動画を撮って特撮映像をつくってみよう! ~宇宙編~
◆ClipStudioPaintは工夫次第で特撮が作れます
映画に使われる特殊効果を手書きアニメーションで作ることができます。
Clipstudioでは、さすがに難易度の高い映像の編集は出来ませんが
カット(シーン)を重ねることでちょっとした自作映画なども製作できます。
◆宇宙船を作る
とまあ、スゴイ事言っている見出しですが、コピー用紙2枚ほどで作ります。
ClipStudioPaintの直線ツールをひたすら引いてラフ絵の出来上がり。(下絵参照)
メカは直線と精密が命なんや。
最初に宇宙船のラフ案を考えて、それを元になんとなく設計図を制作。
プリンターのインクが切れているトラブルにもめげず、
いつもの小道具、カッターとのりを使って接着、組み上げたら完成。
ラフ案と少し違うのは、このぺらっぺらのコピー用紙では
細部の再現は無理!と判断したのでご容赦を。
まあでも、これはこれでちょっとカッコイイ感じなので気に入っている。
予備に2号機の図面も用意したが初号機作成で夜も寒いし
魂が尽きたので2つ目は作らなかった。(室温7℃)
※筆者はかなり気楽に作っておりますのでそのへんご配慮くださひ。
超時空民間宇宙軍戦闘機 初号機「あっとま・スター号」堂々完成!
本来、場面カットのコンテ(イメージ画)が撮影に必要だったりするのですが、
それは長ーい映画を撮る場合の話であって、
今回はどんなシーンを作りたいのか、すでに頭の中で考えてある(本当かよ)
ので、そのまま動画撮影開始するです。
◆特殊効果を描いて作る
【Point】
撮影を撮り終えたら、どこに特効(特殊効果)を入れるのかを
映像を観ながらあらかじめ考えておきます。
◆レーザー Laser を描く
《解説》
レーザーとは波長の指向性と収束性に特化した光、もしくは電磁波の意味。
「パワーカプセル4つ目で装備可能」という事はとある業界で広く知られている。
アニメーションドキュメントは縦長で作成。
縦12216px 幅1728px 解像度144dpi 1秒10コマ(秒/コマ)
レーザーが上へ移動して消える の動作を計4回繰り返す
キーフレームアニメーションを作ります。
各レイヤごとに作り分けながら直線ツールで白の線を引いて、
「白色」の選択範囲を拡大したものに「水色」を塗りガウスでぼかし、
水色の選択範囲の拡大したものに「深青色」を塗りガウスでぼかします。
片方作ったらもう片方複製し、全部のレイヤをひとつに結合して出来上がりです。
このレーザー素材をキーアニメーションにするわけですが、
このフレームを「自由変形」させるのため
1)タイムラインを有効を「切り」にする
2)レイヤの変換「画像素材レイヤ」にする
3)変形>「自由変形」を選ぶ(効果がない場合は一度変形して元に戻す)
4)タイムラインを「有効」にする
5)レイヤの変換「画像素材レイヤ」にする
すると普通の「拡大縮小」ではなく、のちに「自由変倍」できるキーフレームが
出来ます。
キーフレームアニメーションは
こんなかんじに出来上がれば完成(上 動画参照)したら、
編集>素材登録>アニメーションに素材として保存。
画面左の「動画サムネイルボタン」を押すとムービーが再生されるので
動作を確認したのち、右側の「素材保存先」を指定します。
わたしの場合は「画像素材フォルダ」に「USER素材フォルダ」をあらかじめ
整理する都合で作ってあるので筆者はそちらに保存します。
◆爆発 Explosion を描く
《解説》
爆発とは急激な圧力による破壊作用の事を意味する。
ちょっと昔までは鬼才な芸術作品の事を示す意味もあった。
新規のイラストドキュメントを作ります。作例はA4サイズ144dpi
「光に覆われし漆黒よ、 夜を纏いし爆炎よ…」
などと詠唱しながら描くと、より臨場感が高まります。
簡素に綺麗な「雲」を描きます。
注意)青空は別段描かなくてよいです。見栄えなので。
ここから雲のみレイヤを結合して
>編集>色調補正>グラデーションマップ
を開きます。
青空は芸術だ。
芸術は爆発だッ!
