デジタルの基本的な色の塗り方とブラシの調整方法 

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CLIP STUDIO PAINT Ver.3.1.0対応

※Ver.1.10.9以前のバージョンからアップデートした環境の場合、紹介しているサブツールのサブツールグループが異なる場合があります。

 

[1]デジタルで色を塗る手順

デジタルで色を塗る基本的な方法を紹介します。

アナログの画材と同じような手順で塗ることもできますが、デジタルならではの使い方を覚えると、表現の幅が広がります。

 

デジタルでは、いくつかのツールを組み合わせて、以下のような手順で色を塗っていきます。

 

 

 

■基本的な塗り方の手順

 

①[筆]ツールで色のベースを大まかに塗ります。この段階では形や細かい色の変化は気にせず、だいたいの形を取るつもりで色を置いていきます。

 

②色を滑らかにぼかしたい場合は、[色混ぜ]ツールや[筆]ツールにある「なじませる」ブラシで色の境目をなでるようにしてなじませます。

筆のタッチを残したい場合はこの工程は省いてかまいません。

 

③輪郭を[消しゴム]ツールで消して整えます。背景が塗られている場合は、背景の色に設定した描画ツールで整えます。①~③の手順を必要に応じて繰り返し、描画を詰めていきます。

 

④小さいブラシサイズに設定した[筆]ツールや[ペン]ツールで細部やハイライトを描き込んで仕上げます。

 

[2]色を塗るブラシの特徴

[1]の手順で使用したブラシの特徴を詳しくみていきましょう。

 

 

 

①色が混ざるブラシ、色が重なるブラシ

 

CLIP STUDIO PAINTには、塗りながら色を混ぜられるブラシと、色が重なるブラシがあります。

 

・色が混ざるブラシ

[筆]ツールの[厚塗り]グループに収録されているサブツールの多くがこちらのタイプです。既に塗った色(黄色)の上からなじませるように青を塗ることで、塗りながら色の変化を付けることができます。

 

・色が重なるブラシ

[筆]ツールの[水彩]・[墨]グループ、[エアブラシ]ツール、[ペン]ツールに収録されているサブツールの多くがこちらのタイプです。既に塗った色(黄色)の上から青を塗ると色がまざらずに重なります。不透明度の高いブラシで塗った場合は上から塗った色だけが表示されます。

 

【POINT】色が混ざるブラシと色が重なるブラシの見分け方

色が混ざるブラシには[下地混色]という機能が設定されています。[サブツール詳細]パレットの[インク]カテゴリーでチェックが入っていれば、色が混ざるブラシです。

↑[下地混色]を設定すると、[絵の具量][絵の具濃度][色延び]などの、色の混ざり具合を調整できるようになります。詳しい設定方法は[4]で解説します。

 

 

 

②色をなじませるブラシ

色と色の境目や塗りムラをなめらかになじませたい場合は、[色混ぜ]ツールに収録されている[筆なじませ](水彩なじませ)・[繊維にじみなじませ]・[質感残しなじませ]サブツールなどを使用します。

※Ver1.10.9以前からCLIP STUDIO PAINTを使用している環境では、上記のサブツールは[筆]ツールの[水彩]グループ、[リアル水彩]グループに格納されています。

 

これらのサブツールは、単体で色を付けたり描いたりすることはできません。

 

 

 

③消すブラシ

描画を消したい場合や修正したい場合は[消しゴム]ツールのサブツールや[筆]ツール→[水彩]→[水筆]を使用します。色を薄くしたり、形を整えたりすることにも使用できます。

 

【POINT】透明色を使いこなそう!

CLIP STUDIO PAINTでは、通常の描画系ツールの描画色を「透明」に設定することで、描画ツールのタッチをそのまま消しゴムにすることができます。

透明色は、[ツール]パレットの下部や、カラー系パレットにある市松模様のタイルで選択できます。

 

収録されているブラシの中から自分に合うブラシを探してみてください。

 

[3]目的に合ったブラシを使う

CLIP STUDIO PAINTにはあらかじめたくさんの種類のブラシが収録されていますが、「ASSETS」にはさらにたくさんの種類の素材が公開されています。

 

CLIP STUDIO ASSETS

 

CLIP STUDIO ASSETSは、CLIP STUDIOを起動して右上のメニューから利用できます。

 

タブレット版の場合:上部のCLIP STUDIOアイコンをタップして表示をCLIP STUDIOに変更し、右上のポップアップメニューの「素材を探す」を選択するとブラウザが起動してCLIP STUDIO ASSETSが表示されます。

 

ブラシは自分でカスタマイズすることもできますが、はじめのうちは、公開されているブラシを使ってみるとよいでしょう。

 

ダウンロードした素材の使い方

ASSETSからダウンロードしたブラシは、CLIP STUDIO PAINTの[素材]パレットの[ダウンロード]に格納されています。

ブラシ素材は、[サブツール]パレットに登録すると使えるようになります。

 

タブレット版をご利用の場合:[サブツール]パレットの左上にあるメニューから[サブツールを追加]を選択してブラシ素材を登録してください。

 

※ブラシ以外の素材は直接キャンバスに貼り付けたり、使用方法が異なります。ASSETSやダウンロードした素材の詳しい使い方は以下のTIPSをご覧ください。

▼素材のダウンロード方法

▼ダウンロードした素材を使う方法

 

[4]ブラシをカスタマイズしてみよう

ブラシの使い方に慣れてきたら、カスタマイズして使いやすい設定に調整してみましょう。

ブラシのカスタマイズは[ツールプロパティ]パレット、[サブツール詳細]パレットで行います。

 

