画像を読み込んで作品のクオリティをアップさせる

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ClipStudioOfficial

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CLIP STUDIO PAINT Ver.1.10.5対応

 

デジタルで描かれる多くのコンセプトアートやイラストレーションでは、作品にリアリティや密度を上げるために写真やテクスチャなどの画像を読み込んで使用します。この記事では、基本的な画像の読み込み方法と画像の合成方法を紹介します。

 

・作品にアナログ感を出すために紙の質感画像を合成

 

・材質やパターン画像を合成して作品の密度を上げる

 

[1]画像をキャンバスに読み込む

テクスチャや写真、パターン画像を作品に適用するには、最初に同じキャンバス上に画像を読み込んでおく必要があります。以下で紹介する方法のいずれかを使用して画像を読み込んでみましょう。

キャンバス上に読み込まれた画像は、[画像素材レイヤー]という通常のレイヤーとは違う特徴を持ったレイヤーになっています。

 

<画像素材レイヤーとは>

拡大・縮小・変形などの操作を行っても画像データが劣化しないレイヤーです。画像にハンドルが表示され、変形操作がしやすくなっています。詳しい操作方法については、[2]で紹介します。

 

<読み込める画像形式>

BMP、JPG、PNG、TIFF、Targa、PSB、PSD

 

 

 

■CLIP STUDIO PAINTのメニューから配置する

 

①[ファイル]メニュー→[読み込み]→[画像]からコンピューターに保存されている画像を選択します。

Galaxy/Android/Chromebook版の場合:カメラで撮影した写真や他のアプリで作成した画像など、カメラロールに保存してある画像データを使用する場合は、[ファイル]メニュー→[読み込み]→[ストレージから]を選択します。

iPad版・iPhone版の場合:カメラで撮影した写真や他のアプリで作成した画像など、カメラロールに保存してある画像データを使用する場合は、[ファイル]メニュー→[読み込み]→[フォトライブラリから]を選択します。

 

②選択した画像がキャンバスに貼り付けられます。テクスチャを作品全体に合成する場合はレイヤーの一番上に配置します。

 

 

 

■ドラッグ&ドロップで配置する

 

画像は、コンピューター上のフォルダーなどから直接CLIP STUDIO PAINTへドラッグ&ドロップで読み込むこともできます。

ドラッグ&ドロップで読み込む場合は、キャンバスではなく[レイヤー]パレットへドラッグ&ドロップします。

 

タブレット版やスマートフォン版の場合:マルチウィンドウ/スプリットビューで、CLIP STUDIO PAINTと、画像が格納されているアプリの両方を表示させてから、[レイヤー]パレットへドラッグ&ドロップして画像を読み込めます。

 

[POINT]

画像をキャンバス上にドラッグ&ドロップすると、描画しているキャンバスではなく、別の新規キャンバスに通常のラスターレイヤーとして画像が開かれます。

 

 

 

■[素材]パレットの素材やASSETSからダウンロードした素材を配置する

 

CLIP STUDIO PAINTの[素材]パレットに収録されている素材やCLIP STUDIO ASSETSからダウンロードした素材を使用する場合は、[素材]パレットにある素材のサムネイル画像をキャンバスにドラッグ&ドロップします。

 

素材に[タイリング]が設定されている場合は、下図のように1パターン分の境界にハンドルが表示されます。[タイリング]は、[ツールプロパティ]パレットでオフにすることもできます。

 

 

 

■編集可能な画像データを配置する(ファイルオブジェクト)

 

CLIP STUDIO PAINTフォーマット(.clip)やPhotoshop形式(.psd)形式で編集した画像データを[ファイルオブジェクト]として読み込むと、別のキャンバスやソフトなどで画像データを編集できます。編集した内容は、画像を入れ替えることなく、キャンバスに反映できます。

 

[ファイル]メニュー→[読み込み]→[ファイルオブジェクトを作成]から画像を選択して配置します。

 

<ファイルオブジェクトとは>

元の画像や動画などのファイルが維持されたまま、CLIP STUDIO PAINTからレイヤーとして参照されます。CLIP STUDIO PAINT上で描画などはできませんが、元のファイルを開いて描画などを行うと、CLIP STUDIO PAINT上で更新されます。

元のファィルをCLIP STUDIO PAINTで編集した場合は自動的に表示が更新されますが、別のソフトで編集した場合は、[レイヤー]メニュー→[ファイルオブジェクト]→[ファイルオブジェクトを更新]を選択して更新します。

 

ファイルオブジェクトについて詳しくはこちらの記事をご覧ください。

 

