【2】CLIP STUDIO PAINTの合成モード全解説【オーバーレイ~輝度】
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画像内に日本語で文章が書かれていますが、翻訳されるように同じ文章を記事内テキストに書き起こしているので安心してください。
以下、この記事と同じ内容ではありますが、動画も作成いたしました。
一部動画での説明もあるので、よろしければご覧ください。
▼動画
【13】オーバーレイ
非常によく使われる合成モードの1つのオーバーレイですが、中身は実は乗算とスクリーンを組み合わせたものです。
オーバーレイは下のレイヤーの色によって条件が変わり、
基本色が0.5(128)以上(明るい)だった場合、スクリーンと同じ効果
基本色が0.5(128)以下(暗い)だった場合、乗算と同じ効果が適用されます。
しかしそのまま適用してしまうと0.5以上と0.5以下で明暗が急激に変わりすぎてしまうため、変化を緩やかにするために2倍にして計算します。
【計算式】
基本色>0.5
結果色=2(基本色+合成色-基本色合成色/255)-255
結果色=1-2(1-基本色)(1-合成色)
基本色<0.5
結果色=基本色合成色2/255
結果色=2基本色合成色
←元絵 オーバーレイ→
▲明るいところはスクリーン、暗いところは乗算、といった合成なので、結果として明るいところはより明るく、暗いところはより暗くなるような効果になるためコントラストが上がります。
▼ここまで色々計算式で説明してきましたが、実のところ結果だけ見るとスクリーンと乗算というより、覆い焼きカラーと焼き込みカラーに似ていて、彩度がぐっと上がるような結果になります。
←覆い焼きカラー|焼き込みカラー オーバーレイ→
彩度や明度の変化を付けたい時は向いていますが、色相は合成色の色味に寄る程度なので場合によっては使用に向かないことがあります。
【14】ソフトライト
クリスタ公式のリファレンスガイドには、合成色の色によって条件が変わり、0.5以上の場合は覆い焼きのような効果、0.5以下の場合は焼き込みのような効果になると書かれてありますが、詳しい計算式については各ソフトでかなりバラつきや所説あるようでハッキリしたことは分かりませんでした。
ですが、結果だけ見ると合成色が明るい色の場合は「コントラストが少し上がったスクリーン」、暗い色の場合は「弱めの焼き込みカラー/オーバーレイ」といった感じになります。
←スクリーン ソフトライト→
←オーバーレイ ソフトライト→
柔らかく色の変化を付けたい時に向いている合成モードかと思います。
【15】ハードライト
ハードライトもオーバーレイと同様に乗算とスクリーンを組み合わせたものですが、オーバーレイが下のレイヤー(基本色)を基準に乗算かスクリーンかを決めていたのに対して、ハードライトは上のレイヤー(合成色)を基準に乗算かスクリーンかを決めます。
【計算式】
合成色<0.5(128)
結果色=2(基本色+合成色-基本色合成色/255)-255
結果色=2基本色合成色
合成色>0.5(128)
結果色=基本色合成色2/255
結果色=1-2(1-基本色)(1-合成色)
▼なので、基本色と合成色の上下を逆にして基本色の方の合成モードを変えると互いに入れ替わったような同じ結果になります。
←オーバーレイ ハードライト→
▼ハードライトという名前からオーバーレイやソフトライトより激しい、強いと言われることの多いハードライトですが、強弱で選ぶのであれば
ソフトライト<オーバーレイ<ビビッドライト(後述)
の順で、ハードライトは別物と考えた方が良いかもしれません。
▼ハードライトは、下のレイヤーの明暗を残しつつ明るい色も暗い色もしっかりと色が乗るので、髪の毛の影を描き入れた後にメッシュ部分だけハードライトで色を変えるといった、後から色を変えたい時などに便利な合成モードです。
【16】差の絶対値
名前の通りRGB値の差の絶対値なので
