自動陰影ですぐできる!目を惹く光と影の表現 -Ver.2.0-
CLIP STUDIO PAINT Ver.2.0から、イラストに自動で影を作成する[自動陰影]が追加されました。
[自動陰影]では、ベースになる彩色レイヤーと線画を参照して、陰影の境界がぼかされた[滑らかな陰影]と陰影の境目がはっきり分かれた[階調化した陰影]の2種類の陰影を生成できます。
生成された陰影は、参照したレイヤーとは別にレイヤーパレット上に出力できます。
[1]使うための準備
[自動陰影]を使うためには、あらかじめ①線画レイヤーと②彩色用のレイヤーが分かれた状態のイラストデータを準備しておきます。
①線画レイヤー
線の情報を陰影に反映させたい場合は、[参照レイヤー]に設定した線画レイヤーを用意します。
線画が複数のレイヤーに分かれている場合は、すべての線画レイヤーを[参照レイヤー]に設定しておきます。
【POINT】[参照レイヤー]の設定方法
[参照レイヤー]は、設定したいレイヤーを選択し、レイヤーパレット上部の[参照レイヤーに設定]アイコンをクリックして設定します。
[参照レイヤー]に設定されたレイヤーの横には灯台のアイコンが表示されます。
【POINT】
参照レイヤーは塗りつぶしや選択範囲、ブラシツールなどでも便利に活用できます。詳しくは以下の記事をご覧ください。
参照レイヤーを使いこなす-基本編-
②彩色レイヤー
[自動陰影]は多くの色が使用されていないレイヤーに対して使用できます。
彩色レイヤーはべた塗りのように色のばらつきが少ない方が望ましいです。
また彩色が複数のレイヤーに分かれている場合は、それらのレイヤーを全て選択した状態で[自動陰影]を実行することで塗りのある範囲全てに陰影を生成することができます。
【POINT】
自動陰影のベースになる着色には塗りつぶしツールを使うと便利です。
塗りつぶしツールを使いこなす①基本編
[2]基本的な使い方
線画レイヤーと彩色レイヤーの準備ができたら、[自動陰影]を実行します。
①[レイヤー]パレットで、自動陰影を適用する範囲が塗られた彩色レイヤーや彩色レイヤーフォルダーを選択しておきます。
②[編集]メニュー→[自動陰影]を選択すると[自動陰影]ダイアログが表示されます。
参照レイヤーに線画を設定しているときは、[参照レイヤーを線画とする]にチェックを入れます。
[参照レイヤーを線画とする]にチェックを入れることで生成される陰影が線画を反映したものになります。
左:[参照レイヤーを線画とする]オフ/右:[参照レイヤーを線画とする]オン
③表示されたダイアログで[プリセット]を選びます。
プリセットはそれぞれのシチュエーションに沿った陰影を生成できるようあらかじめ設定されています。
プリセット一覧
下部の[色調設定][光源設定]を開いて、さらに詳細な色や光源の設定を調整することもできます。
③キャンバス上のマニピュレーターで、光源の位置や大きさ、濃さを調整します。
④色と光源の設定が完了したらダイアログの[OK]を押します。
選択していた彩色レイヤーの上に陰影のレイヤーが作成されます。
[3]色調設定・光源設定の詳細【PRO/EX】
[自動陰影]ダイアログでは、生成する陰影を詳細に設定できます。
また、調整した設定をプリセットに登録できるため、自分の作品に合わせた設定を保存しておけば、[自動陰影]をより便利に使用できます。
ダイアログには大きく分けて[色調設定]と[光源設定]の2種類の設定があります。
※[色調設定]・[光源設定]は、CLIP STUDIO PAINT DEBUTではご利用いただけません。
-色調設定
①[陰影の種類]
[滑らかな陰影]
陰影の境界がぼかされた陰影を生成できます、暗部と明部に分けてレイヤーが追加されます。
[階調化した陰影]
陰影の境目がはっきり分かれた陰影を4階調まで生成できます。設定した階調数のレイヤーが追加されます。
②[明部と暗部を反転]
チェックボックスをONにすると、キャンバスに適用される明部・暗暗の適用範囲が逆になります。
1. [滑らかな陰影]のパラメーター
[明部][暗部]にそれぞれ色や合成モードを設定できます。
①[色の設定方法]:[下地の色を使用]
選択されている彩色用レイヤーを下地の色とし、これに基づいてに基づいて明部、暗部の色を決めます。
生成される陰影のレイヤーの合成モードは[通常]です。
・色相の変化
下地の色に対する色相の変化量を指定します。
明部では明るい箇所、暗部では暗い箇所ほど効果が大きく出ます。
・彩度の変化
下地の色に対する彩度の変化量を指定します。
明部では明るい箇所、暗部では暗い箇所ほど効果が大きく出ます。
・濃さ
明部と暗部の明度に反映されます。
②[色の設定方法]:[ベース色を使用]
ダイアログで指定した色にもとづいて明部、暗部の色を決定します。
レイヤーの合成モードはダイアログで指定できます。
・ベース色
指定された色にもとづいて明部や暗部の色を決定します。
・合成モード
明部や暗部を表示するレイヤーの合成モードを指定します。
・濃さ
明部と暗部の不透明度に反映されます。
③共通の項目
・なじませ
値が大きいほど明部、暗部の色の境目がぼかされ、なめらかになります。
・暗部の割合
生成される陰影全体に対する暗部の割合を設定します。
100に近いほど暗部の面積が大きくなります。
2. [階調化した陰影]のパラメーター
①階調化バー
