カラープロファイルとは?-カラープロファイル理論編-

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ClipStudioOfficial

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「CMYKデータを作る-カラープロファイル実践編-」では、CMYKデータの作り方を説明しましたが、この中で何度か「カラープロファイル」という言葉を使いました。

この講座では、改めて「カラープロファイル」の概要と、使用法について説明します。

 

[1]カラープロファイルの目的、役割

(1)同じデータでもモニタによって色が変わる

 

カラープロファイルは、他の環境で画像をあつかう際の色の変化を抑えることを目的とした機能です。

特に、他の環境とデータをやり取りする場合や、複数人でカラー画像を作成する場合に有効です。

 

一般的にRGB形式では、色をR(赤)、G(緑)、B(青)の3原色それぞれを、真黒~赤(あるいは緑、青)の256段階に分けて、0~255の数値で表し、それら3色の混ざり具合でさまざまな色を表現します。 たとえば、「R:255、G:0、B:0」のRGBデータは赤色を表します。

 

ところが、この「R:255、G:0、B:0」というデータをモニタに表示した時に、実際にどのような赤色で表示されるかは、実はモニタごとに違います。

「R:255、G:0、B:0」は、「そのモニタで表示できる最も赤い色」というデータなのです。それぞれのモニタは機種ごとに表現できる色域に違いがあるため、「R:255、G:0、B:0」の時に実際に表示する色もそれぞれ異なる、ということになります。

 

同様に、CMYKで表現された色のデータも、実際にどのような色で印刷されるかは印刷機の機種や使用するインク、印刷する紙の材質などによって異なります。

このことは、画像の表示・取り込み・印刷などが可能なデジタルカメラ、スキャナ、家庭用プリンタなどのデバイスすべてに当てはまります。

RGBやCMYKは、実際に表示する色がデバイスに依存する相対的な色データといえます。

 

では、作成した画像を、作成した環境で表示した色味どおりに印刷したり、ほかのモニタで表示するには、どうすれば良いのでしょうか。

 

 

 

(2)カラープロファイルで一貫した色を再現する

 

デバイスの違いを極力少なくし、一貫して同じ色で取り込み、表示、印刷などの色を扱う作業を行うために使用するのが、「カラープロファイル」です。

カラープロファイルは、それぞれのデバイスの色特性(どのように色を扱うか)を記録したデータです。

RGBやCMYKで示された色のデータを、実際にどのような色で表示、印刷するのかを、デバイスに依存しない絶対的な色空間(Lab色空間といいます)を基準に記録しています。

 

カラープロファイルを画像データに埋め込むことで、画像作成時に使用したモニタでは、「実際にどのような色で表示していたか」がわかります。

モニタや家庭用プリンタ、印刷機などの、画像を出力するデバイスは、この「実際に表示していた色」を元に、出力デバイスのカラープロファイルに記録されている色特性にあわせて、RGBやCMYKのデータに変換し出力します。

このようなプロセスで色データを処理することで、作成時との色の違いを極力少なく表示、印刷することができるのです。

 

カラープロファイルは、デバイスごとにメーカーが作成したもの(デバイスのドライバと一緒にインストールされる場合や、メーカーホームページなどで配布している場合があります)や、標準的な環境を想定して作成された汎用的なもの(sRGBやAdobe RGB、Japan Color 2001 など)があります。

また、自分のモニタ環境やプリンタに合わせて独自に作成することもできます。

詳しくは、[5]一般的なカラープロファイルを参照してください。

 

【POINT】

カラープロファイルを埋め込んでいる場合でも、対応していないアプリケーションで表示した場合は、意図した色で表示することはできません。

Windowsの場合、XP以前の環境ではカラープロファイルは一切考慮されず、画像のRGBデータをモニタの色特性に従い表示します。

WindowsVista以降の環境では、sRGBプロファイルが埋め込まれているものとして表示します。また、メーカーによって異なる場合がありますので、お使いの製品のマニュアルなどを確認してください。

macOS環境の場合はOSレベルでカラープロファイルに対応しているので、プロファイルに対応していないアプリケーションでも、意図通りの色を表示します。

 

[2]RGBカラープロファイルを使う

ここでは、RGBカラープロファイルの使用方法を解説します。

 

 

 

(1)RGBプロファイルを埋め込む

 

基本的な操作は、CMYKの場合と同じです。 [ファイル]メニュー→[画像を統合して書き出し]から[.jpg(JPEG)][.tif(TIFF)][.psb(Photoshopビッグドキュメント)][.psd(Photoshopドキュメント)][.png(PNG)]いずれかの形式を選択し、[書き出し設定]ダイアログを表示します。 ダイアログの「表現色」を「RGBカラー」にして「ICCプロファイルの埋め込み」にチェックをつけて保存してください。

 

ファイルの保存時に、[表示]メニュー→[カラープロファイル]→[プレビュー設定]で表示される、[カラープロファイルプレビュー設定]で指定したRGBプロファイルが埋め込まれます。