結果色=基本色-合成色 (結果が-の場合でも+になる)
という計算式になりますが、これは式で見るよりも結果で見た方が分かりやすいかもしれません。
▼特徴としては、明るい色を使うと色の変化が強くなり、暗い色を使うと色の変化が弱くなります。
▼また、合成色の彩度が高い場合、基本色が明るいところは合成色の補色寄りの色相になり、基本色が暗いところは合成色寄りの色相になります。
▼そして合成色の彩度が低い場合は色相明度彩度が反転します。
▼大分癖が強いので中々使いどころがないように思われるかもしれませんが、差の絶対値をうっすら上に載せるだけで疑似的なグラデーションマップのように使うことができます。
▼また、同じ色だと真っ黒になるという特性を生かして、差分のチェックに使ったりも出来ます。
【17】ビビッドライト
ビビッドライトはオーバーレイと似ていて、オーバーレイが乗算、スクリーンを組み合わせたものならビビッドライトは焼き込み(カラー)、覆い焼き(カラー)を組み合わせたものです。
彩度の高い色を置くと色の変化が大きくなるため扱いにくくなりますが、オーバーレイの強い版のような感じの効果になります。
▼同じ絵を複製して軽くぼかし、オーバーレイ、もしくはビビッドライトにするとシネマティックな加工が出来ます。
【18】リニアライト
リニアライトは、焼き込みリニア、覆い焼きリニアを組み合わせたものです。
こちらはハードライトの強い版のような効果になります。
ハードライトだと彩度が低い、コントラストが弱いと感じた時にリニアライトを使うのが良いでしょう。
←ハードライト リニアライト→
これはコントラスト系の合成モード全体的に言えることですが、明るい色を使えば光に、暗い色を使えば陰として使えます。
特にハードライトとリニアライトは合成色の色が乗りやすいので、
レイヤー1枚でスクリーンと乗算の効果が使いたい場合はハードライト、
覆い焼きと焼き込みの効果が使いたい場合はリニアライトを使うとレイヤー削減になったりします。
▲リニアライトレイヤー1枚だけで影も光も描いている例
【19】ピンライト
ピンライトは、比較(暗)と比較(明)を組み合わせたものです。
合成色が128より低い場合は比較(暗)、高い場合は比較(明)の効果になります。
【計算式】
合成色>128
基本色<255-2*合成色の場合→基本色
基本色>255-2合成色の場合→2合成色
合成色<128
基本色<2合成色-255の場合→2合成色-255
基本色>2*合成色-255の場合→基本色
←元絵 ピンライト→
ピンライトは非常に合成後の結果がイメージしにくい上に、名前に「ライト」とつくので明るくなるような感じがしますが、差の絶対値同様に疑似グラデーションマップのような加工に使うのが一番使いやすいのかなと思います。
【20】ハードミックス
上のレイヤーと下のレイヤーを足した時、255以上になれば255、255以下の場合は0になるという最も極端な合成モードなので、赤、緑、青、黄、マゼンダ、シアン、白、黒の8色以外の色は現れません。なので、アンチエイリアスのかかっていないようなバキッとした結果になります。
ハードミックスはとても癖が強いので中々扱いにくいところではありますが、例えば目に悪そうなサイケデリックな加工がしたい時には打ってつけですし、ノイズ系のテクスチャと相性が良く、エアブラシで軽く色を乗せると画像の劣化のような加工が出来ます。
※下の画像左側:分かりやすいように後ろを暗くしています。
【21】除外
除外は差の絶対値に似ていて、差の絶対値よりもコントラストが低く、柔らかい印象になり、カラーパレットを使ったような絵になります。
【計算式】
結果色=基本色+合成色-2基本色合成色/255
結果色=(1-合成色)基本色+(1-基本色)合成色
←差の絶対値 除外→
差の絶対値だとコントラストが高すぎるといった場合にこの除外を使うと良いかもしれません。
【22】カラー比較(暗)