[2]読み込んだ画像を変形・合成する

読み込んだ[画像素材レイヤー]や[ファイルオブジェクト]は、変形や合成モードの変更、レイヤーの不透明度の調整などを行うことができます。ここでは実際に使用頻度の高い用途を例に紹介します。

 

[ツールプロパティ]パレットでタイリングの設定や、[レイヤープロパティ]パレットで[質感合成]のコマンドが使用できます。

ただし、[画像素材レイヤー]は描画内容を直接編集することができません。編集したい場合は、後述する[ラスタライズ](通常のレイヤーに変換する)を行うか、[レイヤーマスク]を使用します。

 

 

 

■画像を操作するツール

 

レイヤーに読み込んだ画像は、ハンドルをドラッグして変形できます。ハンドルは、[ツール]パレット→[操作]ツール→[オブジェクト]を選択すると、表示・操作できます。

 

読み込んだ画像を変形させる

読み込んだ画像は、初期状態では縦横比が固定された[拡大・縮小・回転]ができるように設定されています。変形方法を変更したい場合は、[ツールプロパティ]パレットの設定を変更します。

 

縦横比を変更したい場合は、[縦横比固定]のチェックをオフにします。

 

自由な形に変形したい場合は、[変形方法]を[自由変形]などに変更します。

 

読み込んだ画像をワンクリックで合成する

読み込んだ画像は、そのままの状態では違和感があります。[画像素材レイヤー]や[ファイルオブジェクト]は、描画されている質感を簡単に作品に反映できる[質感合成]機能を使用できます。

 

テクスチャ画像をキャンバス全体が覆われるように拡大して配置してから、[レイヤープロパティ]パレットの[効果]→[質感合成]をクリックして設定します。

読み込んだ画像の合成は、[質感合成]以外に前回紹介したレイヤーの[合成モード]を使ってもよいでしょう。

両方設定することもできますので、いろいろな設定を試してみてください。

 

読み込んだ画像を自由に加工する[ラスタライズ]

読み込んだ画像は、[画像素材レイヤー]になっているため、画像に直接描画するなど編集することができません。加工したい場合は、通常のレイヤーに変換(ラスタライズ)してから加工します。

 

①[レイヤー]パレットで[画像素材レイヤー]が選択されている状態で、[レイヤー]メニュー→[ラスタライズ]を選択します。

 

レイヤーのアイコンが変わり、通常のレイヤーと同じように描画したり編集できるようになります。

 

【POINT】レイヤーの表現色

CLIP STUDIO PAINTのレイヤーは、レイヤーごとに[表現色](カラーモード)を設定できます。

色が付けられない場合は[表現色]が[グレー]や[モノクロ]になっている可能性があります。

表現色が[カラー]になっているか確認してください。

 

読み込んだ画像を透過して合成したい

線画やテクスチャなど、白地に黒で描画された画像の白い部分を透過したい場合は、レイヤーの表現色を調整します。

 

①[レイヤープロパティ]パレットの[減色表示]アイコンをクリックします。

 

②表現色の黒いアイコンをクリックすると白い部分が消えて、黒色部分のみが抽出できます。

反対に、白いアイコンをクリックすると黒い部分が消えて、白色部分のみが抽出できます。

 

この機能は、下図のように読み込んだ線画の描画部分や輪郭を抽出するときにも活躍します。

 

画像の一部を消したい[レイヤーマスク]

読み込んだ画像を一部分にだけ合成したい場合は、[レイヤーマスク]を使用します。[レイヤーマスク]は、レイヤーの一部を非表示にできる機能です。

 

画像を[消しゴム]ツールで消すと、後から元に戻すことができませんが、[レイヤーマスク]で非表示にしておけば、後から簡単に元に戻すことができます。

[レイヤーマスク]は[画像素材レイヤー]以外にも、通常のラスターレイヤー、レイヤーフォルダー、色調補正レイヤーなどでも使用できます。

 

①一部を非表示にしたいレイヤーを選択している状態で、[レイヤー]パレット上部にある[レイヤーマスクを作成]アイコンをクリックします。

 

②レイヤーの、[レイヤーマスク]のサムネイルを選択した状態で、[消しゴム]ツールか、またはペンなどの描画系ツールの透明色で、消したい部分を消去します。透明色で消した部分はレイヤーマスクのアイコンに黒く表示されて、非表示になります。

 

下図では、全体に適用されたテクスチャ画像から、ペンチ部分などテクスチャを適用したくない部分をレイヤーマスクで非表示にしました。

 

[POINT]

