アナログ原稿を使う②原稿の補正・ごみ取り

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ClipStudioOfficial

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WebやSNSにアップするようなイラストの場合には、カメラの性能にもよりますがデジタルカメラやスマートフォンで撮影したアナログ線画を使用できる場合もあります。

この講座では、例としてスマートフォンのカメラで撮影した線画画像データを補正して、イラスト用のきれいな線画にする工程を紹介します。

 

[1]画像データの読み込み

(1)撮影したデータをコンピュータに転送し、任意の場所に保存しておきます。

 

(2)CLIP STUDIO PAINTを起動し、上部[ファイル]メニューの[開く]から(1)のデータを選択して読み込みます。

 

(3)上部[編集]メニュー→[画像解像度を変更]を選択し、開いた画像の解像度とサイズが使用したいサイズになっているか確認します。

Webで使用する場合には1000px以内にしておくとよいですが、目的により異なるため、あらかじめ使用したいサイズを確認しておきましょう。また、印刷用に使用する場合には、[ピクセル数を固定]にチェックを入れて[解像度]を350dpiに変更しておきます。

 

【POINT】

使用したいサイズよりも画像が小さすぎる場合は、この線画データを下描きとして使用します。

[ファイル]メニュー→[新規作成]から使いたいサイズの新規キャンバスを作り、そこへ画像を読み込んでから、上にレイヤーを作成してペン入れをします。

 

[2]色調補正レイヤーを使用した調整

読み込んだ画像が、下図左側のように暗すぎたり、下書きなどの線が入っていたりする場合は、画像の色を調整します。

 

 

 

■1.レイヤーの変換

 

この画像は、下描きの水色の線が残っているため、一旦グレー(白~黒の階調表現)に変換してから画像の調整をします。

 

(1)レイヤーをグレーに変換するには、[レイヤー]メニュー→[レイヤーの変換]を選択します。

 

(2)表示された[レイヤーの変換]ダイアログの[表現色]で[グレー]を選択し、[OK]をクリックします。

 

(3)画像の色がグレーになりました。

 

 

 

■2.[明るさ・コントラスト]レイヤーでの調整

 

画像全体が灰色になっていて暗いため、明るくなるように色調補正レイヤーで調整します。

 

(1)[レイヤー]メニュー→[新規色調補正レイヤー]から、[明るさ・コントラスト]を選択します。

 

(2)[明るさ・コントラスト]ダイログが表示されたら、[明るさ]のスライダーを操作して、紙が白く見え、なおかつ線が飛びすぎない(細くなりすぎて消えない)ように調整します。

 

(3)調整が終わったら[OK]をクリックします。

 

(4)[明るさ・コントラスト]の色調補正レイヤーが作成されました。

 

 

 

■3.[レベル補正]レイヤーでの調整

 

次に、線をハッキリさせます。

 

(1)[レイヤー]メニュー→[新規色調補正レイヤー]→[レベル補正]を選択します。

 

(2)[レベル補正]ダイアログのグラフの下にある▲(ノード)をドラッグで動かし、紙の色や影の部分を白くなるように飛ばし、線の太さや濃度がちょうど良いと思えるところまで調整します。

 

(3)調整が終わり、[OK]をクリックすると、 [レベル補正]の色調補正レイヤーが作成されました。

 

【POINT】

色調補正レイヤーを再調整したい場合は、[レイヤー]パレットで、再調整したいレイヤーのアイコンをダブルクリックします。

 

[3]線画の抽出

読み込んだ画像の調整は終わりましたが、調整した画像は白地に線画が描かれている状態です。

これを着色などの作業がしやすいように、透明地に線画が描かれているレイヤーと白い下地のレイヤーに分けます。

地色を透明にしておけば、線画レイヤーの下に着色するレイヤーを重ねられるため、線を消すことなく着色できます。

 

(1)最初に、色調補正レイヤーと読み込んだ画像を統合して、一枚のレイヤーにします。

[レイヤー]メニュー→[画像の統合]で、[レイヤー]パレット内のすべての画像を統合します。

※画像を統合すると、色調補正レイヤーで再調整できなくなるため、再調整する可能性のある場合は、[ファイルメニュー]→[別名で保存]でバックアップを取っておきます。

 

【POINT】

保存形式に気を付けよう

[ファイル]メニュー→[開く]や、キャンバス内にドラッグして画像を読み込んだ場合、元データをCLIP STUDIO PAINTで直接加工することになります。

 