グラデーションマップの画面で
グラデーションセットをクリックするとグラデーションが適用されます。
※筆者は「爆発用のグラデーション」をすでにセットしてあるので
無ければ画面を参考に見本と似た色で「グラデーション」を作ってみてください。
適用されると瞬時に雲が爆発カラーに変わります。
あとは爆発っぽくこげ茶色をレイヤ下に加えたり、
色調補正から「明るさ・コントラスト」「色相・彩度・明度」を調整しながら
あの手この手を加えて完成です。
《ヒント》
一回でうまく出来なかったら、グラデーションマップを何度も繰り返したり、
レイヤを乗算しながら調整してゆくと、出来たり出来なかったりします。
※)筆者もイメージ通りにうまく出来ず失敗してやり直したりする事があります。
◆バーニア光 Vernier を描く
《解説》
宇宙船などの姿勢制御補助エンジンの意味。もとはノギス(計測器)で幅を読み取るための補助部分をいう。アニメ世界では宇宙メカの噴射ノズルの事を指す。
バーニアは実際の映像をアタリにして「スプレーツール」を使って
それぞれレイヤ別に描きます。
「水色」と「白」はパレット標準位置にあります。
「ぼかし/ガウス」フィルタなど使うのも良いですね。
やり方はどうであれ、自分のイメージ通りになればOKです。
◆いよいよ特殊効果映像作成
平たくいってしまうと、全部のキーフレームにアニメーション処理をします。
《アニメーションドキュメント》
高さ1080px 幅1920px 解像度144dpi
15フレームレート 再生時間5秒9コマ(秒/コマ)
動画データはメインメニュー
ファイル>読み込み>ムービー
から読み込めます。(下画像参照)
筆者の場合はMP4形式。
動画データ対応形式はClipstudioフォーマット、AVI形式、MP4形式、
(QuickTime movie)Mov形式、となります。(2025年1月現在)
◆レーザー砲発射特撮アニメーションの作り方
画像素材から「レーザーを描く」項目で作った「レーザーの素材」をドロップします。
ドキュメントの外れた場所に孤立しているはずなので上手に探しだして、
読み込んだ素材レイヤはフォルダなどに入れておくとよいです。
タイムラインを再生させると保存した秒数だけアニメーションするのがわかるので、
長細い位置がアニメーション範囲というのがわかると思います。
◆「レーザー素材」レイヤのアニメーション範囲を縮小して
下参照画像のように被写体とパースを合わせるよう変形させます。
※レーザーは画面外で消えるようにする。
◆レーザー素材の短かったタイムライン枠を撮影終了時間まで伸ばす。
◆最初のアニメーション部分だけ残し、残りのキーフレームは消去する。
(下画面参照)
※)消すのなら最初からキーフレーム作るの1アクション分だけでよかったのでわ?
と思う人が居るかもしれませんが、もしひとつだけなら探しずらいし、
範囲感覚の手応えと認識を図る為です。無いよりはあった方が良いです。
動画に合わせて「レーザー素材」レイヤを5コマ間隔でキーフレームを修正しながら
どんどん追加していきます。
参考動画のような挙動になります(下動画参照)
「レーザー素材」レイヤの合成モードは「通常」にして
「レーザー素材」のフォルダの合成モード「加算」にします。
※合成モードに掛かる効果は必ず動画素材と同じレイヤ階層にします。
◆爆発シーンの作り方
爆発部分はレイヤひとつに結合してフォルダに入れておきます。
動画では被写体が撃ちながら横移動であったため、カメラワークの必然的な解釈で
撃ってない方向は爆発しませんし、画面外で爆発したほうがリアルだな
と考えたのでそうしました。
《爆発解説》爆発①レイヤ
◆2コマ目から始めて、レイヤは縮小0%のサイズ、透過は100%。
◆5コマ目は透過100%、7コマ目で大爆発
◆8コマ目で透過0%、9コマ目は1コマ目に戻る(1コマと同じ)
キーフレームです。
◆爆発①レイヤを元に爆発②レイヤも補助的にうしろで発破させています。
以後、これを複製しながら配置してゆくわけですが、
爆発というのはリズミカルにしないとシラケるので、
均一単調になりすぎず、複製はすれども中には回転しながら爆発とか
しているものも混じらせながら、全部爆発が違う変化にするのがコツです。
キーフレームの動き(再現性)には限界があるので、そこが難しいトコロです。
なので本作品例では爆発再現は2つのレイヤで発破させています。
◆バーニア光 特殊効果アニメーションの作り方
バーニアの双方4つのレイヤはフォルダに入れ、キーフレームの移動は
フォルダを指定して行います。
フォルダの「合成モード」は「覆い焼き(発光)」にします。
1秒間でキーポイント4か所に被写体ノズル辺りを映像終了地点まで
追いかけてどんどん配置していきます。(下画像参照)
ノズルの光が移動でフワフワ揺らいでいる感じにしたくて
初動より出遅れさせて定位置よりキーポイントをワザとズラしています。
フワフワ感出てますか、どうでしょう。
◆読み込んだ動画映像を露出アンダーにする
左が「青色」を映像にマウントさせた。右がそのまんまの映像「無施工」。
比較してわかる通り、特殊効果は暗い場面でより映えるので
映像を一段暗く下げた方がより効果的に見えるのだ。
宇宙空間だと暗い方が臨場感は本物に近い。しかし本物は見たことがない。
(ロケ地/俺の部屋)
《青色RGB値》R13 G39 B89 合成モード「ソフトライト」
◆家にあるものでクロマキー撮影をしてみよう
無地柄の色カーテンがあればクロマキー撮影をすることができます。
《解説》
クロマキー合成、撮影背景色の一部を合成して別の背景にする技術。
テレビ番組等で「お天気キャスター」がよくやってる合成映像。
同じ色が透けてしまうとようわからんことになる技術。
家にあったカーテンを使った渾身のDIYクロマキー撮影現場。
ClipstudioPaintでは映像編集は出来ませんが、映像を作成することはできます。
映像編集ソフトを組み合わせればより映画に近いデジタル映像が作れます。
上の動画は映像編集ソフトで合成したものをClipstudioPaintのテキストを使って
スタッフのエンドロールをアニメーションで映像化したものです。
◆あとがき
撮影は根気と技術と時の運が関係します。
実写とアニメーションを合わせたショートムービーを
ClipstudioPaintなら簡単に作れます。
最初は知らない事だらけで難しいかもしれませんが、もしも時間と興味が出来たら
観る側でなく、今度は自作で映像を作ってみてはいかがでしょうか。
これからも皆さんの善きクリエイターライフをお祈りしております。
ClipStudioPaint EX Ver.3.0.4 2025.0115 あきべん
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