プレビュー設定で指定していない場合は、[ファイル]メニュー(macOSの場合は[CLIP STUDIO PAINT]メニュー)→[環境設定]ダイアログ→[カラー設定]→「RGBプロファイル」で設定したプロファイルが埋め込まれます。

 

プレビューの使用法も、CMYKの場合と基本的には変わりません。

[カラープロファイルプレビュー設定]の、「プレビューするプロファイル」でRGBプロファイルを選択してください。

 

なお、「プレビューするプロファイル」は、OSの指定するRGBプロファイルが初期値として選択されます。何らかの理由でOSからRGBプロファイルの指定が取得できない場合は、環境設定のRGBプロファイルが初期値になります。

また、RGBプロファイルを選択している場合は、色調補正を行えません。

 

 

 

(2)RGBプロファイルの使用場面、注意点

 

印刷所で印刷する場合はCMYKのプロファイルを使用しますが、RGBプロファイルはどのような場合に使用するのでしょうか。

創作中によくある作業の中で、RGBを活用できる場面や、カラープロファイルに関する注意点を説明します。

 

<他のアプリケーションと併用する場合>

他のアプリケーションを併用して画像を編集する場合は、モニタの環境は同じなので、色味の変化は発生しないため、プロファイルを使用する必要はありません。

 

プロファイルを埋め込んでいないのに意図していない色で表示される場合は、ファイルを開くアプリケーションがモニタと違うプロファイルで画像を表示している可能性があります。表示しているアプリケーションの、カラープロファイルに関する設定を確認してください。

 

<家庭で印刷する場合>

家庭で一般的に使用するインクジェットプリンタは、RGBデータをCMYK(機種によってはそれ以上の色)データに変換してインクで印刷します。

 

CLIP STUDIO PAINTは、カラープロファイルの有無にかかわらず、印刷時にはカラープロファイルを埋め込まずOSにプリントデータを渡して印刷するため、印刷結果はRGBデータをCMYKデータに変換するプリンタのプロファイルに依存します。このため、カラープロファイルを埋め込む必要はありません。

プリンタのRGBプロファイルを、「プレビューするプロファイル」に指定することは可能ですが、プロファイルの特性、精度や印刷する紙などの条件によって、印刷結果と全く異なる表示となることがあります。必ずテスト印刷して確認してください。

 

<Webで発表する場合>

イラストサイトにアップロードするなど、Webで発表する場合、画像を見る環境は、OS、ブラウザ、モニタなど、さまざまな要素が制作した環境とは異なることが前提になるため、正確な色を再現することは期待できません。

このため、特に色の再現性にこだわらないのであれば、CLIP STUDIO PAINTでカラープロファイルを埋め込む必要はありません。

 

<多人数で制作する場合>

多人数で作業をする場合は、それぞれのモニタ環境や使用するアプリケーションが異なるため、RGBプロファイルを統一しておきましょう。

色のズレが起こる可能性を低くするために、一般的な色域としてsRGBプロファイルの使用をおすすめします。また、WindowsVista以上の環境であれば、モニタのプロファイルもsRGBで統一してください。

ただし、モニタ機種の違いや、照明などの外部環境の影響で色の再現が難しい場合もあります。

 

【POINT 色合わせに関するカラープロファイル以外の要因】

カラープロファイルを正しく設定しても表示、出力する色が違う場合は、次のような要因が影響している可能性があります。

 

<デバイスの設定、個体差>

たとえばモニタの機種設定を変えている場合は、表示結果が異なります。また、同じ機種であっても経年変化などでデバイスごとの個体差があるため、完全に同じ色を表示することが難しい場合があります。

これらの要因を完全に排除することは困難ですが、機種設定の見直し、モニタのキャリブレーションやプリンタのインクヘッドを綺麗にするなどの調整や手入れをすることで、改善できる可能性があります。

詳しくは各デバイスのマニュアル等を確認してください。

 

<外部環境の違い>

モニタや印刷結果を見る環境の明るさなどで、実際に見える色は変わります。照明を調整したり、モニタの遮光フードを使用することなどで改善される可能性があります。

より精度の高い色調整を行いたい場合は、キャリブレーション専用のツールや、カラーマネジメントに対応しているモニタの導入を検討することになります。高価なものなので、趣味の領域であればこだわる必要は特にありません。

 

[3]環境設定

ここからは、CLIP STUDIO PAINTでカラープロファイルを使うにあたって役立つ情報をご紹介します。

 

まず、CLIP STUDIO PAINTの[環境設定]で設定できるカラープロファイル関連の項目を説明します。

 

[ファイル]メニュー(macOSの場合は、[CLIP STUDIO PAINT]メニュー)→[環境設定]を選択して、[環境設定]ダイアログを開き、「カラー変換」を選択します。

 