名前でも分かる通り比較(暗)によく似た効果ですが、比較(暗)がRGB値1つ1つを比較しているのに対してカラー比較(暗)はRGB値の合計を比較して暗い方(数字の小さい方)の色を表示します。
▼そのため、比較(暗)は下のレイヤーにわりと馴染んだ形で合成されるのに対して、カラー比較(暗)は通常レイヤーのように色がそのまま上書きされます。
←比較(暗) カラー比較(暗)→
どうしても色を変えたくないとき、そのままの色が反映されて欲しい時はカラー比較(暗)を使った方が良いでしょう。
【23】カラー比較(明)
こちらもカラー比較(暗)と同様に、RGB値の合計を比較して明るい方(数値の大きい方)の色を表示します。
比較(明)との使い分けも、馴染んで欲しいか、そのままの色を表示してほしいかで判断するのが良いと思います。
【24】除算
名前の通り下のレイヤーの色を上のレイヤーの色で割ります。
基本的に明るい色になるため、覆い焼きや加算同様にハイライトや発光として使えます。
【計算式】
結果色=基本色/合成色*255
←元絵 除算→
▲合成色が暗い色ほど明るくなり、合成色の反対の色相になるという少しクセがありますが、かなり綺麗な色が出やすいので発光系を描くときの候補に、この除算を入れても良いと思います。
また、割り算なので、同じ色を使うと白くなるという特性があります。
この特性を生かして、特性の色を消すといったことが出来ますが、全体的に使うと明るくなってしまうので、他の色が黒しかない場合か消したい色ピンポイントで使うことをお勧めします。
HLS色空間について
ここからはRGB値ではなく、三角形の方のカラーサークルを使用していきます。
周りの輪っかが「H:色相」、三角の縦移動が「L:輝度」、横の移動が「S:彩度」になります。詳しく知りたい方は「HLS色空間」で検索してください。
輝度は明度によく似ていますが、明度は「色が持つ明るさ」に対して、輝度は「人間が感じる明るさ」が考慮されます。
こちらのカラーサークルを明度を基準にモノクロ化した時(中央)と輝度を基準にモノクロ化した時(右)を見比べてみると分かりやすいかと思いますが、「黄色は明るくて青は暗くて…」といった色ごとに感じる明るさの違い、多くの方は明度だと思われてるかもしれませんが、これらは全て「輝度」になります。
ですので、厳密にいえば輝度と明度は違うものではあるのですが、ややこしい、難しい、分かりにくいと感じられる方も多いと思います。
そういう方は、輝度は「見た目の明るさ」で「明度とは違うものなんだな」ということだけ覚えておいていただければと思います。
【25】色相
下のレイヤーの輝度を維持したまま、上のレイヤーの色相にします。
合成色が無彩色の場合は結果色も無彩色になります。逆に下のレイヤーが無彩色の場合は色相が適用されないため注意が必要です。
←元絵 色相→
【26】彩度
下のレイヤーの輝度と色相を維持したまま、上のレイヤーの彩度にします。
また、こちらも下のレイヤーが無彩色の場合は変化が無いので注意してください。
←元絵 彩度→
【27】カラー
下のレイヤーの輝度(明度)を維持したまま、上のレイヤーの色相と彩度にします。
名前の通り、色を変える時に使える合成モードで、これは基本色が無彩色でも色がつきます。
ただし輝度は下のレイヤーのままなので、色の変化に輝度の差が欲しい場合はハードライトかリニアライトで色を変えることをお勧めします。
←元絵 カラー→
【28】輝度
下のレイヤーの色相と彩度を維持したまま、上のレイヤーの輝度にします。
▼基本色と合成色の上下を逆にして、基本色をカラーにすると同じ効果になります。
←カラー 輝度→
合成モード解説その2は以上となります。
次の記事ではレイヤーフォルダの合成モードと描画系ツールの合成モードを解説していきます!
【3】透過~消去(比較)
https://tips.clip-studio.com/ja-jp/articles/4165
【1】はじめに~加算(発光)
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