ファイルを保存するときは、[別名で保存]を選択し、CLIP STUDIO FORMAT(拡張子:clip)で保存します。CLIP STUDIO FORMAT(拡張子:clip)で保存しておくと、定規やテキストなどCLIP STUDIO PAINT独自のレイヤー情報が保持できます。

 

(2)画像を統合したら、[レイヤー]メニューの[レイヤーの変換]を選択します。

 

(3)表示された[レイヤーの変換]ダイアログで、以下のように設定します。

①[表現色]を[グレー]にします。

②[表現色]のとなりにある白黒ボタンの黒のみをクリックします。

③下部の[元のレイヤーを残す]にチェックを入れます。

 

②で[黒]のボタンをクリックしているのは、使用色を黒のみにすると、変換時にレイヤーの白地部分が透明になり、線画だけを残すことができるからです。

また、レイヤーを変換する際に、③の[元のレイヤーを残す]にチェックしておくと、変換されたレイヤーが元のレイヤーの上に作成されます。元のレイヤーが不要な場合はチェックを入れないでおきます。

 

(4)ダイアログで[OK]をクリックすると、元のレイヤーの上に、透明地に線画のみ描写された線画レイヤーが作成できました。

 

このままでは、下にある元のレイヤーに絵が残ったままになり、着色の作業時に、混乱の原因になるため、下のレイヤーを白で塗りつぶします。

 

[レイヤー]パレットで、下のレイヤーを選択し、[選択範囲]メニュー→[すべてを選択]を選択します。

 

次に、[編集]メニュー→[高度な塗りつぶし]を選択します。

 

表示された[高度な塗りぶつし]ダイアログで[描画色]を[指定色]に設定します。

 

[色の設定]が表示されたら[白]を選択し、[OK]をクリックすれば、完成です。

 

これで、白く塗りつぶされたレイヤーと線画だけのレイヤーができました。

 

今回は、塗りつぶしを[高度な塗りつぶし]で塗りつぶしましたが、[ツール]パレットで描画色を白にしてから、[編集]メニュー→[塗りつぶし]で塗りつぶしてもかまいません。

 

【POINT】

CLIP STUDIO PAINT PRO/EXを使用している場合、この行程を[オートアクション]に登録しておくと便利です。

この工程を登録したオートアクション素材をCLIP STUDIO ASSETSで配信しています。

 

[4]ごみ取り&修正

画像を、線画と背景に分け、スキャンした時に入ってしまった、細かなごみやペン入れの時にはみ出してしまった部分などを修正します。

 

細かなごみは[ごみ取り]ツールで取ります。[ごみ取り]ツールは指定したサイズ以下の細かなごみだけを消してくれるツールです。

 

 

 

■[ごみ取り]ツールの使い方

 

[ツール]パレットで、[ごみ取り]ツールを選択します。初期設定では[ツール]パレットの一番下にある[線修正]ツールに格納されています。ツールパレット上に[ごみ取り]ツールが見当たらない場合は、[線修正]ツールをクリックし、[サブツール]パレットの中を確認してみましょう。

 

[ごみのサイズ]で、ごみのサイズを指定します。少しずつ調整して、自分に合う設定を見つけてください。

 

[モード]で[不透明の点を消す]を選択します。

 

設定が終わったら、ごみを消したい部分を矩形で囲うように選択します。

 

ごみが消えました。

 

【POINT】

ごみを[消しゴム]や[ペン]ツールのようになぞって消したい場合は、[ごみ取り]ツールの[塗り残し埋め]を使用します。

[ツールプロパティ]パレットの[モード]を[不透明の点を消す]に設定すると、塗った範囲の中にあるごみを消去できます。

 

また、ごみ取りしたいレイヤーに、[レイヤープロパティ](PRO/EX)で、一時的にフチをつけると、ごみ部分がわかりやすくなります。

 

[レイヤー]パレットでフチをつけたいレイヤーを選択します。

 

[レイヤープロパティ]で、[境界効果]をクリックします。

 

[フチ]をクリックし、[フチの太さ]、[色]を設定します。

 

これで、画像上の描画部分にフチがつき、ごみ部分がわかりやすくなりました。

 

フチがついて見えやすくなったごみを、[ごみ取り]ツールで消していきます。

ごみ取りが終わったら、[境界効果]をクリックすれば、フチが消えます。

 

 

 

■そのほかの、ごみ取り&修正

 

[ごみ取り]ツールでうまくごみが取れないときは、[消しゴム]ツールを使って消します。

 

また、[長方形選択]ツールなどでごみ部分を選択し、[編集]メニュー→[消去]か、または[Delete]キーで消すこともできます。

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