CLIP STUDIO PAINTの[レイヤーマスク]は[消しゴム]ツール、描画系ツールの透明色で塗って消すと非表示になります。非表示になった部分を戻したい場合は、透明以外の描画色で塗ります。

レイヤーマスクについて詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

 

画像を特定のパーツだけに合成したい[下のレイヤーでクリッピング]

読み込んだ画像を特定のレイヤー、例えば下図の場合はペンチだけに合成したい場合、[下のレイヤーでクリッピング]を使用します。

CLIP STUDIO PAINTの制作工程では頻繁に使用される便利な機能です。

 

①合成したいレイヤーの上に画像レイヤーを配置して、パレット上部の[下のレイヤーでクリッピング]アイコンをクリックします。

 

②画像レイヤーのアイコンの左側に赤い線が表示されて、下のレイヤーの描画部分のみが表示されます。

 

 

 

[下のレイヤーでクリッピング]は、画像以外にも様々な用途などで活用できます。

 

・木全体にグラデーションを重ねて色の変化を付ける

 

・[レベル補正レイヤー]を人物のレイヤーに適用して明るくする

 

形に合わせて画像を変形する[メッシュ変形]

読み込んだ画像を平らではない形に変形したい場合は、[メッシュ変形]を使います。[メッシュ変形]は、網目状に画像を調整できる機能です。

 

以下の例は、べた塗りで塗った帽子にチェック柄の画像素材を[下のレイヤーでクリッピング]したものです。チェック柄を変形させて、帽子の立体感を表現してみましょう。

①[メッシュ変形]は画像素材には適用できないため、「タータンチェック03(茶)」をラスタライズしておきます。

②[選択範囲]ツール→[矩形選択]で帽子よりも少し大きなサイズに選択範囲を作成してから、[編集]メニュー→[変形]→[メッシュ変形]を選択します。

選択した範囲がメッシュ変形の対象になります。

③[メッシュ変形]の格子点の数を[ツールプロパティ]パレットで設定します。細かく調整したい場合は格子点数を多くします。

④キャンバス上の格子点をタップで選択して、変形させたい方向に動かします。Ver.2.3以降では、選択した格子点が赤く表示され、複数の格子点を同時に選択できます。

【POINT】格子点の選択方法(Ver.2.3以降)

・選択した格子点は赤色になり、複数同時に選択できます。

・選択されているハンドルを再度タップすると選択が解除されます。

・複数の格子点を選択すると水色のハンドルが表示されます。

・選択されている複数の格子点を一度に解除したい場合は、メッシュの外側をタップします。

格子点の選択方法は、[ツールプロパティ]パレットで変更できます。

ドラッグで格子点を選択したい場合は、[変形対象上のドラッグ操作]を[格子点の範囲選択]に切り替えてから操作します。

⑤調整が終わったら、[確定]をタップします。チェック柄の画像を帽子の形に合わせて変形できました。

 

画像を合成してアナログ風にする

デジタルで水彩や油彩などのアナログ風の作品にしたい場合、作品全体にアナログの紙やキャンバスの質感の画像を合成するとアナログらしさがアップします。

 

[素材]パレット→[単色パターン]→[テクスチャ]に、簡単に適用できる用紙テクスチャ素材が収録されています。

 

①[素材]パレットからドラッグ&ドロップでキャンバスに貼り付けます。追加したテクスチャ素材のレイヤーが[レイヤー]パレットの一番上になるよう重なり順を調整します。

 

②[レイヤープロパティ]パレットの[効果]→[質感合成]アイコンをクリックして適用します。

 

③テクスチャ画像のハンドルを操作して拡大・縮小させて、作品に対して用紙の密度が丁度よくなるように調整します。

▼テクスチャなし 画用紙 キャンバス

 

パースに合わせて画像を合成する

読み込んだ画像は、3Dやパース定規と組み合わせて使うと効果的です。

パース定規の作成方法や使い方については、以下の記事をご覧ください。

例えば下図の作例の床部分に画像を合成する場合、床の線を描くときに使用したパース定規のグリッドに合わせて変形させると、自然に合成できます。

 

①最初にパース定規のグリッドを表示させます。パース定規を[オブジェクト]ツールで選択し、[ツールプロパティ]パレットの[グリッド]から[XZ平面]を選択します。

 

②画像を読み込んでキャンバス上に配置します。[ツールプロパティ]パレットの[変形方法]を[自由変形]に設定し、画像のハンドルをグリッドに合わせて調整します。

 

パースに合わせた変形は、空や壁などを描く際にも活躍しますので覚えておくと便利です。

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