①RGBプロファイル

CLIP STUDIO PAINTのデフォルトRGBプロファイルを設定します。初期値では、OSの指定するモニタプロファイルが指定されています。

[環境設定]ダイアログ上でプロファイルを変更した場合は、OSの指定するプロファイルにかかわらず変更したプロファイルになります。

 

新規ファイルを作成した場合や、カラープロファイルが埋め込まれていない画像は、OSが指定するRGBプロファイルを、プレビューに使用するプロファイルの初期値にします。

何らかの理由でOSの指定するRGBプロファイルを取得できない場合は、ここで指定したRGBプロファイルを、プレビューするRGBプロファイルの初期値に設定します。

 

マルチモニタ環境でモニタごとにプロファイルを変えている場合などを除き、通常、設定を変更する必要はありません。

 

【POINT】OSの指定するモニタプロファイル

・WindowsVista以降……[コントロールパネル]→[ディスプレイ]→[画面の解像度]→[詳細設定]→[色の管理]で指定しているプロファイル

 

・Windows10以降……[設定]→[システム]→[ディスプレイ]→[アダプターのプロパティの表示]→[色の管理]で指定しているプロファイル

・macOS……[システム環境設定]→[ディスプレイ]→[カラー]で指定しているプロファイル(「カラーLCD」や「Cinema Display 」などのApple標準プロファイルを指定している場合、CLIP STUDIO PAINT上では「Display」と表示されます)。

 

②CMYKプロファイル

デフォルトのCMYKプロファイルを設定します。CMYKプロファイルを埋め込む場合や設定する場合に使用されます。初期値は「Japan Color 2001 Coated」が選択されています。

なお、カラープロファイルの種類については、[5]一般的なカラープロファイルを参照してください。

 

③レンダリングインテント

デフォルトのレンダリングインテントを設定します。内容はカラープロファイルプレビュー設定と同様です。

 

④使用ライブラリ

Windows環境でのみ選択できます。デフォルトのカラー変換ライブラリを選択します。内容はカラープロファイルプレビュー設定と同様です。

 

[4]カラープロファイルを埋め込まれた画像を開く

CLIP STUDIO PAINTで、他のアプリケーションや環境で作成されたカラープロファイルが埋め込まれた.jpg、.tif、.psd、.psb画像を開くことができます。

それぞれのカラーモード、プロファイルによって開く挙動や表示する場合に使用するカラープロファイルに違いがあります。

 

<RGBカラー>

プロファイルが埋め込まれていない場合は、特に色の変換などはしません。RGB値をOSの指定するモニタプロファイルに従い表示します。

プロファイルが埋め込まれている場合も、RGB値をOSの設定に従い表示しますが、埋め込まれたプロファイルがプレビュー設定の「プレビューするプロファイル」の初期値になります。

 

<CMYKカラー>

プロファイルが埋め込まれていない場合は、環境設定のCMYKプロファイルが埋め込まれているものとして扱い、そのプロファイルから環境設定のRGBプロファイルに変換します。

プロファイルが埋め込まれている場合は、そのプロファイルから環境設定のRGBプロファイルでRGBデータに変換します。また、埋め込まれたプロファイルがプレビュー設定の「プレビューするプロファイル」の初期値になります。

 

<グレースケールカラー>

プロファイルの有無にかかわらず、プロファイルなしのデータとして読み込みます。

 

[5]一般的なカラープロファイル

一般的に利用されるカラープロファイルを紹介します。

ここで上げる他にも標準的に使用されるプロファイルや、モニタやプリンタなどの各デバイスメーカーが提供するプロファイル、ユーザーが自分の環境に合わせてカスタムしたものがあります。

 

デバイス固有のプロファイルによっては、入力あるいは出力に使用できない場合があります。

CLIP STUDIO PAINTで使用できないプロファイルが選択された場合は、環境設定のプロファイルで代用します。

 

 

 

■RGBデータのカラープロファイル

 

<sRGB>

標準的に使用されるRGBプロファイルです。Microsoftによって制定されました。

CRTモニタで使用することを想定して作られましたが、多くの液晶モニタやデジタルカメラ、スキャナ、インクジェットプリンタなどで使用できます。

 

<Adobe RGB>

Adobeにより提供されています。写真や映像のプロフェッショナル用途を想定しており、sRGBやApple RGBよりも広い色域を扱えますが、一般的な液晶モニタではAdobe RGBで扱えるすべての色を表示することはできません。

 

 

 

■CMYKデータのカラープロファイル

 

<Japan Color 2001 Coated>

一般社団法人日本印刷産業機械工業会が提供するプロファイルです。

日本のインクにあわせてあり、印刷所でのコート紙印刷などに広く使われています。同人誌の表紙やポストカードを印刷する場合などに使用します。

 

<Japan Color 2001 Uncoated>

日本のインクにあわせてあり、上質紙印刷などに使われます。同人誌本文でカラーページを印刷する場合などに使用します。

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