9.エフェクト・全体の調整

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最後に、全体を通して見たときに描き込みが不足している部分やエフェクトを追加し、色味の調整などをしていきます。

※使用しているオリジナルブラシの設定は、第2回を参照してください。

 

[1]全体の色調整

背景の壁の色の彩度が高いように感じたので、[色調補正レイヤー]の[色相・彩度・明度]を使って彩度を落とし、後の工程で上から魔法のエフェクトを描画するために、さらに少し暗くしました。

 

少し窓の付近や壁を描きこんだほうがいいように感じたので、描き足していきます。

 

窓から見える風景に「スポンジPH」で雲をざっと描き込み、新しいレイヤーを作成して合成モードを[加算(発光)]にしたら、「エアブラシ」で丸い光をポンポンとスタンプを押すように描いていきます。

 

再度、全体の色味を調整していきます。

今の状態は手前のモチーフに合わせて少し黄色寄りの色みになってしまっているため、黄色を抑えるために[色調補正レイヤー]の[カラーバランス]で青みよりに変更しました。

その後、同じく[色調補正レイヤー]の[レベル補正]で全体のコントラストを少し強くしました。

 

人物の顔が暗く感じたので、[色調補正レイヤー]の[レベル補正]で明度とコントラストを調整しました。

また、服の緑色が白飛びしているような感じがしたので、合成モード[乗算]のレイヤーで緑を鮮やかにしていきます。

 

モチーフから水に落ちる陰を追加しました。

魚は水との色相差を出すために[色調補正レイヤー]の[色相・彩度・明度]で赤みよりになるよう調整しました。

 

[2]魔法エフェクト

魔法のエフェクトを描いていきます。

新規レイヤーを作成し、レイヤーの合成モードを[加算(発光)]に設定しておきます。

 

エフェクトの円は定規で描いたほうがきれいなので、[図形定規]で正円を描いていきます。

①定規を作成したら定規に沿ってエフェクトになる線を描画し、②[フィルター]メニュー→[ガウスぼかし]で線がはっきりしなくなる程度にぼかし、③再び定規を使って線の内側をうっすらと消していきます。

 

【POINT】

[図形定規]は[定規]ツール→[定規作成]グループから選択します。円定規を作成したい場合には、[ツールプロパティ]パレットの[図形]で[楕円]を選択します。

正円を描きたい場合には、キーボードの[Shift]キーを押しながら定規を描画するか、[ツールプロパティ]パレットの[縦横指定]にチェックを入れて、縦横の比率を合わせておきます。

※描画ツールで定規に合わせて描画する際は、[表示]メニュー→[特殊定規にスナップ]にチェックを入れておきます。

また、同じように円が描画できる機能に[特殊定規]の[同心円]があります。

 

魔法のメインのエフェクトを描いていきます。

ぐるぐると杖を回しているように見せたいので、渦巻状に「もくもくスポンジPH」を使って描いていきます。

 

このままの状態では勢いがあるように見えないため、[編集]メニュー→[変形]→[メッシュ変形]を使用して、奥行きを意識して変形させていきます。

変形させたら[色混ぜ]ツール→[指先]サブツールを使って、色を引っ張ったりしながら整えていきます。

 

①合成モード[オーバーレイ]のレイヤーに緑色を描画して魔法のエフェクトに色味を追加し、②[デコレーション]ツール→[効果・演出]→[きらめきA]を使用して光を描いていきます。

③その下に光を描いたレイヤーを複製し、描画部分を緑で塗りつぶしたあとにぼかしをかけて、ふんわりした光の表現にしました。

 

[3]小物や効果の追加

■1.本

 

本や紙のテクスチャを作っていきます。こういった素材は別のキャンバスにデータを作り、それを貼り付けていきます。

[メッシュ変形]で変形していくので、文字は適当に描いたものでもそれなりに文字らしくなります。

 

【POINT】

[メッシュ変形]を使うときに、メッシュのポイントがもう少し欲しかったり、逆に少なくしたりする場合は、変形中[ツールプロパティ]パレットに表示される横格子点数や縦格子点数で調整することができます。

 

全体に貼り付けが完了したら、次は陰影をつけていきます。

フチに細いハイライトを入れることで紙の薄さを強調したり、紙全体に立体感を出すために一部に暗い影を落として差を出してみたりしています。

その他にも明るいところに柔らかくハイライトを入れることで、紙の柔軟さを表現してみました。

 

 

 

■2.蝶

 

蝶のシルエットを「ベタ塗りペン_QM」で描いていき、オレンジの光をレイヤーの下から描きました。

オレンジ色をきれいに出したかったので、レイヤーの合成モードは[通常]から変更していません。

 

 

 

■3.水辺

 

水滴は前回、バケツの中の水を描いた手順と同様に描いていきます。

手前の水しぶきのエフェクトを描いていきます。第6回で窓の風景で描いたエフェクトのように、水滴がぼやけて写っている様子をイメージしながら「エアブラシ」でポンポンと描いていきます。

さらに、細かい水しぶきを描いて、水辺は完了です。

 

[4]微調整・仕上げ

[色調補正レイヤー]の[レベル補正]を作成し、一番下の背景のコントラストを調整しました。

また、キャラクターや箒の周りに反射光を増やして、モチーフ同士のコントラストの差を抑えていきます。

 

魔法のエフェクトを目立たせるために、キャンバス上部を合成モード[乗算]のレイヤーで明度を落とし、[色調補正レイヤー]の[レベル補正]でキャラクターのコントラストの調整をしました。

最後に、[レイヤー]パレットの一番上に[色調補正レイヤー]の[レベル補正]を作り、全体のコントラストを調整して完成です。

 

次回は、siroさんのインタビューを公開します!

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