陰影を生成するときの階調数、階調の範囲、階調の明るさを最大4階調まで設定できます。
【A】階調の濃さ(%)を数字で入力します。
【B】階調の割合、範囲をドラッグで調整します。
階調を増やしたい場合は、バーの下部【B】をクリックすることで階調の目盛りが増えます。
階調を減らす場合は、階調の目盛りをバーの外へドラッグします。
各階調の目盛りを左右に動かすことで、階調の範囲を調整できます。
②階調の適用順序を反転
チェックボックスをONにすると、キャンバスに適用される階調順が逆になります。
③階調色
対応する階調の描画色を設定します。階調化バーの右側から順に階調1、階調2…と設定されます。
④合成モード
階調色を適用するレイヤーの合成モードを設定します。
-光源設定
①光源の種類
[点光源]
キャンバス上の任意の位置に光源を配置します。平行光源よりもわかりやすい陰影が生成される傾向があります。
[平行光源]
キャンバス全体に同じ角度、強さで光を当てて陰影を生成します。
②光の{X, Y} 位置
光源の種類が[点光源]のとき有効になります。キャンバス上のどの位置に光を置くかを、幅(高さ)の割合で指定します。指定する値は0-100 までの整数値です。
③光の角度
光源の種類が[平行光源]のとき有効になります。光を当てる角度を指定できます。
④参照レイヤーを線画とする
チェックボックスをONにすると、参照レイヤーに設定されているレイヤーを線画レイヤーとみなして陰影を生成します。
OFFになっている場合は、彩色用レイヤーの情報のみで陰影を生成します。
⑤線画の影響度
[参照レイヤーを線画とする]のチェックボックスがONのとき有効になります。
陰影への線画の影響度を指定できます。
影響度が高いほど、線画に沿った陰影が生成されやすくなります。
[4]マニピュレーターで影を調整する
[点光源] [平行光源]
①[点光源]で表示されるハンドルです。円をドラッグすることで、キャンバス内の任意の位置に光源を移動できます。
②[平行光源]で表示されるハンドルです。矢印をドラッグすることで、光の角度を調整できます。また、矢印の中央付近をドラッグすることでマニピュレーターの移動ができます。
[平行光源]ではマニピュレーターの位置は陰影に影響を及ぼしません。
③光の強さハンドル
円の大きさをマウスドラッグで調整して光の強さを設定します。陰影の種類で調整されるパラメーターが異なります。
[滑らかな陰影]:暗部の割合のパラメーターを調整します。円が大きいほど暗部の割合が小さくなります。
[階調化した陰影]:階調化バーの目盛りの位置を調整します。円が大きいほど明るい階調の割合が大きくなります。
④明部の濃さハンドル
陰影の種類が[滑らかな陰影]の場合に表示されます。ハンドルが左側にあるほど明部の濃さが薄くなります。
⑤暗部の濃さハンドル
陰影の種類が[滑らかな陰影]の場合に表示されます。ハンドルが左側にあるほど暗部の濃さが薄くなります。
※③④⑤は、CLIP STUDIO PAINT DEBUTではご利用いただけません。
【POINT】
マニピュレーターをドラッグで移動している間は光源は変化しません。移動後に変化します。
[5]カスタマイズした設定を保存・削除する
[色調設定]の設定内容は、[プリセット]に保存できます。
[プリセット]の右にあるボタンをタップして、プリセット名を入力すれば登録できます。
自分で作成した[プリセット]を削除したい場合は、削除したいプリセットを選択した状態で、右側のゴミ箱ボタンをタップすると削除できます。
【POINT】
初期状態で登録されている10種類のプリセットは削除できません。
[6]使い方のコツ
■線画の色や太さを一時的に調整する
作成した陰影には、[参照レイヤーを線画とする]へのチェックの有無や[線画の影響度]の数値が大きく影響します。
その他にも[参照レイヤー]に設定した線画の線の色が明るかったり幅が細いと、陰影が反映されにくいことがあります。
その場合、[レイヤープロパティ]パレットの[境界効果]や[レイヤーカラー]で一時的に線の色や太さを調整してみてください。
線が黒い場合 線の色が青色の場合
[レイヤープロパティ]パレットの使い方については、こちらの記事をご覧ください。
■逆光を表現する
逆光を表現するプリセットは[逆光][淡い逆光][ステージライト]の3種類があります。
3種類のプリセットには[明部と暗部を反転]もしくは[階調の適用順序を反転]にチェックが入っています。
[自動陰影]で逆光の陰影を生成するときは、線画の細かな部分よりも、塗り全体を参照すると大まかな影が生成され、良い結果がでやすくなっています。
[線画の影響度]の値を20くらいに下げて陰影を生成してみましょう。
■プリセットの色を変更する
プリセットに設定されているベース色や階調色を変更すると、雰囲気の異なる陰影を簡単に生成することができます。
プリセット[カラーライト]は、初期状態では青緑色に設定されていますが、別の色に変更することでイラスト全体の雰囲気を簡単に変えられます。
■背景で[自動陰影]を使用する
陰影の種類を[平行光源]に設定すると、背景の彩色に活用できます。
屋内ではあたたかなライトの色、屋外では青みがかった色などを設定すると、背景のシチュエーションになじむ陰影を作成できます。
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