗り2」レイヤーと結合します。
[4]下絵の調整
(1)下絵を作成した後、全体が窮屈に感じたため縮小します。
縮小する前に、大きな調整を行う際はレイヤーを複製(またはファイルを別名保存するなど)して調整前のバックアップをとってから作業します。
「下塗り 2」レイヤーを複製し「base」という名前にしたら、元の下塗りレイヤーも「下塗り 2」→「log 2」、「下塗り」→「log 1」と名前を変更し、「data」レイヤーフォルダーから出しておきます。
(2)「data」レイヤーフォルダーを[編集]メニュー→[変形]→[拡大・縮小・回転](ショートカットキー[Ctrl]+[T])で縮小します。
調整後「data」レイヤーフォルダーを表示・非表示することで以前の下絵と比較し、行った調整が問題ないか確認します。この確認動作は描き進めながら定期的に行います。
※レイヤーやレイヤーフォルダーの表示・非表示は、[レイヤー]パレットの各レイヤー名の左側にある目のマークをクリックして切り替えられます。
(3)縮小後、隙間を調整して下絵の完成です。
次回はメインモンスターの頭部を描画していきます。
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