【ストーリーの作り方】8Pマンガのプロット・少女マンガ編

9,651 view
ClipStudioOfficial

ClipStudioOfficial

このシリーズでは「国際コミック・マンガスクールコンテスト 2020 - CLIP STUDIO PAINT」の作画部門の課題ネームが作られる過程を解説します。

解説:マンガスクリプトDr.ごとう


こちらの記事の内容は動画でも公開されています。

https://youtu.be/tvnccSlnpFI



■コミックスクールコンテストとは


全世界の学生を対象としたマンガ、イラストコンテスト。入賞者には、賞金やデジタル制作に最適なソフトウェア、ペンタブレットを進呈するほか、メディアで作品発表のチャンスも!さらに、プロクリエイターや編集者から作品に対する講評も受けられ、スキルアップにもつながります。新たに作画部門やWebtoon部門など4部門が追加され、入賞のチャンスも広がりました。

https://www.clipstudio.net/promotion/comiccontest/ja/


8Pマンガのストーリーを20分で作る!

コンテストで使われるネームは8ページです。

「約束」をテーマに、少年マンガと少女マンガをそれぞれ想定してプロットを作成します。


今回は少女マンガのプロットを作るまでを解説します。


【POINT】少年マンガのプロットを作成した前回の記事は、こちらです。

https://tips.clip-studio.com/ja-jp/articles/2858


プロットに課題を設定する

前回の少年マンガのプロットと同様に、コンテスト用の概要から以下の三つの要素を課題として作品に折り込みます。

・絵として見映えのあるシーンがあること

・できるだけ世界中の人に共感してもらえる普遍的な題材

・読んだ後に「約束」について考えさせられるストーリー


 少女マンガの文法を制限する

その上で少女マンガのプロットを作るわけですが、実は少女マンガを海外向けに描くのは大変難しい作業です。

なぜなら、日本の少女マンガの物語の文法が世界的に見て特殊だからです。


少女マンガの主な舞台は学校です。

先輩後輩、部活動など日本の学校の制度を知っていなければわからない状況や設定が多く登場します。

また、好きな相手と手をつなぐまでのときめきやいじらしさを感じるのも、日本的な感性と言えます。


できるだけ世界中の人に共感してもらえるように、日本的な特殊な文法が入らないように気を付けて作ります。


課題をクリアする

設定した三つの要素を課題として、プロットに組み込んでいきます。


 女の子にとっての約束

少女マンガなので、主人公は女の子とします。

「約束をかなえるまでのひたむきな姿」を描くと少女マンガとして絵になるでしょう。


約束がかなうかどうかを描く物語になりますから「約束がかなって心が救われる結末」「約束がかなわなかった切ない結末」のいずれかになります。


今回は広い読者に感動を伝えるために、ポジティブに約束がかなう結末を用意しましょう。


 約束が作る感動

主人公にとってどんな約束がかなえば、共感される感動になるか考えます。

実現するまでに数年かかるような約束や、大切なだれかのために守った約束なら、感動も大きくなりそうです。


例えば「恋人との約束を長い間胸に秘めた女の子の物語」は多くの人の共感を呼びそうです。

そうすると、恋人との約束をかなえる瞬間やその直前がクライマックスになります。


これなら、約束を果たす場面は直接描かず、その直前で物語が終われば、読者に約束について考えるような余韻を与えられます。


シチュエーションを考える

課題をクリアする方法が決まったところで、どんな状況で物語が進むのか考えます。


 約束の内容を決める

女の子が恋人とどんな約束をしたか考えます。

恋人との約束ですから、かなうことでデートが始まるとか、結婚するとか、なにか恋人らしいことが実現するわけです。

裏を返せば、物語が始まった時点では、約束の相手との関係はデートや結婚の前の段階と言えます。


そうすると、既に恋人か、それに近い関係の男の子と結んだ約束としたほうがよさそうです。

特に思い入れのない人との約束を長く守り続けるのは、少し無理がある気がします。

長く約束を守るには、それなりの愛情がなければなりません。


恋人同士の約束で考えられるのはやはり結婚ですね。

すぐには結婚できない事情があるから、お互いに約束をするわけです。


たとえば、お互いまだ子供だとします。

「大人になってもう一度会うことができれば結婚する」成長するまで待ち続ける姿はひたむきさを感じますね。

これを大まかな約束の内容としましょう。


 障害を考える

結婚の約束がかなう物語ですから、大人になった主人公の目線で物語が始まります。

長く待ち続けてきたわけですが、いざ約束がかなうというところで障害があったほうが盛り上がります。


些細なすれ違いや立場の違いで、お互いに少し険悪になっていて、約束を忘れたり、あるいは約束を忘れたふりをしてしまいます。

ですが、本心では相手をまだ好きでいます。心境が約束の障害になるわけです。


今回は「子供のころの約束を、大人になってからだと恥ずかしくて口に出せない心境」としました。

相手が子供のころの約束を覚えているかを、恋人同士が探り合う中で物語が進むようにしましょう。


プロットを作る

素材が揃ったので、下記のようなプロットにまとめました。

--

子供のころに「ある日ある場所でもう一度会えたら結婚しよう」と約束をした二人の男女がいる。

大人になった二人は、お互いに仕事などで忙しい毎日を送っていて、約束について言い出せない心境にある。

一方で、お互いに本心では相手に好意を抱いているので、相手が約束を覚えているか、それとなく探ろうとする。

お互いの本当の気持ちがわからないまま、約束の日がくる。

気持ちを確かめるために、約束の時間に二人は集まり、見つめあう。

約束の結果は明らかにせず、これから二人がどんなドラマを展開するか、読者に想像させる余韻を残して物語は終わる。

--


今回は、約束がかなう場面を直接描かなかったので、クライマックスは、約束がかなうまでの緊張のピークにあります。

このプロットでは「恋人が約束を覚えているか確かめたい、けれど覚えていなかったらどうしよう」という不安な気持ちが、約束の場所で二人が見つめ合ったところでピークを迎えるようにしています。


ネームを作るときは、このプロットをどれだけ絵で表現できるか考えていきます。



▼ごとう隼平:マンガスクリプトドクター/東京ネームタンク代表

YouTube:

https://www.youtube.com/channel/UCqI2ffVsUgbKPlAgeVAWv7g

ごとうTwitter:

https://twitter.com/goto_junpei

ごとうnote:

https://note.mu/nametank


▼マンガスクリプトDr.ごとうとは

少年漫画、少女漫画、恋愛漫画、異世界漫画、様々な漫画ストーリーの作り方・テクニック・コツを紹介しています。そのほか漫画紹介やイラストメイキング、クリップスタジオの使い方・iPadデジタル作画環境についてなど、幅広くお話ししていきます。


▼東京ネームタンクとは?

東京ネームタンクは漫画ストーリーを専門とする教室&研究室です。

大人気講座『ネームできる講座 Plus』では3日間の講義で32Pのネームを作ります。


講座の特徴はストーリーを構造から学ぶこと。

これまでの漫画の描き方の講座や本にありがちだった、ある漫画家先生の特定の方法というものを極力排除し、日本の商業漫画に共通する要素と構造は何なのか、を徹底的に精査。

10年以上の研究と実践から完成した「NDS」(ネームできるシステム)により、年間200作品以上の読切作品を制作し、専門学校と比較して圧倒的な数の受賞、デビュー、掲載、連載作家を輩出。初心者、漫画家志望者からプロ漫画家まで幅広い支持を得ています。

コメント

関連する記事

新着

公式 新着