[ツールプロパティ]パレットには、選択したサブツールの代表的なカスタマイズ項目が表示されています。

[サブツール詳細]パレットには、選択したサブツールでカスタマイズできるすべての項目が表示されています。

※画面に表示されていない場合は、上部にある[ウィンドウ]メニューから選択して表示します。

※スマートフォン版では、[ツールプロパティ]パレットの右下のボタンをタップすると、[サブツール詳細]が表示できます。

 

【POINT】

頻繁に使用する項目が[ツールプロパティ]パレットに表示されていない場合は、[サブツール詳細]パレットで目のマークを表示すると[ツールプロパティ]パレットに項目が表示されるようになります。

 

ブラシのカスタマイズは、調整する元のブラシの設定によってはあまり変化が見られなかったり、記載された調整方法に対応していない場合があります。

設定しながら書き味を試してみてください。

 

絵の具の透明度を調整したい

デジタルで絵の具の透明度を調整したい場合は、[ツールプロパティ][サブツール詳細]パレットの[インク]カテゴリーにある[不透明度]を調整します。不透明度が高いと絵の具が濃くなり、低いと絵の具が薄くなります。

 

対応している初期サブツール:すべての描画系サブツール。

 

不透明度を下げると、下に塗った色に重ねて塗られるようになります。

 

筆圧によって不透明度を調整したい場合、[下地混色]を使用していないブラシの場合は、[不透明度]の右側にある[不透明度影響元設定]を設定すれば、ペンの筆圧や速度によって変化を付けられます。

 

[下地混色]が設定されているブラシは、[絵の具濃度]の[絵の具濃度影響元設定]で筆圧による不透明度を調整します。

※[下地混色]→[色重ね]を設定している場合は、[不透明度影響元設定]を使用してください。

 

後から塗った色を濃く塗りたい

色が混ざるブラシで後から塗った色が出にくいと感じたら、[絵の具量]の数値を上げます。

 

対応している初期サブツール:

[水彩]グループ、[厚塗り](油彩)グループ→[ガッシュ]、[ドライガッシュ]などの[下地混色]が設定されている描画系サブツール。

 

下地の色を混ぜたくない場合は、別のレイヤーを上から重ねてそこに描画します。レイヤーの使い方については、「デジタル作画で覚えておきたいレイヤーの使い方」をご覧ください。

 

絵の具をかすれさせたい

水分の少ない絵の具で塗ったようにストロークをかすれさせたい場合は、[ブラシ濃度](流量)の数値を下げます。

 

対応している初期サブツール:

[水彩]グループ→[水彩平筆]、[厚塗り](油彩)グループ→[ガッシュ]、[ドライガッシュ]など、ブラシの先端画像が設定されている描画系サブツール。

 

ブラシの先を細くしたい

ブラシの入り抜きを細くしたい場合は、[ブラシサイズ]の[影響元設定]を調整します。

[筆圧]の[最小値]を0などに下げ、[筆圧設定]のグラフを下図のような曲線にします。

 

対応している初期サブツール:[ブラシサイズ]が筆圧で変化する描画系サブツール。

 

筆圧は個人によっても異なるため、描きやすい細さになるまで何度か調整してみることをおすすめします。

 

ブラシのタッチを変えたい

先端画像は、[サブツール詳細]パレットの[ブラシ先端]カテゴリで変更できます。

 

[先端形状]で[素材]をクリックし、右下のアイコンをクリックすると、設定できる素材が一覧表示されます。

 

対応している初期サブツール:すべての描画系サブツール。

 

上から順に[先端形状]が「素材:ガッシュ」「円形(初期状態)」「素材:リアル鉛筆」「素材:毛筆」

 

ブラシ先端画像は、[素材]パレット→[画像素材]→[ブラシ]に収録されている素材や、自分で作成した素材を登録できます。詳しくは以下の記事をご覧ください。

▼アナログで描いた画像を読み込んで設定する方法

 

ブラシを平筆にしたい

ブラシを平筆にしたい場合は、[ブラシ先端]→[厚さ]の数値を50以下などに下げ、[向き]の[影響元設定]を[ペンの向き]に設定します。

 

対応している初期サブツール:すべての描画系サブツール。

 

厚さを下げてストロークに間隔が空いてしまう場合は、[ストローク]の[間隔]を[狭い]に変更すると改善します。

※ただし、操作が重くなることがあります。

 

スプレーブラシにしたい

スパッタリングなど、絵の具を散らしたような表現をする場合は、[散布効果]にチェックを入れます。

 

対応している初期サブツール:すべての描画系サブツール。

 

[粒子サイズ]で粒子のサイズを変更し、粒子同士の間隔を広げたい場合は、[粒子密度]を下げ、[ブラシサイズ]を大きくします。

 

紙の質感を変えたい

[ツールプロパティ]パレットの[紙質]の設定を変更すると、別の紙質に変更できます。

※隣のゴミ箱アイコンをクリックすると、紙質がなくなってしまうため注意してください。

 

対応している初期サブツール:すべての描画系サブツール。

 

印刷したときに紙の質感をはっきり見せたい

[紙質]が設定されている初期サブツールは、Web用(72dpi)に適した設定になっています。印刷用の作品を描く場合は、[紙質]の[拡大率]を大きい数値に変更することをオススメします。

 

[ツールプロパティ]パレットの[紙質濃度]の左側にある「+」をクリックすると、[拡大率]が表示されます。初期状態では28などに設定されていますが、印刷用(350dpi)の作品を描画する場合は、50以上に設定するとよいでしょう。

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